抵抗の計算は、電気回路の設計や解析において非常に重要な役割を果たします。抵抗は電流の流れに対する反対作用を示す物理的特性であり、回路におけるエネルギーの消費や制御に関わる基本的な要素です。ここでは、抵抗が直列接続(直列)または並列接続(並列)された場合の計算方法について詳しく説明します。
直列接続における抵抗の計算
直列接続の場合、複数の抵抗が一列に並べられており、電流が順番にすべての抵抗を通過します。直列接続の特徴は、回路全体における電流がすべての抵抗を通過するため、電流の大きさは変わらず一定であることです。一方で、各抵抗にかかる電圧は異なり、合計電圧が各抵抗に分割されます。

直列接続における合成抵抗(全体の抵抗)は、次のように計算します。
R合成=R1+R2+R3+⋯+Rn
ここで、R1,R2,…,Rn は直列接続された各抵抗の値です。この計算式の意味は、直列接続された各抵抗の合計が全体の抵抗となるということです。
例:
もし、次のような抵抗が直列に接続されている場合を考えます:
- R1=2Ω
- R2=3Ω
- R3=5Ω
この場合、合成抵抗は以下のように計算されます:
R合成=2Ω+3Ω+5Ω=10Ω
直列接続では、抵抗が増えることで全体の抵抗が大きくなり、回路を流れる電流は減少します。したがって、直列回路では抵抗値が大きくなるほど、回路内の電流の流れが抑制されます。
並列接続における抵抗の計算
並列接続の場合、複数の抵抗が並んで接続され、各抵抗の端子が共通の端子で接続されます。並列回路の特徴は、電圧がすべての抵抗に同じようにかかり、電流は各抵抗を通過する際に分かれます。このように、並列接続では抵抗の合成値は直列接続とは異なり、一般的に直列よりも小さくなります。
並列接続における合成抵抗は、次の式で計算できます:
R合成1=R11+R21+R31+⋯+Rn1
ここで、R1,R2,…,Rn は並列接続された各抵抗の値です。合成抵抗は逆数の和に関する式となるため、計算時には最初に逆数を求め、その後で逆数をとる必要があります。
例:
もし、次のような抵抗が並列に接続されている場合を考えます:
- R1=2Ω
- R2=3Ω
- R3=6Ω
この場合、合成抵抗は次のように計算されます:
R合成1=2Ω1+3Ω1+6Ω1
それぞれの逆数を求めると:
R合成1=0.5+0.3333+0.1667=1.0
したがって、合成抵抗は次のようになります:
R合成=1.01=1Ω
並列接続では、抵抗の合成値は通常、各個別の抵抗よりも小さくなります。これにより、並列接続は回路全体の抵抗を減少させ、より多くの電流が流れることになります。
直列と並列の組み合わせ
実際の回路では、直列接続と並列接続を組み合わせて使用することが一般的です。このような回路の場合、まず直列接続の部分の合成抵抗を計算し、次に並列接続の部分の合成抵抗を求め、最終的に全体の合成抵抗を計算します。
例えば、直列と並列接続が混在する回路で、まず直列接続の部分を計算し、その後で並列接続を計算するという手順になります。このような場合でも、基本的な計算方法は直列接続と並列接続の場合で説明した通りです。
抵抗の計算における注意点
- 単位に注意:抵抗の単位はオーム(Ω)であり、計算時には常に単位に注意しましょう。直列接続では単位オームをそのまま足し算し、並列接続では逆数の和を求めるため、最終的な単位を確認することが重要です。
- 実際の回路での誤差:実際の回路では、理論的な計算結果と若干の誤差が生じることがあります。これは抵抗の公差や、回路に含まれる他の要素(例えば、温度や材料特性など)による影響です。
まとめ
直列接続と並列接続における抵抗の計算方法は基本的でありながら非常に重要です。直列接続では抵抗が加算され、並列接続では逆数の和を取ることが基本となります。回路設計や解析においては、これらの計算方法を理解し、適切に活用することが重要です。