抵抗器は、電気回路で電流の流れを制御する重要な電子部品です。抵抗の役割は、回路内の電流を減少させることにあります。抵抗の測定や使用方法について理解することは、電気回路の設計や修理に欠かせません。この記事では、抵抗器の種類とその測定方法について、詳細かつ包括的に説明します。
1. 抵抗器の種類
抵抗器にはさまざまな種類があり、それぞれの特性に応じて用途が異なります。以下は、主要な抵抗器の種類です。

1.1. 固定抵抗器
固定抵抗器は、一定の抵抗値を持つ抵抗器で、一般的な電子回路で広く使用されています。固定抵抗器には以下の種類があります。
- カーボンコンポジット抵抗器: 古くから使用されており、低コストで一般的な用途に適しています。高温や高電圧に弱いという欠点があります。
- 金属皮膜抵抗器: 高精度で安定した特性を持ち、カーボンコンポジットよりも高い耐久性を誇ります。主に精密機器やオーディオ機器に使われます。
- ワイヤーワウンド抵抗器: 高電力用の抵抗器で、金属のワイヤーを巻いて作られます。高い耐熱性と安定性が特徴ですが、サイズが大きくなることがあります。
1.2. 可変抵抗器
可変抵抗器は、使用者の設定に応じて抵抗値を調整できるタイプの抵抗器です。ボリュームやポテンショメーターとしても知られています。
- ボリューム: 音量調整などで使われる可変抵抗器で、主にオーディオ機器や家庭用電子機器に使用されます。
- ポテンショメーター: 電流の流れを細かく調整できる可変抵抗器で、実験室や電気機器で幅広く使われます。
1.3. 特殊抵抗器
特殊抵抗器は、特定の用途や環境に適応するように設計されています。これには次のようなものがあります。
- 熱電対用抵抗器: 温度変化に対して特別な反応を示す抵抗器で、温度測定に使用されます。
- ライトセンサー抵抗器: 光量に応じて抵抗値が変化するタイプの抵抗器で、光センサーやカメラの露出制御に利用されます。
2. 抵抗値の測定方法
抵抗の測定は、回路内での抵抗の大きさを把握するために重要です。以下では、代表的な測定方法について説明します。
2.1. オームメーターによる測定
オームメーターは、抵抗を測定するための基本的な機器です。オームの法則(V = IR)に基づき、オームメーターは電圧と電流を測定し、それらの値から抵抗を計算します。オームメーターを使用して抵抗を測定する手順は次の通りです。
- 回路の電源を切る: 測定を行う回路が通電していると、正確な測定ができません。必ず電源を切ってから測定を行います。
- テストリードを接続: オームメーターのテストリード(赤と黒のケーブル)を抵抗器の両端に接続します。
- 測定値を確認: オームメーターの表示画面に抵抗値が表示されます。この値が抵抗器の実際の抵抗値です。
オームメーターは、主に回路内で直接抵抗値を測定する際に使用されますが、特に固定抵抗器の確認に便利です。
2.2. マルチメーターによる測定
マルチメーター(テスタ)は、オームメーターに加えて電圧、電流、導通テストなども測定できる多機能な計測器です。マルチメーターを使用した抵抗の測定方法は、オームメーターとほぼ同様ですが、測定するモードに応じて設定を変更する必要があります。
- モードをオーム(Ω)に設定: マルチメーターをオーム(Ω)モードに設定します。
- テストリードを接続: テストリードを測定したい抵抗器の端子に接続します。
- 測定値を確認: 測定結果が表示されます。
マルチメーターは、より多機能な機器であり、抵抗だけでなく、電圧や電流の測定も可能です。故障診断や修理時にも重宝します。
2.3. ブリッジ回路による測定
ブリッジ回路は、非常に精密な抵抗の測定に使用される方法です。代表的なものはウェストンブリッジと呼ばれる回路です。この方法では、既知の抵抗値と比較して未知の抵抗を測定します。特に高精度な測定が求められる場合に使用されます。
- ブリッジ回路を構築: 回路内に既知の抵抗を含む橋を構築し、未知の抵抗を測定します。
- 平衡点の調整: ブリッジ回路内の可変抵抗を調整し、電圧のバランスを取ります。この平衡点での測定値が未知の抵抗に相当します。
ブリッジ回路は、主に研究室や高精度な測定が要求される場面で使用されます。
3. 抵抗の測定時の注意点
抵抗を測定する際には、いくつかの注意点があります。
- 温度の影響: 抵抗器の特性は温度によって変化するため、温度が高い環境で測定を行うと、実際の抵抗値よりも高く測定されることがあります。
- 直流と交流の違い: 一部の抵抗器は直流での測定と交流での測定結果が異なることがあります。特にインダクタンスを持つ抵抗器は、交流信号に対して異なる反応を示すため、測定時に注意が必要です。
- 接触不良: 測定機器と抵抗器との接触が不十分な場合、正確な測定ができません。テストリードをしっかりと接続し、接触不良を防ぎます。
結論
抵抗器は、電子回路において非常に重要な役割を担っており、抵抗値の測定は、回路の動作を理解し、修理や設計を行う上で欠かせない作業です。オームメーターやマルチメーターを使った基本的な測定方法を理解することは、エンジニアや電子機器愛好者にとって必須のスキルです。また、精密な測定が必要な場合は、ブリッジ回路を利用することが有効です。正しい方法で測定を行い、適切な抵抗を選択することが、安定した電子回路を構築する鍵となります。