智歯炎(ちしえん)は、智歯(第三大臼歯)が生えてくる過程で発生する炎症で、通常は成人の18歳から25歳くらいの時期に見られることが多いです。智歯は口腔内で最後に生えてくる歯であり、成長過程においてさまざまな問題を引き起こすことがあります。智歯炎は、感染や歯肉の炎症によって痛みを引き起こし、最終的には周囲の歯に悪影響を与える可能性もあります。以下に智歯炎の症状について詳しく説明します。
1. 智歯炎の主な症状
1.1 歯茎の腫れと痛み
智歯が生え始めると、歯茎が腫れることがよくあります。これにより、周囲の歯茎が赤くなり、触れると痛みを感じます。この痛みは、特に食事をしたり、歯ブラシで歯を磨いたりする際に悪化することがあります。

1.2 激しい口内の痛み
智歯が完全に生えない場合や、正しく生えない場合(例えば、斜めに生えたり、横に生えたりする場合)、歯茎やその周辺に痛みが生じます。この痛みは持続的で、特に歯が刺激を受けるときに強くなります。痛みが悪化すると、頭痛や耳鳴りを伴うこともあります。
1.3 歯肉の出血
智歯が生える過程で歯肉が炎症を起こすと、歯茎が赤く腫れるだけでなく、歯磨きの際や食事の後に出血が見られることがあります。これが進行すると、歯周病を引き起こす原因にもなり得ます。
1.4 口臭の発生
炎症を起こした智歯周辺では、細菌が繁殖しやすく、口臭が発生することがあります。特に、歯が完全に生えていない場合、歯茎に残った食べかすが細菌の餌となり、悪臭を放つ原因となります。
1.5 顎や耳の痛み
智歯が生える位置やその周囲に炎症が起きると、顎や耳周辺に放散痛が現れることがあります。この痛みは、歯自体に関係していなくても、炎症の影響で広がることがあるため注意が必要です。
2. 智歯炎の進行による追加症状
2.1 頭痛
智歯炎が進行すると、痛みが頭部に放散することがあります。特に、歯の痛みが顎や顔面全体に広がると、頭痛を引き起こすことが多いです。痛みの原因は、炎症が神経に影響を与えるためです。
2.2 発熱
智歯炎が進行して感染を引き起こすと、体が反応して発熱を起こすことがあります。発熱は、身体が感染に対して免疫反応を示しているサインです。
2.3 顔の腫れ
智歯が生える場所に膿が溜まり、それが膨張して顔が腫れることがあります。この腫れは通常、炎症がひどくなることで発生し、早期に治療が必要となります。
2.4 嚥下困難
口腔内の腫れがひどくなると、喉や舌が圧迫され、飲み込みにくくなることがあります。食事を取る際に痛みを伴い、飲み物を飲み込むのも困難になることがあります。
3. 智歯炎の原因と悪化するリスク
智歯炎が発生する主な原因は、智歯が完全に生えてこない場合や、周囲の歯肉に食べかすや細菌が詰まることです。また、智歯が生えている位置や角度が悪い場合(例:横に生えている、斜めに生えているなど)は、周囲の歯や歯茎に過度の圧力をかけ、炎症が起こりやすくなります。
さらに、免疫力が低下していると、感染が広がりやすく、症状が悪化するリスクが高まります。糖尿病や風邪などで免疫力が落ちているときは、注意が必要です。
4. 智歯炎の治療方法
智歯炎の治療は、症状の重さや炎症の進行度によって異なります。軽度の炎症であれば、抗生物質や痛み止め、消毒液を用いて症状を抑えることができます。歯科医による処置が必要な場合もあり、歯肉の切開や智歯の抜歯が行われることがあります。
智歯を抜歯する必要がある場合は、感染が広がる前に早期に治療を受けることが重要です。抜歯後は、適切な口腔ケアと、腫れや痛みを軽減するための治療が行われます。
5. 予防とケア
智歯炎を予防するためには、口腔衛生を保つことが最も重要です。定期的な歯磨きとフロスの使用、食後のうがいを徹底することで、細菌の繁殖を防ぐことができます。また、歯科医院で定期的に検診を受け、智歯の状態をチェックすることが推奨されます。
智歯が生えてくる際に痛みを感じた場合、早期に歯科医院で相談することが大切です。早期の処置により、症状が悪化する前に治療を始めることができます。
6. 結論
智歯炎は、智歯が生える過程で発生することが多い痛みを伴う疾患ですが、早期に治療を行えば、合併症を防ぐことができます。痛みや腫れ、出血などの症状が見られた場合には、無理に我慢せず、速やかに歯科医院で診察を受けることをお勧めします。自宅でのケアに加えて、定期的な歯科検診を受けることで、智歯に関する問題を未然に防ぐことができます。