血中クレアチニン値の上昇は、腎機能の低下を示す重要な指標の一つです。クレアチニンは筋肉の代謝産物であり、通常、腎臓を通じて尿として排泄されます。そのため、血中のクレアチニン値が高いことは、腎臓の機能が正常でないことを意味します。この記事では、血中クレアチニン値の上昇が示す症状、原因、診断方法、治療法について詳しく解説します。
血中クレアチニン値の上昇の症状
血中クレアチニン値が高くなると、腎臓が正常に機能していない可能性が高く、以下のような症状が現れることがあります:

-
むくみ
腎機能が低下すると、体内に余分な水分が蓄積されやすくなり、顔や手足、腹部などにむくみが現れることがあります。 -
尿量の変化
血中クレアチニン値が高くなると、尿量が減少することがあります。また、尿の色が濃くなることもあります。逆に、多尿が見られる場合もありますが、これは体内の水分バランスが崩れている証拠です。 -
高血圧
腎臓の機能低下が進むと、血圧が上昇し、高血圧が引き起こされることがあります。腎臓は血圧の調整にも関与しているため、腎臓の障害が血圧に影響を与えることが知られています。 -
倦怠感や息切れ
血中クレアチニン値が高い場合、身体全体に酸素が行き渡りにくくなり、倦怠感や息切れを感じることがあります。これは、腎機能が低下しているため、体内の老廃物が十分に排出されず、血液中に蓄積されているからです。 -
食欲不振や吐き気
腎臓の機能が悪化すると、体内の老廃物が十分に排泄されず、血液中に蓄積されます。この状態が続くと、食欲不振や吐き気、さらには嘔吐を引き起こすことがあります。 -
皮膚のかゆみ
腎機能が低下すると、血液中の老廃物が肌に影響を与えることがあり、かゆみが発生することがあります。これは、尿毒症と呼ばれる状態に関連しています。 -
集中力の低下
老廃物が体内に蓄積されると、脳にも影響を与えることがあり、集中力が低下したり、混乱を感じたりすることがあります。
血中クレアチニン値が上昇する原因
血中クレアチニン値の上昇には、さまざまな原因がありますが、主に以下のような病状が関与しています:
-
急性腎不全
急性腎不全は、腎臓が突然正常に機能しなくなる状態です。事故や薬物中毒、感染症などが引き金となり、血中クレアチニン値が急激に上昇することがあります。 -
慢性腎不全
慢性腎不全は、長期間にわたり腎臓の機能が徐々に低下していく状態です。高血圧や糖尿病、慢性的な尿路感染症などが原因となることが多く、進行するにつれて血中クレアチニン値が高くなります。 -
腎臓の感染症
腎臓に感染症が起こると、腎臓が正常に機能しなくなることがあり、その結果、血中クレアチニン値が上昇することがあります。 -
脱水症状
脱水症状が起こると、腎臓への血流が減少し、クレアチニンの排泄が妨げられることがあります。この状態が続くと、血中クレアチニン値が高くなることがあります。 -
尿路閉塞
尿路に障害が生じて尿の排出が妨げられると、腎臓に負担がかかり、血中クレアチニン値が上昇することがあります。 -
筋肉疾患
筋肉が壊れた場合(筋肉破壊症など)、クレアチニンが大量に血液中に放出されることがあり、この場合にも血中クレアチニン値が上昇することがあります。
血中クレアチニン値の診断方法
血中クレアチニン値は、血液検査を通じて簡単に測定することができます。通常、クレアチニン値は以下の基準範囲で評価されます:
-
正常範囲:男性で0.7〜1.3 mg/dL、女性で0.6〜1.1 mg/dL
-
高値:クレアチニン値がこれらの範囲を超えると、腎機能の低下が疑われます。
また、クレアチニン値を基に、腎機能を評価する指標として「推定糸球体濾過量(eGFR)」が使用されます。eGFRは腎臓のろ過能力を示す指標であり、クレアチニン値、年齢、性別、体重などを元に計算されます。eGFRが低いほど、腎機能の低下が進行していることを意味します。
血中クレアチニン値の上昇に対する治療法
血中クレアチニン値が高い場合、まずはその原因を特定し、それに応じた治療が行われます。治療方法としては以下のようなものがあります:
-
薬物療法
高血圧や糖尿病など、腎機能低下の原因となる病気を管理するための薬物が処方されることがあります。また、腎臓に負担をかけないように、利尿剤や血圧を調整する薬が使用されることもあります。 -
食事療法
腎機能を守るためには、塩分の摂取を控え、過剰なタンパク質摂取を避けることが重要です。また、水分の摂取量を適切に調整することも大切です。 -
透析治療
腎臓がほとんど機能しなくなった場合、透析治療が必要となることがあります。透析は、人工的に血液をろ過して老廃物を除去する治療方法です。 -
腎移植
最終的には、腎移植が必要となることがあります。腎移植は、他人から提供された健康な腎臓を移植する手術です。
まとめ
血中クレアチニン値の上昇は、腎臓の機能が低下していることを示す重要な指標です。早期に発見し、適切な治療を受けることで、腎臓の健康を保つことができます。血中クレアチニン値が高くなる原因はさまざまであり、個々の状態に応じた治療が必要です。腎機能に異常を感じた場合は、早急に医師に相談し、適切な検査と治療を受けることが重要です。