白亜紀(Cretaceous Period)は、地球の歴史の中で最も重要な時代の一つであり、約1億4500万年前から6600万年前にかけて存在しました。この期間は、恐竜の栄光の時代として知られ、また多くの地質学的、気候的、そして生物学的変化が起こった時代でもあります。白亜紀は、三畳紀とジュラ紀に続く時代であり、その後には恐竜を含む多くの生物が絶滅したことでも有名です。白亜紀の特徴的な出来事や重要な転換点について詳しく見ていきましょう。
1. 恐竜の進化と多様化
白亜紀は、恐竜の進化とその多様化が最も顕著に見られる時代でした。この時期、恐竜はさまざまな形態とサイズで進化し、陸上、空中、そして海中で多くの新しい種が登場しました。中でも特筆すべきは以下の恐竜です。

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ティラノサウルス(Tyrannosaurus rex):白亜紀後期に登場した最も有名な肉食恐竜であり、陸上の頂点捕食者として君臨しました。その巨大な体と強力な顎は、他の動物にとって脅威となりました。
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トリケラトプス(Triceratops):三本の角を持つ草食恐竜で、ティラノサウルスと共に白亜紀後期の北アメリカに生息していました。これらの恐竜は群れを成して生活していたと考えられています。
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プテラノドン(Pteranodon):空を飛ぶ恐竜で、長い翼を持ち、海上の魚を捕らえて生きていました。
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モササウルス(Mosasaurus):海中に生息していた巨大な爬虫類で、白亜紀中期に栄えました。
これらの恐竜は、白亜紀の多様な生態系を支える重要な要素となり、恐竜時代の栄光を象徴しています。
2. 植物の進化
白亜紀はまた、植物の進化においても重要な時期でした。この時期、被子植物(花を持つ植物)が登場し、その後の進化において大きな影響を与えました。被子植物は、種子を果実で包み、花を使って受粉を行う特徴を持ち、繁殖の仕組みを大きく変えました。この進化により、植物の多様性が飛躍的に広がり、動物たちにも新しい食物源を提供することになりました。
また、裸子植物(松やヒノキなどの木々)は引き続き広範囲に分布しており、これらの植物も恐竜たちの食物源となっていました。白亜紀中期には、現在私たちが知っている花粉を持つ植物が急速に進化し、これが後の陸上生物の生態系の基盤となりました。
3. 海洋の変化
白亜紀は海洋環境にも大きな変化が起こった時代です。海の中で多くの新しい生物種が進化し、特に海の爬虫類であるモササウルスやプレシオサウルスが繁栄しました。また、白亜紀後期には、海底で新たな海峡が開き、海洋の流れが変化しました。これが地球の気候や生態系に深刻な影響を与えることになりました。
さらに、白亜紀中期には、白亜紀の象徴的な地層である「白亜紀層」が海底に蓄積されました。これは、後に化石燃料の源となる有機物の蓄積を促進し、石油や天然ガスの生成に寄与しました。
4. 気候の変動
白亜紀の気候は、温暖で湿潤な気候が支配していました。この時代、地球全体の平均気温は現在よりも高く、極地方でも氷帽が存在しなかったと考えられています。これにより、恐竜たちは多くの地域に生息することができました。しかし、白亜紀後期には気候が次第に乾燥し、厳しい環境に変化していきました。この気候の変動が、恐竜を含む多くの生物の進化や絶滅に影響を与えました。
また、白亜紀中期から後期にかけて、大規模な火山活動が続き、大気中に大量の二酸化炭素が放出されました。これが温暖化を加速させ、気候の不安定さを引き起こしました。
5. 白亜紀末の大絶滅
白亜紀末(約6600万年前)には、恐竜をはじめとする多くの生物が絶滅する大規模な事件が発生しました。これは、現在では「白亜紀-第三紀境界大絶滅」として知られ、地球の歴史の中でも最も大きな絶滅の一つとされています。
この絶滅の原因としては、隕石の衝突が最も有力な説とされています。メキシコのユカタン半島にあるチクシュルーブ・クレーターは、巨大隕石が衝突した証拠とされ、この衝突が地球規模での環境の激変を引き起こし、恐竜をはじめとする多くの生物が絶滅したと考えられています。また、この衝突に伴って放出された火山ガスや煙が大気中に広がり、長期間にわたって日光を遮断し、気温の急激な低下を引き起こしたとも言われています。
この大絶滅によって、恐竜は完全に姿を消し、哺乳類や鳥類、そしてその他の生物が地球上で優位を占める時代が始まることとなりました。
結論
白亜紀は、恐竜が栄華を誇り、地球の生物群が大きく変化した時代でした。この時期の出来事は、地球の生態系に深い影響を与え、現在の地球環境の形成にも寄与しました。恐竜の多様化、植物の進化、海洋の変化、そして気候の変動など、白亜紀の出来事は私たちに多くの自然の法則や進化の過程を教えてくれます。そして、白亜紀末の大絶滅は、地球における生物の進化の転換点となり、次の時代への橋渡しとなったのです。