「脇の下にできた皮膚の下のしこり(膨らみ)の原因と治療法」
脇の下に小さなしこりや膨らみができることは、誰にでも一度は経験があるかもしれません。これらのしこりの多くは無害ですが、中には病気や感染症が原因となっている場合もあります。この記事では、脇の下にできる皮膚下のしこりの原因、診断方法、治療法について、科学的かつ詳細に解説します。

1. 脇の下のしこりの原因
脇の下にしこりが現れる原因は様々です。以下に代表的なものを挙げます。
1.1 リンパ節の腫れ
脇の下にはリンパ節(リンパ腺)が集中しています。リンパ節は免疫システムの一部として、体内で発生した感染症や異常細胞を攻撃する役割を果たします。風邪やインフルエンザ、皮膚の感染症などが原因で、リンパ節が腫れることがあります。これが脇の下のしこりとして感じられることが多いです。
症状:
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しこりが柔らかく、動かしやすい。
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痛みを伴うことがある。
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風邪や発熱などの症状がある場合。
1.2 皮膚の感染症(膿瘍)
皮膚の細菌感染により膿瘍(膿のたまり)が形成されることがあります。これが脇の下で発生することもあります。膿瘍は通常、痛みや赤みを伴い、膿が出てきます。
症状:
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脇の下に赤く膨れ上がったしこり。
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強い痛みを伴い、触ると敏感。
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膿が漏れ出すことがある。
1.3 毛嚢炎(もうのうえん)
毛穴が感染して炎症を起こす状態を「毛嚢炎」と呼びます。脇の下も多くの毛穴があるため、毛嚢炎が発生することがあります。軽度の場合、白い膿の小さなしこりが現れます。
症状:
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小さな白い膿が溜まったしこり。
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しこりが硬く、痛みを感じることがある。
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脇の下に小さな膿の点が見えることがある。
1.4 アテローム(粉瘤)
アテロームは、皮膚の下に脂肪や死んだ皮膚細胞が溜まり、袋状に膨らんだものです。これは良性の腫瘍であり、通常は無害ですが、大きくなると痛みを伴うことがあります。
症状:
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皮膚下に滑らかで丸いしこり。
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徐々に大きくなることがある。
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通常、痛みは少ないが、圧力をかけると痛みを感じることがある。
1.5 乳腺症(男性または女性)
脇の下にある乳腺組織が何らかの理由で膨張したり、しこりが形成されたりすることがあります。特にホルモンの変動が原因となることが多いです。
症状:
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脇の下のしこりが硬い。
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月経周期やホルモンバランスの影響を受けることが多い。
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他に特別な症状(痛みなど)はあまりない。
1.6 脂肪腫
脂肪腫は良性の腫瘍で、皮膚下に柔らかく、動きやすいしこりとして現れます。脂肪組織が異常に増殖することによって発生しますが、通常は痛みがないことが特徴です。
症状:
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皮膚下に柔らかく、動きやすいしこり。
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大きくなることがあるが、痛みは少ない。
2. しこりの診断方法
脇の下にしこりが現れた場合、自己診断は避け、専門の医師に相談することが重要です。診断には以下の方法が用いられます。
2.1 問診と視診
まず、医師は患者の症状や病歴を聞き、しこりの大きさや形状、痛みの有無などを確認します。また、しこりの周囲の皮膚や発熱の有無も重要な診断材料となります。
2.2 超音波検査
しこりの性質(良性か悪性か)を判断するために、超音波検査が行われることがあります。この検査は痛みがなく、しこりの内部構造を視覚的に確認できるため、非常に有効です。
2.3 生検
疑わしいしこりが悪性の腫瘍である可能性がある場合、細胞を採取して調べる生検が行われることがあります。これにより、がんなどの病気を早期に発見することができます。
3. 治療法
脇の下にしこりができた場合、その治療法は原因によって異なります。
3.1 リンパ節の腫れ
感染症が原因でリンパ節が腫れている場合、通常は感染症が治癒するとともに、腫れも引いていきます。抗生物質や痛み止めを使うこともありますが、治療は基本的に感染症の治療に依存します。
3.2 皮膚の感染症(膿瘍)
膿瘍が原因でしこりができている場合、膿を排出するために切開が必要なことがあります。抗生物質が処方されることもあります。
3.3 毛嚢炎
毛嚢炎は軽度の場合、抗菌薬を使った治療で改善することがあります。炎症を抑えるために温かい湿布をあてると症状が軽減することがあります。
3.4 アテローム(粉瘤)
アテロームは、膨らみが大きくなると痛みが生じることがあるため、外科的に除去することがあります。通常、治療は手術でしこりを取り除くことが主な方法です。
3.5 脂肪腫
脂肪腫が原因であれば、特に症状がない場合は治療しないことが一般的です。しかし、大きくなりすぎたり、痛みが生じる場合は手術での除去が必要になることがあります。
4. 予防と日常のケア
脇の下のしこりを予防するためには、いくつかの生活習慣を見直すことが役立ちます。
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清潔を保つ:脇の下を清潔に保つことで、細菌や感染症のリスクを減らすことができます。
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ストレス管理:ストレスが原因で免疫力が低下し、リンパ節が腫れやすくなることがあります。
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定期的な健康チェック:乳腺やリンパ節に異常がないかを定期的にチェックすることが重要です。
結論
脇の下にできるしこりは、そのほとんどが良性であり、一時的な感染症や炎症によるものです。しかし、しこりが気になる場合や痛みを伴う場合は、早期に専門医に相談することが大切です。しこりの原因を正確に把握し、適切な治療を受けることで、健康を守ることができます。