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新生児の黄疸の原因

黄疸(おうだん)は、血液中のビリルビンという物質の濃度が異常に高くなることによって引き起こされる症状です。新生児において黄疸が発生することは比較的一般的であり、通常は数日内に改善しますが、原因によっては治療が必要となる場合もあります。黄疸が新生児に発生する原因にはいくつかの種類があり、それぞれ異なるメカニズムに基づいています。この記事では、新生児における黄疸の原因について詳しく説明します。

1. 生理的黄疸

生理的黄疸は、新生児における最も一般的な黄疸の原因です。通常、生後2〜3日目に現れ、通常は生後1週間以内に自然に治まります。このタイプの黄疸は、赤ちゃんの肝臓がまだ完全に成熟していないため、ビリルビンを効果的に処理できないことが原因です。赤ちゃんが生まれた直後、血液中の赤血球が急速に分解され、ビリルビンが生成されます。未熟な肝臓はそのビリルビンを十分に処理できず、黄疸が発生します。

2. 母乳性黄疸

母乳を与えている新生児に見られる黄疸の一形態で、通常は生後1週間から2週間の間に現れます。このタイプの黄疸は、母乳中のある成分がビリルビンの処理を妨げることによって引き起こされます。母乳性黄疸は通常、赤ちゃんが元気で食欲もあり、体重も順調に増加している場合には心配する必要はありません。ただし、ビリルビン値が非常に高くなると、治療が必要になることがあります。

3. 血液型不適合(Rh不適合およびABO不適合)

血液型不適合がある場合、特に母親と赤ちゃんの血液型が異なる場合、赤ちゃんの体内で免疫反応が起こり、赤血球が破壊されます。この破壊によって大量のビリルビンが生成され、黄疸が引き起こされることがあります。特にRh不適合の場合、母親がRh陰性で赤ちゃんがRh陽性の場合に起こりやすいです。ABO不適合は、母親と赤ちゃんの血液型が異なる場合に発生することがあります。これらの血液型不適合による黄疸は、生後24時間以内に発症することが多いです。

4. 感染症

新生児が感染症にかかると、黄疸が発生することがあります。感染症によって肝臓の機能が損なわれ、ビリルビンの処理がうまくいかなくなります。代表的な感染症には、細菌やウイルスによるものがあり、母体から新生児に感染することがあります。例えば、トキソプラズマや風疹ウイルス、B型肝炎ウイルスなどが原因になることがあります。

5. 肝臓疾患

新生児の黄疸の原因として肝臓の疾患も考えられます。肝臓が正常に機能していないと、ビリルビンを適切に処理できず、血液中にビリルビンが蓄積されます。新生児における肝臓疾患には、先天性の肝臓疾患や肝炎などが含まれます。肝臓の異常は一般的により深刻な病態であり、早期に診断と治療が必要です。

6. 胆道閉塞

胆道閉塞は、胆汁が肝臓から腸に流れ込む道が何らかの理由で閉塞または狭窄している状態です。胆道閉塞があると、胆汁(ビリルビンを含む)が正常に腸に排泄されず、血液中にビリルビンが蓄積されて黄疸を引き起こします。胆道閉塞は生まれつきのものもあれば、後天的に発症することもあります。このような状態は、通常は早期に発見され、治療が必要です。

7. 代謝異常

代謝異常も新生児における黄疸の原因の一つです。例えば、遺伝性の代謝障害であるガラクトース血症やフェニルケトン尿症などは、ビリルビンの処理を妨げることがあり、これが黄疸を引き起こす原因となります。このような代謝異常は早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。

8. 出産時のストレスや外傷

出産時のストレスや外傷も黄疸の原因となることがあります。出産時に赤ちゃんの体に圧力がかかったり、胎児の姿勢が悪かったりすると、赤血球が破壊されることがあります。この赤血球の破壊が過剰になり、ビリルビンが大量に生成されると、黄疸が現れることがあります。

9. ビリルビン代謝の遺伝的異常

一部の新生児には、ビリルビンの代謝を担当する酵素に遺伝的な異常がある場合があります。このような異常があると、ビリルビンの処理が十分に行われず、黄疸が発生することがあります。例えば、ギルバート症候群という疾患では、ビリルビンの代謝が遅くなるため、軽度の黄疸が見られることがあります。

まとめ

新生児における黄疸は、ほとんどの場合、生理的な原因や母乳性黄疸によるものです。しかし、黄疸が長期間続く、または異常に高い場合は、血液型不適合、肝臓疾患、感染症などが原因となっていることが考えられます。早期に原因を特定し、適切な治療を行うことが重要です。黄疸は通常は心配する必要のない症状である場合が多いですが、赤ちゃんの状態に異常を感じた場合は、医師の診断を受けることが勧められます。

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