心臓の突然の鼓動、つまり「急性の動悸」や「心拍の乱れ」は、さまざまな原因によって引き起こされることがあります。これが一過性のものであれば特に深刻な問題ではない場合もありますが、頻繁に発生する場合や長時間続く場合には、注意が必要です。この記事では、心臓の急な動悸の原因、診断、治療法について包括的に解説します。
急性の心拍の乱れの原因
心臓の動悸は、心臓が予想外に速くまたは不規則に拍動する状態です。原因は非常に多岐にわたります。以下にその主な原因を挙げます。
1. ストレスや不安
過度のストレスや不安は、身体にさまざまな影響を及ぼします。交感神経が活発になり、アドレナリンの分泌が増加することで、心拍数が一時的に増加することがあります。これは通常、心臓に特別な問題がない場合でも、心拍数が速くなる原因となります。
2. 運動
激しい運動や突然の身体的な活動も、心臓の動悸を引き起こす原因となります。特に運動の最中に心拍数が急激に増加することがあり、これが突然の動悸として感じられることがあります。
3. カフェインやアルコール
カフェインやアルコールも心臓の動悸を引き起こすことがあります。カフェインは交感神経を刺激し、心拍数を増加させるため、過剰に摂取することで動悸が発生する可能性があります。同様に、アルコールの摂取後に心拍数が不規則になることもあります。
4. 甲状腺疾患
甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)」では、心拍数が速くなることがあります。この状態では、動悸のほかにも体重減少や発汗、手の震えなどの症状が見られることがあります。
5. 不整脈
不整脈(心房細動、心室性頻拍など)は、心臓のリズムが乱れることによって動悸を引き起こします。不整脈は時に生命を脅かすことがあるため、早期の診断と治療が必要です。
6. 高血圧
高血圧は心臓に負担をかけ、心臓の動悸を引き起こすことがあります。血圧が高いと、心臓が過剰に働かなくてはならなくなり、その結果、動悸が発生することがあります。
7. 貧血
貧血(特に鉄欠乏性貧血)により、酸素の供給が不足することで、心臓は酸素を多く送ろうとし、心拍数が増加します。これも動悸の原因となります。
8. その他の病気や薬物
肺疾患、糖尿病、心疾患などの基礎疾患も動悸を引き起こすことがあります。また、特定の薬物(例えば、気管支拡張薬や抗うつ薬など)も副作用として動悸を引き起こすことがあります。
心臓の動悸の診断方法
心臓の動悸が気になる場合、医師による正確な診断が必要です。以下の方法で診断が行われます。
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問診
医師は、患者の症状や生活習慣、過去の病歴を詳しく聴取します。動悸が発生するタイミングやその頻度、持続時間などが重要な情報となります。 -
心電図(ECG)
心電図は、心臓の電気的活動を記録する検査で、動悸の原因となる不整脈や心拍の異常を検出するために用いられます。急性の動悸の際には、心電図検査が特に重要です。 -
ホルター心電図
ホルター心電図は、24時間以上にわたり心電図を記録する検査です。これにより、日常生活の中での心拍数やリズムの乱れを確認することができます。 -
血液検査
血液検査を行うことで、貧血や甲状腺の異常、電解質のバランスの乱れなどが原因となっているかを確認することができます。 -
エコー検査
心臓の構造や動きを詳しく見るための超音波検査です。心臓の疾患が原因で動悸が起きている場合には、この検査で異常が発見されることがあります。
動悸の治療法
動悸の治療は、原因によって異なります。以下に代表的な治療法を紹介します。
1. ストレス管理
ストレスが原因の場合、リラックスする方法を取り入れることが有効です。深呼吸、瞑想、ヨガなどが心拍数を安定させるのに役立つことがあります。
2. 薬物療法
不整脈が原因である場合、薬物(抗不整脈薬、ベータ遮断薬など)が処方されることがあります。これにより、心拍数の安定や不整脈の改善が期待できます。
3. 生活習慣の改善
高血圧や糖尿病、肥満が原因となっている場合、食事や運動習慣の見直しが推奨されます。塩分の制限や定期的な運動は心臓の健康に良い影響を与えます。
4. 外科的治療
重度の不整脈や心疾患が原因の場合、カテーテルアブレーションやペースメーカー、心臓手術などが必要となることがあります。
5. 甲状腺の治療
甲状腺機能亢進症が原因である場合、甲状腺ホルモンの正常化を図る治療が行われます。抗甲状腺薬や放射線治療、手術が選択肢となります。
まとめ
心臓の急な動悸は、ストレスや不安、運動、カフェインなどの一過性の要因から、甲状腺疾患や不整脈、高血圧といった深刻な健康問題までさまざまな原因が考えられます。動悸が頻繁に起こる場合や長時間続く場合には、早期の診断と適切な治療が必要です。心臓の健康を守るためには、生活習慣を見直し、定期的な検診を受けることが重要です。
