舌のしびれ(舌麻痺)は、日常的に経験することがある感覚ですが、その原因はさまざまで、しばしば健康状態の指標として重要なサインとなります。この症状が現れると、多くの人がその原因を突き止めようとしますが、舌のしびれにはいくつかの異なる原因があり、軽度なものから深刻なものまであります。この記事では、舌のしびれの原因について詳しく説明します。
1. 神経障害
舌のしびれが最も多く見られる原因の一つは神経の障害です。舌は複数の神経によって制御されていますが、特に「舌下神経(ちょうかしんけい)」や「三叉神経(さんさしんけい)」が重要な役割を果たします。これらの神経が損傷した場合、舌にしびれや感覚の異常を感じることがあります。神経の障害は、以下のような理由で発生することがあります。

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外的な圧力や衝撃: 頭部や顎の外傷が舌の神経に影響を与えることがあります。
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神経炎: 神経に炎症が生じることによって、しびれが起こることがあります。例えば、帯状疱疹ウイルスが神経を攻撃することがあります。
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神経圧迫: 頸椎の問題(ヘルニアなど)が神経を圧迫することによって、舌のしびれが起こることがあります。
2. ビタミン欠乏症
ビタミンB12の不足は、舌のしびれを引き起こす原因として広く知られています。ビタミンB12は神経の健康を維持するために重要な役割を果たしており、その不足が神経障害を引き起こすことがあります。特に、ビーガンやベジタリアンの食生活を送っている人々、または消化器系の問題を抱えている人々は、ビタミンB12不足のリスクが高くなります。
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症状: ビタミンB12が不足すると、舌にしびれや痛み、または舌の色が変わることがあります。このような症状は、ビタミンB12の補充により改善されることが多いです。
3. 血行不良
舌のしびれは、血液の循環不良にも関係があります。例えば、以下のような状況で血行が悪化することがあります。
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低血圧: 血圧が低いと、血液が舌の細胞に十分に供給されず、しびれを感じることがあります。
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動脈硬化: 動脈の硬化により、血液の流れが制限され、舌を含む顔の一部にしびれが現れることがあります。
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糖尿病: 糖尿病は血糖値のコントロールに問題を生じさせるため、長期間にわたって血管に影響を与え、神経にダメージを与える可能性があります。このため、舌にしびれを感じることがあります。
4. アレルギー反応
舌のしびれは、アレルギー反応の一環として現れることがあります。特定の食品や薬物にアレルギー反応を示すと、口内や舌にしびれを感じることがあります。例えば、以下のようなアレルギーが考えられます。
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食物アレルギー: 特にナッツや魚介類、または特定の果物(例えば、キウイやバナナ)にアレルギーがある場合、舌にしびれを感じることがあります。
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薬物アレルギー: 一部の薬物、特に抗生物質や鎮痛剤に対するアレルギー反応が舌のしびれを引き起こすことがあります。
5. 舌の病気
舌自体に問題がある場合も、しびれが生じることがあります。以下の病状が舌に影響を与えることがあります。
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舌炎: 舌の炎症がしびれを引き起こすことがあります。舌炎は、ウイルス感染や細菌感染、または口内の傷によって引き起こされることがあります。
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舌の白板症: 舌の表面に白い斑点が現れるこの疾患は、しびれを引き起こすことがあり、悪化すると口腔がんの前兆となることがあります。
6. 精神的な原因
精神的な健康状態も舌のしびれに関係しています。ストレスや不安、パニック障害などの精神的な要因が、身体のさまざまな部分にしびれや異常感覚を引き起こすことがあります。これらの症状は、身体的な病気ではなく、精神的な問題が原因であることもあります。
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ストレス: 強いストレスが続くと、体のさまざまな部分に異常を引き起こすことがあります。舌もその一部です。
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不安やパニック発作: 精神的な不安やパニック発作が原因で、舌のしびれや口の乾き、異常な感覚が現れることがあります。
7. 脳血管障害
脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)などの脳血管障害も舌のしびれの原因となります。脳卒中が発生すると、顔や舌、手足に麻痺やしびれが現れることがあります。舌のしびれは、脳の特定の部分が影響を受けた結果として現れることが多いです。
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症状: 脳卒中やTIAの症状として、舌のしびれとともに、片側の顔面や体の麻痺が現れることが一般的です。
8. 薬剤の副作用
一部の薬物は、舌のしびれを引き起こす副作用を持つことがあります。特に神経系に影響を与える薬物や抗がん剤、抗ウイルス薬などが原因となることがあります。薬剤を変更することや、処方医と相談することが重要です。
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抗がん剤: がん治療の一環として使われる薬剤は、神経にダメージを与えることがあり、これが舌のしびれを引き起こすことがあります。
結論
舌のしびれは、さまざまな健康問題の兆候であり、その原因は非常に多岐にわたります。軽度な症状から深刻な病気まで、しびれの原因を特定することは重要です。もし舌のしびれが長期間続く場合や、他の症状(麻痺、視力障害、言語障害など)を伴う場合は、速やかに医師の診断を受けることが必要です。早期に原因を突き止め、適切な治療を受けることで、症状を改善することが可能です。