研究におけるインタビューの種類と目的は、学術的な調査やデータ収集の手法として非常に重要です。インタビューは、特定の研究質問に対する深い洞察を得るために用いられ、調査対象者の意見や経験を直接的に収集する方法です。以下では、インタビューの種類とそれぞれの目的について詳細に説明します。
1. インタビューの種類
インタビューには主に以下の三つの種類があります。それぞれの方法は、研究の目的や対象に応じて選択されます。
1.1 構造化インタビュー(Structured Interview)
構造化インタビューは、事前に決められた質問リストに従って行われるインタビューです。質問の内容、順序、言い回しが決まっており、インタビュアーはそれを厳密に守ります。データ収集が標準化されるため、結果の比較や分析がしやすく、再現性のある結果が得られる点が特徴です。
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目的:主に量的データを収集することが目的であり、特定の仮説や理論を検証するために用いられます。多くのサンプルから一貫したデータを得るために有効です。
1.2 半構造化インタビュー(Semi-Structured Interview)
半構造化インタビューは、インタビュアーが一部の質問を事前に準備するものの、インタビュー中に対象者の反応に基づいて質問を追加したり、変更したりすることができる柔軟性を持っています。これにより、予期しない重要な情報を引き出すことができ、質的データの収集に非常に適しています。
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目的:主に質的データを収集し、対象者の経験や視点を深く掘り下げるために使用されます。対象者の自由な意見や深層的な意見を聞くことができ、詳細な理解が得られます。
1.3 非構造化インタビュー(Unstructured Interview)
非構造化インタビューは、インタビューがほぼ自由形式で行われる方法です。インタビュアーはあらかじめ質問を用意せず、対象者に自由に話してもらう形になります。この方法は、非常に深い洞察を得るために使用され、質的データ収集の最も自由度の高い形式です。
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目的:対象者の意見や感情、経験を完全に自由な形で引き出すことを目的としています。特定のテーマに関する深層的な理解を得るために有効です。
2. インタビューの目的
インタビューを実施する目的は、主に以下のようなものがあります。それぞれの研究テーマに応じて、目的に最も合ったインタビュー方法を選択します。
2.1 情報収集
インタビューの最も基本的な目的は、研究に必要な情報を収集することです。特に、既存のデータベースにないような、対象者個々の視点や経験を反映させることが求められる場合に有効です。たとえば、社会問題や心理的な研究など、数値化しにくいデータを収集する際に重要です。
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目的例:調査対象者が経験した出来事や意見を聞き、個別のケーススタディとして分析すること。
2.2 視点の理解
インタビューを通じて、研究対象者がどのように物事を考え、感じているかを深く理解することができます。この目的では、調査対象者の個人的な意見や価値観を探ることが求められます。特に社会科学や教育学、心理学の分野でよく使用されます。
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目的例:特定の社会的な問題について、対象者がどのような視点を持っているかを把握すること。
2.3 仮説の検証
既存の理論や仮説が実際のデータとどのように一致するかを確認するためにインタビューを使用することがあります。この目的では、調査対象者の意見や経験が、理論的な枠組みに適合するかどうかを検証します。特に質的な研究でよく行われます。
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目的例:仮説として立てた社会現象が、実際にどのように起きているのか、対象者の証言を通じて検証する。
2.4 問題の特定
インタビューを通じて、研究対象に関連する問題や課題を特定することができます。特に、問題がどのように発生し、どのように対処されているのか、またはどのように解決されるべきかを理解するために役立ちます。
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目的例:企業の組織課題や、教育現場での問題点を特定すること。
2.5 対象者の感情や意図の把握
インタビューは、対象者の感情や意図を理解するためにも使用されます。特に、意図や動機、個々の心理的な側面に焦点を当てる研究において有効です。
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目的例:消費者行動の研究において、製品購入の意図や感情的な反応を分析する。
3. インタビューの実施方法と注意点
インタビューを行う際には、以下の点に注意することが重要です。
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倫理的配慮:対象者に対して充分な説明を行い、インタビュー内容がどのように使用されるのかについて透明性を持つことが求められます。また、インタビューの結果は機密として取り扱うことが必要です。
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対象者選定:インタビューの目的に応じて適切な対象者を選定することが重要です。対象者が持つ知識や経験が研究テーマに直接関連しているかを考慮します。
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質問の設計:質問は明確で中立的である必要があります。誘導的な質問を避け、対象者が自由に意見を述べられるような質問設計を心がけます。
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録音と記録:インタビューの内容を正確に記録するために、録音を行うことが一般的です。ただし、録音を行う際には対象者の同意を得ることが必須です。
結論
インタビューは、研究において非常に有効なデータ収集方法の一つであり、特に質的データを収集する際には欠かせない手法です。構造化、半構造化、非構造化といった種類があり、それぞれの特徴を理解した上で目的に応じたインタビュー方法を選択することが成功に繋がります。研究者は、インタビューを通じて得た情報を正確に分析し、研究課題に対する深い理解を得ることが求められます。

