高血圧（高血圧症）は、現在世界中で最も一般的な慢性疾患の一つであり、特に成人においてその罹患率は非常に高いです。高血圧は、血管に過度の圧力をかけることにより、心臓病や脳卒中など、深刻な健康問題を引き起こす可能性があるため、その予防と管理は非常に重要です。血圧は、収縮期血圧（上の血圧）と拡張期血圧（下の血圧）の2つの数値で測定されますが、特に注目すべきは「拡張期血圧」(または「下の血圧」)です。この数値は、心臓が収縮して血液を送り出した後、血管内の圧力が最も低くなる時点での血圧を示しており、血管の健康を示す重要な指標となります。
拡張期血圧とは？
拡張期血圧（下の血圧）は、心臓が血液を送り出して収縮した後、心臓が再び拡張して次の収縮に備える際の血管内の圧力を示します。この圧力が高すぎる場合、血管壁に過度な負担をかけ、最終的には動脈硬化や心血管疾患を引き起こす可能性があります。
拡張期血圧の測定は、血圧計を使って行われます。血圧計は、血流を一時的に止めることによって測定を行い、圧力がどの程度で解放されるかを確認することで、収縮期血圧と拡張期血圧の両方の数値を示します。一般的には、拡張期血圧が80mmHg未満であれば正常とされ、90mmHg以上であれば高血圧のリスクが高いとされます。
拡張期血圧が高いとどうなるか？
拡張期血圧が高い状態が続くと、血管内の圧力が常に高い状態になるため、血管の壁が厚くなり硬くなる可能性があります。これを「動脈硬化」と呼び、血管が柔軟性を失うことによって、血液の流れが妨げられるため、心臓への負担が増大します。結果として、心臓発作や脳卒中、腎臓病などの重大な疾患を引き起こすリスクが高まります。
また、拡張期血圧が高い状態は、心臓の左室に過度の負担をかけ、最終的には心不全を引き起こすこともあります。これにより、日常生活での疲れや息切れなど、さまざまな症状が現れることがあります。
拡張期血圧の管理方法
高血圧、特に拡張期血圧が高い場合は、適切な管理が必要です。以下はそのための主な対策です。
1. 食事の改善
塩分の摂取量を減らすことが、血圧を下げるためには非常に重要です。日本人は特に塩分の摂取量が多い傾向があり、これが高血圧の原因となります。減塩を心がけ、果物や野菜、魚を多く摂取することが推奨されます。また、カリウムやマグネシウムが豊富な食品（例：バナナやほうれん草）を摂取することも効果的です。
2. 適度な運動
定期的な運動は、血圧を正常な範囲に保つために非常に有効です。ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を週に数回行うことが推奨されます。運動は心臓を強化し、血管を弾力性のある状態に保つのに役立ちます。
3. 体重管理
肥満は高血圧を引き起こす大きな要因の一つです。適切な体重を維持することが、拡張期血圧の管理には不可欠です。食事の改善や運動を通じて、健康的な体重を保つことが重要です。
4. ストレス管理
ストレスは血圧を上昇させる原因の一つです。リラクゼーション技法（瞑想や深呼吸）、趣味に没頭する時間を持つこと、十分な睡眠を確保することが効果的です。
5. 禁煙と節酒
タバコの喫煙は血管を収縮させ、血圧を上昇させます。禁煙することで、血圧を正常に保つことができます。また、アルコールの摂取も適量を守り、過剰に飲むことは避けることが推奨されます。
6. 薬物療法
食事改善や運動、生活習慣の見直しだけでは効果が不十分な場合、医師による薬物療法が必要です。降圧薬を用いることで、血圧をコントロールすることが可能になります。これには、ACE阻害薬やカルシウム拮抗薬、利尿剤などが含まれますが、薬の使用は必ず医師の指導の下で行うべきです。
まとめ
拡張期血圧は、心血管系の健康を示す重要な指標です。高い状態が続くと、動脈硬化や心血管疾患、さらには脳卒中や腎臓病を引き起こすリスクがあります。生活習慣を改善し、食事の見直しや適度な運動を行うことが、血圧を正常に保つためには重要です。高血圧を予防し、管理するために、定期的に血圧を測定し、必要な対策を講じることが健康維持に繋がります。