肩の腱炎の症状について
肩の腱炎(肩腱板炎)は、肩の腱が炎症を起こす疾患であり、特に肩関節周囲の腱や筋肉に多く見られます。肩は非常に可動域が広いため、腱板やその他の肩の構造にかかる負担が大きく、これが腱炎の原因となることがよくあります。肩の腱炎の症状は、日常生活に支障をきたすことが多く、早期の診断と適切な治療が求められます。

1. 痛み
肩の腱炎で最も顕著な症状は、肩の痛みです。痛みは通常、肩関節の前方または外側に感じられます。初期段階では軽い痛みから始まり、徐々に強くなることがあります。特に夜間や朝の起床時に痛みが増すことが多いです。また、痛みは肩を動かしたときに悪化することが一般的で、特に手を頭上に持ち上げる動作や、肩を後ろに引く動作で強く感じることがあります。
2. 可動域の制限
腱炎による痛みが強くなると、肩の可動域が制限されることがあります。肩を動かす際に痛みが発生するため、無意識に肩を動かさないようにすることがよくあります。その結果、肩の可動域が徐々に狭まり、腕を上げる、横に広げる、後ろに引くなどの動作が難しくなることがあります。この可動域の制限は、肩関節の機能低下を引き起こし、日常生活での不便さを感じさせることが多いです。
3. 肩のこわばり
肩の腱炎が進行すると、肩関節周囲の筋肉や腱が硬直することがあります。これにより、肩がこわばって感じられ、特に朝起きたときや長時間動かさなかった後に肩が固く感じることが多いです。このこわばりは、肩を動かす際に抵抗を感じたり、痛みを伴ったりする原因となります。
4. 腕の力の低下
肩の腱炎が進行することによって、肩を支える筋肉や腱が機能しなくなることがあり、腕の力が低下します。物を持ち上げることが難しくなったり、肩を使って重いものを運ぶ際に力が入らないと感じることがあります。この力の低下は、日常的な動作に影響を及ぼし、仕事や家事に支障をきたすことがあります。
5. 肩の腫れや熱感
炎症が進行すると、肩関節周囲が腫れたり、温かく感じたりすることがあります。腫れは、肩の腱や筋肉が炎症を起こしている証拠であり、痛みとともに現れることが多いです。また、炎症がひどくなると、触ったときに熱を感じることがあり、これは炎症反応の一部です。
6. 肩の音(クレピタス)
肩を動かす際に、「パチパチ」や「ゴリゴリ」という音が聞こえることがあります。これは、肩の腱が炎症を起こし、腱板や骨との摩擦が生じているためです。この音は、肩を動かしたときに特に顕著に感じられることがありますが、必ずしも全ての患者に見られるわけではありません。
7. 障害感や疲労感
肩の腱炎が長引くと、肩に常に疲労感を感じることがあります。特に長時間同じ姿勢でいたり、肩を使う動作を繰り返したりすると、疲労が蓄積され、肩に重だるさや不快感を感じることが増えます。この疲労感は、痛みとともに肩の動きにさらに制限をかけ、生活の質に大きな影響を与えることがあります。
まとめ
肩の腱炎の症状は痛み、可動域の制限、こわばり、力の低下、腫れ、音、疲労感などさまざまな形で現れます。これらの症状は進行すると日常生活に大きな支障をきたすことがあり、早期に治療を行うことが非常に重要です。肩の腱炎が疑われる場合は、専門医による診断と治療が必要です。適切なリハビリテーションや治療法を行うことで、症状の改善が期待できます。