牛乳からチーズを作るプロセスは、何千年もの歴史を持つ伝統的な技術であり、現代の製造方法においても非常に重要です。チーズの製造は、主に牛乳の成分を変化させて固形物を取り出すことに基づいており、その過程にはいくつかの基本的な段階があります。以下に、牛乳からチーズを作る方法について詳細に説明します。
1. 牛乳の準備
チーズ作りの最初のステップは、良質な牛乳を選ぶことです。新鮮な牛乳が最適ですが、製造するチーズの種類によっては、牛乳を加熱することがあります。多くのチーズでは、牛乳を65〜72℃に加熱し、パスチャライズ(殺菌)することで、微生物や病原菌を取り除きます。パスチャライズは、衛生的で安全な製品を作るために不可欠なプロセスです。

2. 凝乳の生成
牛乳が適切な温度に加熱された後、次に行うのは凝乳を作ることです。これは、乳を固めるために「レンネット」と呼ばれる酵素を加えることによって行います。レンネットは、牛や他の動物の胃から得られる酵素で、乳蛋白質であるカゼインを分解し、牛乳を固めて「凝乳」を形成します。
レンネットを加えた後、牛乳をしばらく静かにしておきます。通常、このプロセスは30分から1時間程度かかり、凝乳は次第に固まってきます。この段階で、液体の部分(ホエイ)と固体の部分(カード)に分かれます。
3. カードの切断と加熱
次に行うのは、カード(固体部分)を小さく切ることです。カードが小さくなることで、ホエイが分離しやすくなります。カードの切り方やその後の加熱の方法は、作りたいチーズの種類によって異なります。例えば、ハードチーズの場合は、カードを小さく切ってからさらに加熱し、ホエイをよく分離させます。加熱の温度もチーズの種類によって異なり、通常は40〜55℃の間で行います。
4. ホエイの除去
カードを切った後、ホエイは液体部分として分離します。このホエイは、多くのチーズでそのまま廃棄されるか、別の用途に利用されることがあります。ホエイを取り除くことによって、カードの固さが増し、チーズのテクスチャーが決まります。
5. 塩漬け
カードからホエイを除去した後、塩を加えることで、チーズの保存性を高め、風味を強化します。塩の量や塩の加え方もチーズの種類に影響します。例えば、一部のチーズは塩水に浸す方法(ブライン)で塩を加え、他のものはカードに直接塩を混ぜる方法が取られます。
6. 成形と圧縮
塩を加えたカードは、チーズの型に入れて成形されます。この段階で、チーズはその最終的な形を取ります。型に入れた後、チーズは圧力をかけて水分をさらに抜き、形を整えます。圧縮の強さや時間もチーズの種類によって異なり、これによりチーズの密度やテクスチャーが決まります。
7. 熟成
成形が終わった後、チーズは熟成(エイジング)されます。熟成の期間は数日から数ヶ月、あるいは数年にわたることもあります。この期間中、チーズは温度と湿度が管理された環境で保存され、風味が増し、テクスチャーが変化します。熟成が進むにつれて、チーズの風味はより豊かになり、硬くなることもあります。
8. チーズの完成
熟成が終わると、チーズは完成です。最終的にできたチーズは、種類や製造方法によって異なる風味、テクスチャー、色を持ちます。例えば、チェダーやゴーダなどの硬いチーズは、長期間熟成されることが多い一方で、モッツァレラやカッテージチーズのような軟らかいチーズは短期間で消費されます。
結論
牛乳からチーズを作る過程は、科学的な技術と芸術的な感覚が求められる繊細な作業です。牛乳の質、温度管理、レンネットの使用、塩加減、そして熟成期間など、すべての要素が最終的なチーズの味わいに大きな影響を与えます。このプロセスを正確に守りながら、さまざまな種類のチーズが生み出され、世界中で愛されています。