消化器疾患

腹部ヘルニアの症状とは

腹部のヘルニア(ふたく、または腹壁ヘルニア)は、腹部の筋肉や組織の間に隙間ができ、内臓や脂肪がその隙間から押し出される状態を指します。ヘルニアの症状はその種類や重症度によって異なりますが、一般的な症状として以下のようなものがあります。

1. 腹部の膨らみ

ヘルニアの最も一般的な症状は、腹部の膨らみです。この膨らみは、腹部の筋肉が弱くなった場所に内臓が押し出されることによって発生します。膨らみは、立ったり、咳をしたり、腹圧がかかるときに特に目立ちます。この膨らみは、ヘルニアが発生している部位によって異なりますが、通常はお腹の上部や下部、または横側に見られます。

2. 疼痛や不快感

ヘルニアが進行するにつれて、膨らみの周りに痛みや不快感を感じることがあります。これは、内臓が押し出されることによる圧力や、ヘルニアを囲む筋肉が引っ張られることによるものです。痛みは軽度から中程度のもので、長時間立っていたり重い物を持ち上げたりすることで悪化することがあります。痛みの種類としては、鈍い痛みや鋭い痛みを感じることがあります。

3. 消化器系の問題

腹部のヘルニアが消化器系に影響を及ぼす場合、食欲不振、吐き気、嘔吐、便秘などの症状が現れることがあります。特に、ヘルニアによって腸が圧迫されると、腸の動きが妨げられ、消化不良や便秘を引き起こすことがあります。

4. 腹部の膨満感

ヘルニアの影響で、腹部が膨らんだり圧迫されることがあります。この膨満感は、食後に悪化することがあり、ガスがたまりやすくなることがあります。また、長時間立っていると腹部に圧力がかかり、膨満感が強くなることがあります。

5. ヘルニアの「絞扼」

ヘルニアが絞扼(こうやく)する場合、ヘルニアに押し出された内臓部分が血流を阻害され、急激な痛みや腸閉塞を引き起こすことがあります。これは非常に深刻な症状であり、迅速な治療が必要です。絞扼が起こると、腸の一部が壊死する可能性があるため、放置すると命に関わることもあります。絞扼を起こした場合の症状としては、強い痛み、吐き気、嘔吐、腹部の腫れ、そして発熱が伴うことがあります。

6. 呼吸困難や胸の痛み(まれ)

腹部ヘルニアの一部では、ヘルニアが胸部に近い場所にある場合、呼吸困難や胸の痛みを引き起こすことがあります。これらの症状は、ヘルニアが肺や心臓に近づいて圧迫を加えることによるものです。

7. 体重減少

消化不良や食事を摂取しづらくなることで、腹部ヘルニアを持っている人は体重減少を経験することがあります。特に、食欲不振や胃腸障害が続く場合、十分な栄養を摂取できず、体重が減少することがあります。

ヘルニアの治療と管理

腹部のヘルニアは、症状が軽度であれば、生活習慣を見直し、体重管理や筋力トレーニングを行うことで改善する場合もあります。しかし、症状が進行するにつれて、手術が必要になることがあります。特に、絞扼が起こる前に治療を行うことが重要です。手術によってヘルニアの部位を修復し、内臓が再び腹腔内に戻されることによって、症状を軽減することができます。

結論

腹部のヘルニアは、膨らみや痛み、消化器系の問題などの症状を引き起こすことがあり、放置すると重大な合併症を引き起こす可能性があります。早期に症状を認識し、適切な治療を受けることが大切です。特に絞扼が疑われる場合は、早急に医師の診断を受けることが求められます。

Back to top button