腎結石は、腎臓内で結晶が集まり固体化したものです。これらの結石はさまざまな大きさや形をしており、尿路のどこでも形成される可能性があります。腎結石はしばしば非常に痛みを伴うことがありますが、必ずしもすべての人に症状が現れるわけではありません。しかし、結石が移動したり、尿路を閉塞したりすると、激しい痛みやその他の症状が現れることがあります。
腎結石が引き起こす症状は多岐にわたりますが、最も一般的な症状とその原因について詳しく説明します。

1. 腎結石の症状
強い腰痛や背中の痛み
腎結石の最も特徴的な症状は、腰や背中の強い痛みです。この痛みは突然始まり、痛みの強さは結石が腎臓から尿管へ移動する過程で最も激しくなることがあります。痛みは一般的に波状で、痛みの位置が移動することもあります。結石が尿管を通過すると、痛みは腰から下腹部や鼠蹊部(股関節付近)に広がることがあります。
血尿
結石が尿管内を移動する際に、尿管の内壁を傷つけることがあります。そのため、血尿が現れることがあります。血尿は、肉眼で確認できる場合(目に見える血液)や、顕微鏡でのみ確認できる場合(顕微鏡的血尿)があります。血尿は痛みを伴うこともあり、尿が赤や茶色に見えることがあります。
頻尿や排尿時の痛み
結石が膀胱に向かって移動する過程で、尿道に近づくと、頻尿や排尿時の痛みが現れることがあります。尿が出にくく感じたり、排尿後に残尿感が残ることもあります。この症状は、結石が膀胱に到達する前後で起こることがあります。
吐き気や嘔吐
腎結石による激しい痛みは、しばしば吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。痛みが非常に強いため、体が反応として吐き気を感じることが多いです。また、痛みが長時間続くことによって、体がストレスを感じるため、消化器系にも影響を与えることがあります。
発熱と寒気
腎結石が感染を引き起こすこともあります。結石が尿路を閉塞することによって、尿が膀胱や腎臓内に滞留し、細菌が繁殖する可能性があります。この場合、発熱や寒気が伴うことがあります。発熱は、腎盂腎炎や尿路感染症を示唆しており、早期の治療が必要です。
2. 腎結石の原因
腎結石が形成される原因はさまざまであり、個々の生活習慣や健康状態によって異なります。一般的な原因としては以下のようなものがあります。
水分不足
水分摂取が不足すると、尿が濃縮され、結石を形成しやすくなります。水分不足は、尿の中に含まれるカルシウムや尿酸、シュウ酸などの物質が結晶化する原因となります。
食生活
特定の食べ物や飲み物が結石形成を助長することがあります。たとえば、過剰な塩分の摂取や動物性タンパク質の過剰摂取が腎結石を引き起こすことがあります。また、シュウ酸を多く含む食品(例:ほうれん草、ナッツ、チョコレートなど)を摂取しすぎることも結石の形成に影響を与える可能性があります。
高カルシウム血症
血液中のカルシウム濃度が高くなること(高カルシウム血症)は、腎結石のリスクを高めます。この状態は、副甲状腺ホルモンの異常やその他の疾患によって引き起こされることがあります。
遺伝的要因
腎結石は、遺伝的な要因にも影響を受けることがあります。家族に腎結石の患者がいる場合、自身が結石を形成するリスクが高くなる可能性があります。
肥満や糖尿病
肥満や糖尿病は腎結石のリスク因子とされています。肥満により尿中にカルシウムや尿酸が過剰に排出され、結石形成を助長することがあります。また、糖尿病によって血糖値の管理が難しくなると、尿中のカルシウムやシュウ酸の濃度が高くなることがあります。
3. 腎結石の診断方法
腎結石が疑われる場合、医師は以下のような検査を行います。
尿検査
尿検査は、血尿や尿中の異常物質を確認するために行われます。尿検査によって、結石の種類を特定するための手がかりを得ることができます。
画像診断
腎結石を確認するためには、X線検査やCTスキャン、超音波検査が一般的に行われます。CTスキャンは、非常に高い精度で結石を検出することができ、腎臓や尿管の状態も確認することができます。
血液検査
血液検査は、腎機能やカルシウム、尿酸などの値を測定するために行われます。これにより、結石の原因となる基礎疾患を特定する手がかりが得られます。
4. 腎結石の治療方法
腎結石の治療方法は、結石の大きさや位置、症状の程度によって異なります。軽度の場合には自然に排出されることがありますが、重度の場合には医療的な介入が必要です。
自然排出
結石が小さい場合、患者が多くの水分を摂取し、自然に排出されることがあります。通常、結石が尿道を通過する際に痛みが伴いますが、数日以内に排出されることが多いです。
薬物治療
痛みを軽減するために、医師は鎮痛剤を処方することがあります。また、結石が小さければ、結石を溶解するための薬剤を使用することもあります。
外科的手術
結石が大きい場合や、自然排出が難しい場合には手術が必要になることがあります。手術には、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や内視鏡手術などが含まれます。
5. 予防方法
腎結石の再発を防ぐためには、以下の予防方法が効果的です。
-
十分な水分摂取:毎日十分な水分を摂ることが重要です。尿を薄く保つことで、結石が形成されにくくなります。
-
バランスの取れた食事:過剰な塩分や動物性タンパク質を避け、カルシウムやシュウ酸を適切に摂取することが大切です。
-
定期的な検査:腎結石が再発するリスクが高い場合には、定期的な検査を受けることが推奨されます。
腎結石は痛みを伴うことがありますが、適切な治療と予防によって管理することが可能です。早期に症状を認識し、医師の指導を受けることで、痛みを軽減し、再発を防ぐことができます。