一般外科

手の腱鞘炎の症状

手の腱鞘炎(けんしょうえん)は、手首や指の腱に炎症が起こる疾患で、痛みや不快感を引き起こします。この状態は、特に繰り返し手を使う作業を行う人々に見られ、適切な治療が行われない場合、症状が慢性化することがあります。以下では、手の腱鞘炎の症状、原因、診断方法、予防法、治療法について詳しく説明します。

腱鞘炎の主な症状

腱鞘炎の症状は個人差がありますが、以下のような症状が一般的に見られます。

1. 痛み

手や手首、指に痛みを感じることが多く、特に動かすと痛みが強くなる傾向があります。痛みは最初は軽度ですが、時間が経つにつれて次第に強くなることがあります。痛みは通常、手を使うと悪化し、休息時には少し軽減します。

2. 腫れ

腱鞘炎によって腱が炎症を起こすと、その部分が腫れることがあります。腫れがひどくなると、手を握る動作や物を持つ動作が難しくなることがあります。

3. こわばり

手や指にこわばりを感じることもあります。特に朝起きた時や長時間手を使わなかった後に、動かしにくさを感じることがあります。

4. 運動制限

炎症が進行すると、手や指を動かす際に制限がかかり、動きが不自由になることがあります。特に手首を曲げたり、指を伸ばしたりする際に違和感や痛みを感じます。

5. 熱感

腱鞘炎によって炎症が起きている部分に熱感を感じることもあります。触れると温かく感じることがあり、これが炎症の兆候であることがわかります。

6. 音(ポキポキ音)

腱鞘炎が進行すると、手首や指を動かす際に「ポキポキ」という音が鳴ることがあります。この音は腱が腱鞘内で引っかかることから生じます。

腱鞘炎の原因

腱鞘炎は、腱やその周りの組織に過剰な負担がかかることによって引き起こされます。具体的な原因には以下のようなものがあります。

1. 繰り返しの動作

手を頻繁に使う作業や動作が腱に負担をかけます。例えば、長時間コンピュータを使うことや、手作業(例えば手芸や楽器の演奏など)を繰り返すことが原因となります。

2. 姿勢の悪さ

手首や指の使い方が不自然な場合、腱に余計な負担をかけ、炎症を引き起こすことがあります。特に、長時間にわたって手首を曲げたままで作業をすることが問題となります。

3. 外傷や怪我

手や手首に衝撃を受けたり、捻ったりした場合、腱に損傷を与えることがあり、その結果、炎症を引き起こすことがあります。

4. 加齢

年齢を重ねることで、腱が老化し、柔軟性や強度が低下します。これにより、腱鞘炎のリスクが高くなることがあります。

5. 病気や障害

糖尿病やリウマチなどの病気が腱鞘炎を引き起こすことがあります。これらの疾患は、腱に炎症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。

腱鞘炎の診断方法

腱鞘炎を診断するためには、医師による問診と身体検査が行われます。以下の方法で診断が進められることがあります。

1. 問診

医師は患者の症状や生活習慣を詳しく聞き取り、どのような動作で痛みが増すのか、どれくらいの期間痛みが続いているのかを確認します。

2. 視診および触診

腱鞘炎が疑われる部位を視診し、腫れや熱感、変形などの兆候を確認します。また、触診によって痛みの部位を特定します。

3. 画像検査

X線やMRI、超音波検査を用いて、腱鞘炎の診断を補完することがあります。これにより、腱の損傷の程度や腱鞘内の炎症の状態を詳しく把握することができます。

腱鞘炎の予防法

腱鞘炎は予防することが可能です。以下の予防法を実践することで、手や手首への負担を減らし、炎症を防ぐことができます。

1. 適切な姿勢を保つ

作業中は手首を無理に曲げたり、過剰に力を入れたりしないように注意します。手首が自然な位置に保たれるよう心掛け、無理な姿勢を避けましょう。

2. 休憩を取る

長時間同じ動作を繰り返す場合、定期的に休憩を取ることが大切です。手首や指を休ませることで、負担を軽減することができます。

3. ストレッチや運動を行う

手や手首の筋肉を強化し、柔軟性を高めるためにストレッチや軽い運動を取り入れましょう。これにより、腱への負担を減らすことができます。

4. 適切な作業環境を整える

コンピュータや作業道具を使う際には、手首が自然な位置に保たれるような環境を整えることが大切です。キーボードやマウスの高さ、椅子の位置を調整しましょう。

腱鞘炎の治療方法

腱鞘炎が発症した場合、早期の治療が重要です。治療法には以下の方法があります。

1. 安静

炎症がある部位を安静に保つことが最も重要です。痛みを感じる部位を使わないようにし、必要に応じてサポーターを使って固定することも有効です。

2. アイスパック

炎症を抑えるために、痛む部位にアイスパックをあてることが有効です。1回15〜20分程度冷やすと、腫れや痛みが軽減することがあります。

3. 薬物治療

痛みや炎症を軽減するために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用することがあります。これにより、炎症が和らぎ、痛みが軽減します。

4. 物理療法

リハビリや物理療法を行い、筋肉や腱の柔軟性を改善することが有効です。温熱療法や超音波療法を使用することもあります。

5. 手術

重度の腱鞘炎や薬物療法が効果を示さない場合、手術が必要になることがあります。手術によって炎症を引き起こしている部分を除去したり、修復したりすることがあります。

まとめ

手の腱鞘炎は繰り返しの動作や不適切な姿勢が原因で発症し、痛みや腫れ、こわばりなどの症状を引き起こします。適切な予防策を取り、症状が現れた場合は早期に治療を行うことが重要です。生活習慣を見直し、手や手首の負担を減らすことが腱鞘炎の予防と改善に繋がります。

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