糖尿病は、体が適切にインスリンを使用できないか、インスリンを十分に分泌できないことで、血糖値が高くなる病気です。この病気は、1型糖尿病と2型糖尿病に大別されますが、どちらも初期段階では症状が現れにくいため、気づかないうちに進行することがあります。糖尿病の症状を理解し、早期に診断を受けることは、病気の管理において非常に重要です。
糖尿病の初期症状
糖尿病の最も一般的な症状には、以下のようなものがあります:

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頻繁な排尿:
糖尿病が進行すると、体が過剰な糖分を尿として排出しようとします。これにより、尿の量が増加し、頻繁にトイレに行くようになります。 -
極度の喉の渇き:
高い血糖値が体内の水分を奪うため、口が乾きやすくなり、水分を多く摂取したくなります。この症状が続くと、脱水症状を引き起こす可能性があります。 -
体重の減少:
1型糖尿病では、体がインスリンを十分に使用できず、エネルギー源として糖を利用できないため、体重が急激に減少することがあります。2型糖尿病でも同様の症状が現れることがありますが、1型に比べて進行が遅いことが一般的です。 -
視力のぼやけ:
高血糖が続くと、目のレンズの水分バランスが崩れ、視力が一時的にぼやけることがあります。これも糖尿病の典型的な症状です。 -
疲れやすさ:
糖尿病では体がエネルギー源をうまく利用できなくなるため、慢性的に疲れやすくなります。日常的にエネルギー不足を感じることが多くなります。 -
傷の治りが遅い:
高血糖状態が続くと、体の免疫力が低下し、傷や感染症の治癒が遅れることがあります。小さな傷が長期間治らない場合は、糖尿病の兆候かもしれません。 -
足のしびれや痛み:
糖尿病が進行すると、神経に影響を与え、足や手のしびれ、痛み、感覚の鈍化が生じることがあります。これを糖尿病性神経障害と呼びます。
糖尿病の診断方法
糖尿病が疑われる場合、いくつかの検査を行って診断が確定されます。以下は代表的な検査です:
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血糖値検査:
1回の血液検査で、空腹時の血糖値を測定します。通常、空腹時血糖値が126 mg/dL以上であれば糖尿病と診断されます。 -
ヘモグロビンA1c検査:
血糖値の過去2〜3ヶ月の平均値を測定する検査です。この値が6.5%以上であれば糖尿病の診断が下されます。 -
経口ブドウ糖負荷試験(OGTT):
75gのブドウ糖を摂取し、その後の血糖値を測定することで、糖尿病の診断を行います。2時間後の血糖値が200 mg/dL以上であれば糖尿病と診断されます。 -
尿検査:
糖尿病では、尿中に糖が含まれることがあります。尿検査によって糖が検出される場合、血糖値が高い可能性があります。
糖尿病の予防と管理
糖尿病の予防と管理には、日常的な生活習慣の改善が必要です。以下のポイントが重要です:
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食事管理:
食事は血糖値を管理するために非常に重要です。糖質の摂取をコントロールし、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。特に食物繊維が豊富な野菜や果物、全粒穀物を積極的に摂ることが推奨されます。 -
運動:
定期的な運動は血糖値を安定させ、インスリンの働きを改善します。ウォーキングや軽いジョギングなど、無理なく続けられる運動を取り入れることが重要です。 -
体重管理:
健康的な体重を維持することで、糖尿病の予防や症状の改善が期待できます。肥満は2型糖尿病のリスクを高めるため、体重管理は非常に重要です。 -
禁煙:
喫煙は糖尿病の合併症のリスクを高めるため、禁煙することが勧められます。 -
定期的な血糖値のチェック:
糖尿病のリスクが高い人は、定期的に血糖値をチェックし、異常があれば早期に対処することが大切です。
糖尿病の合併症
糖尿病は、血糖値が長期間にわたって高い状態が続くことで、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。主な合併症には、次のようなものがあります:
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心血管疾患:
糖尿病は動脈硬化を進行させ、心臓病や脳卒中のリスクを高めます。 -
腎臓病(糖尿病性腎症):
高血糖が続くことで腎臓に負担がかかり、最終的には腎不全に至ることもあります。 -
視力障害(糖尿病網膜症):
糖尿病が進行すると、網膜に影響を与え、視力が低下することがあります。 -
神経障害(糖尿病性神経障害):
長期間高血糖が続くことで、神経が損傷し、手足のしびれや痛みを引き起こすことがあります。 -
足の障害(糖尿病性足病変):
糖尿病は足の血行を悪化させ、感染症や足の壊死を引き起こすことがあります。
まとめ
糖尿病は、初期にはほとんど症状が現れませんが、放置すると深刻な合併症を引き起こすことがあります。症状を見逃さず、早期に診断を受けることが重要です。また、糖尿病の予防や管理には、健康的な生活習慣が欠かせません。定期的な血糖値チェックと、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、糖尿病の進行を防ぎましょう。