水痘の感染経路と予防方法

完全かつ包括的な「水痘（みずぼうそう）」の記事：

水痘は、主に子どもに発症することが多い感染症ですが、大人にも感染することがあります。この病気は、特に水痘ウイルス（Varicella Zoster Virus, VZV）によって引き起こされ、非常に感染力が強いことで知られています。水痘にかかると、発熱、倦怠感、そして特に顔や体に広がる痒みを伴う発疹が特徴です。水痘は、接触感染と飛沫感染の二つの主要な方法で広がりますが、この記事ではその感染経路と予防方法について詳細に説明します。

1. 水痘の原因とウイルス

水痘は、ヘルペスウイルス科に属する水痘帯状疱疹ウイルス（VZV）によって引き起こされます。このウイルスは、感染者の体液や飛沫を通じて他の人に伝染します。水痘は、初めて感染すると「水痘」として現れますが、後にウイルスは体内に潜伏し、免疫力が低下すると「帯状疱疹」として再発することがあります。

2. 水痘の感染経路

(1) 飛沫感染

水痘ウイルスの主な感染経路は飛沫感染です。感染者が咳やくしゃみをしたとき、その飛沫に含まれるウイルスが空気中に放出され、これを他の人が吸い込むことで感染します。この飛沫は、数メートル範囲に広がることがあり、特に閉鎖的な場所や密閉された空間で感染が広がりやすくなります。

(2) 接触感染

水痘は、感染者の皮膚にできた水疱（すいほう）からも感染します。水疱が破れると、ウイルスが皮膚表面に出てきて、触れることによって他の人に感染します。感染者と物理的に接触することでウイルスが移ることもあります。このため、水疱ができている間は、他の人との接触を避けることが重要です。

(3) 母子感染

妊娠中の母親が水痘に感染すると、胎児にも影響を及ぼすことがあります。妊婦が水痘にかかると、早産や低出生体重、さらには生まれた赤ちゃんが水痘を発症するリスクが高くなります。そのため、妊婦は特に水痘に対して注意が必要です。

3. 水痘の潜伏期間と発症

水痘に感染すると、通常は10日から21日の潜伏期間を経て症状が現れます。この期間は、感染者が他の人に感染を広げることができる期間でもあります。最初は軽い発熱や倦怠感が現れ、数日後には発疹が顔や胸、背中、四肢に広がります。水疱は数日内にかさぶたを形成し、最終的にかさぶたが取れることで回復します。

4. 水痘の予防

水痘の予防には、ワクチンが最も効果的です。水痘ワクチンは、通常1歳前後で接種を開始し、定期的に予防接種を行うことで、感染のリスクを大きく減少させることができます。特に免疫力の弱い人々や、妊婦、高齢者、免疫不全の人々にとっては、予防接種が非常に重要です。

(1) ワクチン接種

日本では、1歳から2歳の間に1回目の水痘ワクチン接種が推奨されています。2回目の接種は、小学校入学前の5歳から6歳で行われることが一般的です。この2回の接種を受けることで、水痘にかかるリスクをほぼゼロに近づけることができます。特に水痘にかかったことがない大人や免疫力が低下している人も、ワクチン接種を検討すべきです。

(2) 感染者との接触を避ける

水痘にかかっている人との接触を避けることは、感染予防に最も効果的です。特に妊婦や免疫力の弱い人々は、感染者との接触を徹底的に避ける必要があります。また、感染者が発疹を発症した段階で数日間は他人との接触を避けることが重要です。

5. 水痘の治療

水痘自体には特効薬はありませんが、症状を和らげるための治療が行われます。発熱や痒みを抑えるための解熱剤や抗ヒスタミン薬が処方されることがあります。また、水疱を感染させないために清潔を保つことが重要です。

水痘が重症化することはまれですが、肺炎や脳炎、合併症が起こることもあります。特に免疫力が低下している人々や、赤ちゃん、高齢者においては注意が必要です。そうした場合、抗ウイルス薬（アシクロビルなど）が使用されることがあります。

6. 水痘の後遺症と再発

水痘に一度かかると、ほとんどの人は再発することはありませんが、ウイルスは体内に潜伏しているため、免疫が低下すると再び帯状疱疹として発症することがあります。帯状疱疹は水痘と同じウイルスによって引き起こされますが、成人に多く見られ、神経痛や皮膚の痛みを伴うことが特徴です。

7. まとめ

水痘は非常に感染力が強く、予防接種を受けることが最も効果的な予防方法です。感染した場合には症状を管理することが重要で、特に免疫力が低下している人や妊婦は感染を避けるために細心の注意を払いましょう。水痘にかからないことが最も重要ですが、万が一感染した場合でも、適切な治療と休養を取ることが回復への道です。