目の白目が黄色く見える現象、いわゆる「黄疸(おうだん)」は、眼球の白い部分にある強膜が黄ばむことを指します。黄疸が現れる原因は多岐にわたり、一般的には肝臓や胆嚢、血液の異常に関連しています。ここでは、黄疸が起こる主な原因を完全かつ包括的に解説します。
1. 肝臓疾患
肝臓は血液中のビリルビンという物質を処理する役割を担っています。ビリルビンは赤血球が分解される際に発生し、肝臓で処理され、最終的には胆汁として排泄されます。肝臓に問題がある場合、ビリルビンの処理がうまくいかず、血中に蓄積されることで、黄疸が現れることがあります。主な肝臓疾患には以下のものがあります。

(a) 肝炎
肝炎は肝臓の炎症で、ウイルス性肝炎(A型、B型、C型肝炎)やアルコール性肝炎、非アルコール性脂肪肝疾患などが原因となります。これらは肝臓の機能を損なうことがあり、ビリルビンの処理がうまくいかない結果、黄疸が発生することがあります。
(b) 肝硬変
肝硬変は長期的な肝臓の損傷によって肝組織が硬化し、肝機能が低下する状態です。肝硬変の進行により、ビリルビンの処理が困難になり、黄疸が現れます。
(c) 肝臓がん
肝臓に発生した癌も黄疸を引き起こすことがあります。肝臓がんは肝臓の機能を低下させるだけでなく、胆道を圧迫し、胆汁の流れを妨げることによっても黄疸を引き起こすことがあります。
2. 胆嚢の異常
胆嚢は肝臓で生成された胆汁を蓄える役割を持っています。胆嚢に異常があると、胆汁の流れが妨げられ、ビリルビンの処理がうまくいかないことがあります。代表的な胆嚢の異常には以下のものがあります。
(a) 胆石症
胆石は胆嚢内に形成される硬い結晶です。胆石が胆管を塞ぐことにより、胆汁がうまく排泄されず、ビリルビンが血中に蓄積されるため、黄疸が現れることがあります。
(b) 胆管炎
胆管に炎症が起こることを胆管炎と呼びます。胆管炎は胆石が胆管を塞ぐことによって起こることが多く、これが原因で黄疸が現れます。
(c) 胆管癌
胆管癌は胆管に発生する癌で、これが胆管を閉塞すると、胆汁の流れが妨げられ、黄疸を引き起こす原因になります。
3. 血液の異常
赤血球が過剰に破壊されると、ビリルビンが大量に生成され、肝臓で処理しきれなくなることがあります。これが原因で黄疸が現れる場合があります。
(a) 溶血性貧血
溶血性貧血は赤血球が異常に速く破壊される疾患です。赤血球の破壊が加速すると、その分だけビリルビンが増加し、黄疸を引き起こすことがあります。
(b) 新生児の黄疸
新生児の場合、肝臓が未発達であるため、ビリルビンの処理能力が未熟です。そのため、赤ちゃんは生後数日以内に黄疸が現れることがあります。通常は数日以内に回復しますが、重症化すると治療が必要です。
4. 薬剤の副作用
一部の薬剤は肝臓に負担をかけ、黄疸を引き起こすことがあります。特に肝臓で代謝される薬剤が原因となることがあります。代表的な薬剤には以下のようなものがあります。
(a) アセトアミノフェン(パラセタモール)
過剰摂取や長期間の使用が肝臓に影響を与え、黄疸を引き起こすことがあります。
(b) 抗生物質
一部の抗生物質も肝臓に影響を与え、黄疸を引き起こす可能性があります。例えば、リファンピシンやクロラムフェニコールなどがその例です。
(c) 抗けいれん薬
フェニトインやバルプロ酸などの抗けいれん薬も、肝臓に悪影響を及ぼし、黄疸の原因となることがあります。
5. その他の原因
黄疸の原因には、上記の疾患や状態以外にもいくつかの要因があります。
(a) 肝血流の障害
肝臓に血液が十分に流れなくなると、ビリルビンの処理がうまくいかなくなり、黄疸を引き起こすことがあります。これは肝血管に異常がある場合に見られることがあります。
(b) ギラン・バレー症候群
神経の疾患であるギラン・バレー症候群では、ビリルビンの処理が妨げられ、黄疸が発生することがあります。
まとめ
目の白目が黄色く見える黄疸の原因は多岐にわたり、主に肝臓や胆嚢、血液の異常によるものです。肝臓疾患や胆嚢の異常は、ビリルビンの排泄に影響を与え、血液の異常は赤血球の破壊を促進し、黄疸を引き起こします。また、薬剤やその他の疾患が原因となることもあります。黄疸が現れた場合は、早期に医師の診断を受け、原因を特定し、適切な治療を行うことが重要です。