炎症性扁桃腺(扁桃炎)の症状:完全かつ包括的な解説
扁桃腺炎は、扁桃腺が細菌やウイルスに感染することによって引き起こされる疾患です。扁桃腺は喉の両側に位置するリンパ組織で、免疫系に重要な役割を果たしますが、感染を受けることで炎症を起こすことがあります。これにより、痛みやその他の不快な症状が現れます。
1. 主な症状
1.1 喉の痛み
扁桃腺炎の最も一般的で目立つ症状は喉の痛みです。この痛みは、通常、飲み込むときに悪化し、喉全体に広がることがあります。喉の後ろが腫れて赤くなり、痛みが強くなることがあります。
1.2 高熱
多くの扁桃腺炎の患者は、体温が38°Cを超える高熱を経験します。熱は、免疫系が感染に対抗するために体内で発生します。この熱は突然上がることがあり、体のだるさや不快感を引き起こします。
1.3 扁桃腺の腫れと赤み
扁桃腺は、感染が進行するにつれて腫れ、赤くなります。時には膿(うみ)が見られることもあり、この膿は白または黄色っぽい斑点として喉の扁桃腺に現れることがあります。
1.4 喉の腫れによる呼吸困難
特に重症の扁桃腺炎では、扁桃腺の腫れが喉を圧迫し、呼吸が難しくなることがあります。この症状は、特に小さな子供や免疫力が低い人々に見られることがあります。呼吸が浅く、苦しく感じることがあるため、速やかな治療が求められます。
1.5 頭痛
頭痛も扁桃腺炎に伴う一般的な症状の一つです。発熱による体調不良や、喉の痛みが頭に影響を与えることで頭痛が発生することがあります。頭痛は鈍痛で、しばしば喉の痛みと連動して感じられます。
1.6 吐き気や嘔吐
感染が進行すると、消化器系にも影響を及ぼすことがあり、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。特に小さな子供においては、喉の痛みと発熱に伴い、嘔吐が見られることが多いです。
1.7 口臭
扁桃腺炎の感染により、喉に膿がたまることで、口臭が強くなることがあります。この臭いは通常、感染が進行するにつれて悪化し、口の中で不快な感じを引き起こします。
1.8 耳の痛み
耳にも痛みが放射されることがあります。これは、喉と耳が神経でつながっているためで、扁桃腺の炎症が耳にも影響を与えるためです。耳が詰まった感じがしたり、痛みを伴うことがあります。
2. 追加の症状(場合による)
2.1 発疹
細菌やウイルスの種類によっては、扁桃腺炎に発疹が伴うこともあります。例えば、A群β溶血性連鎖球菌(グループAストレプトコッカス)による扁桃腺炎では、発疹が出ることがあります。この発疹は、風疹や麻疹とは異なる特徴を持つ場合があります。
2.2 体のだるさ
全身的な疲労感やだるさも扁桃腺炎の特徴です。特に高熱を伴う場合は、寝ていることが多く、全身の筋肉に疲れを感じることがあります。
2.3 口内の潰瘍
稀に、扁桃腺の腫れや膿が喉の奥に広がり、口内に潰瘍を引き起こすことがあります。これにより、さらに痛みが増し、飲み込みが困難になります。
3. 扁桃腺炎の重症化と合併症
扁桃腺炎は通常、適切な治療を受ければ回復しますが、治療を怠ると重症化することがあります。扁桃腺が感染して膿がたまると、「膿瘍」と呼ばれる状態になることがあります。膿瘍は扁桃腺周辺の組織に膿が溜まり、激しい痛みと腫れを引き起こします。また、膿瘍が破裂すると、さらなる感染を引き起こす可能性があります。
さらに、扁桃腺炎は急性腎炎やリウマチ熱などの二次的な合併症を引き起こすことがあります。これらは感染が全身に広がった結果として発生し、早期の診断と治療が重要です。
4. 診断と治療
扁桃腺炎の診断は、症状に基づいて行われます。医師は喉の視診を行い、必要に応じて咽頭拭い液を採取して細菌検査を行うことがあります。検査結果によって、ウイルス性か細菌性かを判断し、適切な治療を選択します。
細菌性扁桃腺炎の場合、抗生物質が処方されることが一般的です。特にA群β溶血性連鎖球菌による感染が確認された場合、ペニシリン系の抗生物質が効果的です。
ウイルス性扁桃腺炎の場合、特別な治療法はなく、対症療法(痛み止めや解熱剤、うがい薬など)が中心となります。
5. 予防
扁桃腺炎の予防には、手洗いやうがいを習慣にすることが大切です。また、風邪やインフルエンザなどの感染症の予防にも注意を払い、免疫力を高める生活を心がけることが重要です。風邪の症状が出た際には、無理をせずに休養をとることが回復を早めます。
結論
扁桃腺炎はその症状が多岐にわたるため、早期の治療が重要です。喉の痛みや高熱、腫れを感じた場合は、専門医に相談し、正しい治療を受けることが大切です。適切な治療を行うことで、ほとんどの人は完全に回復しますが、重症化しないように早期の対応が求められます。
