白血病(ホワイトブラッド、白血病)は、血液や骨髄で発生するがんの一種であり、異常な白血球が過剰に生成されることによって特徴付けられます。この病気は、白血球が正常に機能せず、体の免疫システムが弱まり、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。白血病はその発症のメカニズムや進行度合いに応じていくつかのタイプに分類されます。それぞれのタイプは、患者に異なる症状や治療法をもたらします。
白血病の種類
白血病には主に急性と慢性の2つの大きな分類があり、それぞれがさらにいくつかのタイプに分けられます。これらの分類は、病気の進行速度や影響を受ける血液細胞の種類に基づいています。

1. 急性白血病
急性白血病は、白血球が異常に急速に増殖するタイプの白血病で、早期に適切な治療を行わないと命に関わることがあります。急性白血病はその進行が非常に速いため、症状が急激に現れます。
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急性リンパ性白血病(ALL)
急性リンパ性白血病は、リンパ系の白血球(リンパ球)が異常に増殖する病気です。特に子供に多く見られますが、大人にも発症することがあります。リンパ球は免疫系で重要な役割を果たす細胞であり、この病気ではその細胞が正常に機能しなくなります。ALLは非常に迅速に進行し、早期の診断と治療が重要です。 -
急性骨髄性白血病(AML)
急性骨髄性白血病は、骨髄で発生する異常な白血球の増殖により引き起こされます。AMLは、特に成人に多く見られる白血病であり、骨髄内の未熟な白血球が過剰に生成され、正常な血球の生成が妨げられます。これにより、貧血や感染症のリスクが高まります。
2. 慢性白血病
慢性白血病は、急性に比べて進行が遅いため、症状が長期間にわたって現れることがあります。患者は初期段階で症状を感じないことが多く、診断されるまで時間がかかることもあります。
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慢性リンパ性白血病(CLL)
慢性リンパ性白血病は、リンパ球が異常に増殖する病気で、成人に多く見られます。特に60歳以上の高齢者に発症することが多いです。CLLは初期段階で症状がほとんど現れないため、診断が難しいことがありますが、進行が遅いため、長期間にわたって管理することが可能です。 -
慢性骨髄性白血病(CML)
慢性骨髄性白血病は、骨髄内で異常な白血球が増殖する疾患で、成人に多く見られます。この病気は進行が遅く、初期段階ではほとんど症状がありませんが、時間が経つにつれて急性に進行することもあります。CMLは「フィラデルフィア染色体」と呼ばれる遺伝的異常に関連していることが多いです。
白血病の症状
白血病の症状は、発症した白血病のタイプや進行度合いにより異なります。以下に、一般的な症状を示します。
1. 発熱と寒気
白血病患者はしばしば高熱と寒気を感じることがあります。これは、白血病によって免疫系が弱まり、感染症に対する抵抗力が低下するためです。
2. 貧血
白血病によって正常な赤血球の生成が妨げられるため、貧血が引き起こされることがあります。貧血の症状としては、倦怠感、めまい、息切れ、顔色の悪さなどが見られます。
3. 出血やあざ
血小板の数が減少することにより、出血やあざができやすくなります。軽い衝撃でも出血が起こることがあり、特に歯茎からの出血や鼻血がよく見られます。
4. 骨や関節の痛み
白血病により異常な白血球が増殖すると、骨や関節に痛みを感じることがあります。これは、骨髄内で白血球が増えることで圧迫が生じるためです。
5. 頻繁な感染症
白血病によって免疫系が機能しなくなるため、細菌やウイルスに対する抵抗力が低下します。その結果、感染症にかかりやすくなり、特に風邪や肺炎などの呼吸器系の感染症が頻発します。
6. 脾臓や肝臓の腫れ
白血病が進行すると、脾臓や肝臓が腫れることがあります。この症状は、腫れた臓器が圧迫を加えることによって、腹部に不快感や痛みを引き起こすことがあります。
白血病の診断
白血病の診断には、いくつかの検査が使用されます。主な診断方法には以下が含まれます。
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血液検査
白血病が疑われる場合、最初に行う検査は血液検査です。異常な白血球の数や形態が検出されることがあります。 -
骨髄検査
白血病の診断には、骨髄からサンプルを採取して調べることが一般的です。これにより、白血病の種類や進行具合を確認することができます。 -
遺伝子検査
特に慢性骨髄性白血病(CML)では、フィラデルフィア染色体の有無を確認するための遺伝子検査が行われます。 -
画像検査
CTスキャンや超音波検査などで、腫れた臓器の状態を確認することがあります。
白血病の治療方法
白血病の治療は、患者の状態や白血病の種類に応じて異なります。主な治療法は以下の通りです。
1. 化学療法
白血病治療の基本は化学療法です。化学療法薬は、異常な白血球を攻撃するために使用されます。化学療法は、急性白血病の治療に特に有効で、治療中はしばしば副作用が生じます。
2. 幹細胞移植
骨髄移植(または幹細胞移植)は、白血病治療において重要な手段です。健康な骨髄を他の人(ドナー)から移植することで、白血病細胞を排除し、正常な血液細胞の生成を促進します。
3. 標的療法
最近では、白血病の進行を遅らせるために標的療法が使われることも増えています。これは、がん細胞の特定の遺伝的異常を狙って攻撃する治療法です。
4. 免疫療法
免疫療法は、体の免疫系を活性化して白血病細胞を攻撃させる方法です。この治療法は、特に再発した白血病に対して有効であることがあります。
5. 放射線療法
一部の白血病患者には、放射線療法が適用されることがあります。これは、骨髄の中の異常な白血球を放射線で攻撃する方法です。
結論
白血病は、進行が早い場合や慢性の場合でも、早期の診断と治療が非常に重要な病気です。白血病の種類によって治療法が異なり、患者一人ひとりに合った治療が必要です。近年、治療法が進歩し、白血病患者の生存率は改善されていますが、依然として積極的な治療と医療サポートが求められる疾患です。