甲状腺機能低下症の症状

甲状腺機能低下症(または甲状腺機能不全)は、甲状腺ホルモンの分泌が不足することによって引き起こされる状態です。甲状腺ホルモンは身体のさまざまな機能、特に代謝やエネルギーの生成に重要な役割を果たします。この状態は「甲状腺の低下」としても知られ、体の各機能に影響を与えることがあります。以下に、甲状腺機能低下症の症状について詳しく説明します。

1. 疲れやすさとエネルギー不足

甲状腺ホルモンはエネルギーの生産をサポートしていますが、その分泌が不足すると、体内でのエネルギー生成が低下します。その結果、日常的な活動でも疲れやすく、体力が著しく低下することがあります。この症状は特に朝起きた時に感じやすく、眠気や倦怠感が長引くこともあります。

2. 体重増加

甲状腺ホルモンは代謝を調節しています。ホルモンの分泌が不足すると、基礎代謝率が低下し、消費されるカロリーが減少します。そのため、食事量が変わらなくても体重が増加することがあります。この症状は甲状腺機能低下症が進行すると特に顕著になります。

3. 皮膚の乾燥と髪の変化

甲状腺機能が低下すると、皮膚が乾燥し、かゆみを感じることがあります。肌がつっぱったり、ひび割れやかさつきが生じることもあります。また、髪の毛が細くなり、脱毛が進行することもあります。髪質が変わることで、抜け毛が増える場合もあります。

4. 寒がり

甲状腺ホルモンは体温の調節にも関与しています。ホルモンが不足すると、体温が低下しやすくなり、冷え性が強くなります。寒さを感じやすくなるだけでなく、手足が冷たく感じることもあります。

5. 便秘

甲状腺ホルモンが不足すると、腸の運動が鈍くなり、便秘が起こりやすくなります。食物が腸内でゆっくりと移動し、正常な排便が難しくなります。便秘は甲状腺機能低下症の一般的な症状で、ひどくなると腹痛を伴うこともあります。

6. 筋力低下

甲状腺ホルモンは筋肉の健康にも影響を与えます。ホルモン不足によって筋肉のコントロールが難しくなり、筋力が低下することがあります。その結果、階段を登るのが大変になったり、立ち上がるのが難しくなったりすることがあります。

7. 気分の変動と抑うつ

甲状腺機能低下症は、感情や気分にも影響を与えることがあります。ホルモンの不足により、抑うつ感や不安感が強くなり、気分が落ち込みやすくなることがあります。また、以前は楽しんでいたことにも興味を失うことがあります。これらの症状は、甲状腺ホルモンのバランスが改善されることで緩和されることが多いです。

8. 集中力の低下と記憶障害

甲状腺機能が低下すると、脳の働きにも影響が出ます。そのため、物事に集中するのが難しくなったり、記憶力が低下したりすることがあります。特に、情報を覚えるのが困難になったり、思考が遅く感じることが増えることがあります。

9. 月経不順

女性において、甲状腺機能低下症は月経周期に影響を与えることがあります。月経が不規則になったり、月経の量が異常に多くなったり、逆に少なくなったりすることがあります。また、月経痛がひどくなることもあります。

10. 喉の腫れ(甲状腺腫)

甲状腺機能低下症が進行すると、甲状腺が腫れることがあります。これを「甲状腺腫」と呼び、喉に膨らみを感じることがあります。腫れが大きくなると、喉に圧迫感を感じたり、飲み込みにくくなったりすることがあります。

11. 呼吸困難や息切れ

甲状腺機能低下症の影響で、肺の機能や血液循環が遅くなることがあります。このため、日常的な運動や軽い活動でも息切れや呼吸困難を感じることがあります。

12. 高コレステロール

甲状腺ホルモンは、脂質代謝に関与しています。ホルモンが不足すると、血中のコレステロールが増加し、高コレステロール血症になることがあります。これにより、心血管疾患のリスクが高まる可能性があります。


甲状腺機能低下症は、さまざまな症状を引き起こし、身体のあらゆる面に影響を与える可能性があります。これらの症状は、日常生活において大きな影響を与えることがあり、放置しておくと健康状態が悪化する可能性もあります。そのため、症状に気づいた場合は早期に医師に相談することが重要です。診断は血液検査によって行われ、適切な治療(ホルモン補充療法)が行われることで、症状の改善が期待できます。

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