肺高血圧症(肺圧亢進症)について
肺高血圧症(肺圧亢進症、Pulmonary Hypertension, PH)は、肺の動脈における血圧が異常に高くなる疾患であり、その結果として心臓に大きな負担をかける病気です。この疾患は、さまざまな原因によって引き起こされる可能性があり、早期発見と適切な治療が重要です。本記事では、肺高血圧症の原因、症状、診断、治療方法について、詳しく解説します。
1. 肺高血圧症の原因
肺高血圧症は、肺の血管に高い圧力がかかることで発症します。肺の血管は、右心房から肺へと血液を送る役割を担っており、肺高血圧症はこの血液の流れに問題が生じることで起こります。肺高血圧症の原因は大きく分けて以下のように分類できます:
1.1 原発性肺高血圧症(特発性肺高血圧症)
原発性肺高血圧症は、原因が不明である場合を指します。通常、遺伝的要因や環境的要因が関与しているとされていますが、特定の原因が明確に特定できない場合もあります。このタイプの肺高血圧症は稀で、発症のメカニズムは複雑であるため、治療は難しいことがあります。
1.2 二次性肺高血圧症
二次性肺高血圧症は、他の疾患が原因で肺圧が高くなる場合です。これには、以下のような疾患が関与します:
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慢性閉塞性肺疾患(COPD):肺が十分に酸素を取り込むことができなくなるため、肺の血管に負担がかかり、肺高血圧症を引き起こします。
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心疾患:左心不全や心臓弁膜症などが原因となり、肺高血圧症を引き起こすことがあります。
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血栓症:肺動脈血栓症(肺塞栓症)が慢性的に続くことにより、肺の血管に圧力がかかり、高血圧状態が続きます。
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結合組織疾患:全身性エリテマトーデス(SLE)や強皮症など、免疫系が関与する疾患が肺高血圧症を引き起こすことがあります。
2. 肺高血圧症の症状
肺高血圧症の初期段階では症状がほとんど現れないことが多いため、診断が遅れることがあります。しかし、症状が進行すると、以下のような兆候が現れることがあります:
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息切れ:軽度の運動や日常的な活動でも息切れを感じることが増えます。
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胸痛:胸の圧迫感や痛みを感じることがあります。
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疲労感:体力が低下し、疲れやすくなることが多くなります。
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むくみ:足や腹部のむくみが現れることがあります。
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失神やめまい:血流が十分に確保できないことによって、突然の失神やめまいを感じることがあります。
これらの症状は、他の病気とも共通する部分が多いため、肺高血圧症を疑った場合には専門医による診断が重要です。
3. 肺高血圧症の診断方法
肺高血圧症を診断するためには、いくつかの検査が行われます。これには、以下の方法が含まれます:
3.1 体力テストと症状の評価
医師は、患者の症状や体力を確認し、肺高血圧症の可能性を考慮します。息切れや疲労感の程度、日常生活における活動制限などを詳細に評価します。
3.2 心エコー(超音波検査)
心臓の動きや血流の状態を調べるために心エコーが行われます。心エコーによって、右心房や右心室の大きさ、肺動脈の圧力が推定され、肺高血圧症の診断に役立ちます。
3.3 カテーテル検査(右心カテーテル)
最も確実な診断方法の一つが、右心カテーテル法です。この検
