血液の物理的特性は、生命活動における重要な役割を果たすため、理解することが非常に重要です。血液は、酸素や栄養素を体のすべての細胞に運ぶと同時に、二酸化炭素や老廃物を除去するという、非常に複雑で多岐にわたる機能を担っています。これを支えるのが、血液の物理的な性質です。ここでは、血液の物理的特性について、詳細かつ包括的に解説します。
血液の密度と粘度
血液の物理的特性を理解するためにまず注目すべきは、その密度と粘度です。血液は水分が主成分であり、全体の約55%が血漿という液体成分で占められています。残りの45%は赤血球、白血球、血小板などの細胞成分です。

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密度: 血液の密度は、主に血液中の細胞成分と血漿の成分によって決まります。正常な血液の密度はおおよそ1.050 g/cm³から1.060 g/cm³の範囲にあります。これは血液が水よりもわずかに重いことを示しています。
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粘度: 血液の粘度は、血液の流れや循環に大きな影響を与える要因の一つです。血液の粘度は血漿中のタンパク質の濃度、血液中の細胞成分の量、さらには赤血球の性質に依存します。通常、血液の粘度は水の約3~4倍程度です。粘度が高いと、血液の流れが遅くなり、血圧が上昇することがあります。
血液のpH
血液のpHは非常に重要な指標であり、通常は7.35から7.45の間で保たれています。これは血液が弱アルカリ性であることを意味します。血液のpHがこれらの範囲を超えると、体のさまざまな生理的プロセスが影響を受け、最終的には健康に悪影響を及ぼすことになります。例えば、pHが低下して酸性になるとアシドーシス、逆に高くなるとアルカローシスが引き起こされる可能性があります。
血液の温度
血液は体温と密接に関連しています。通常、体温は約36.5度から37度の範囲に保たれていますが、血液そのものもこの範囲にあります。血液の温度は、酸素の溶解度や酵素反応速度に影響を与え、生命活動を維持するために重要です。体温が過度に上昇したり低下したりすると、血液の物理的特性が変化し、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
血液の色
血液の色は、主に酸素と結びついているヘモグロビンの状態によって決まります。酸素を多く含んでいる血液は鮮やかな赤色をしています。これが動脈血の特徴であり、酸素が少ない静脈血は暗い赤色をしています。この色の違いは、酸素がヘモグロビンと結びつくことによって生じる光の吸収特性によるものです。
血液の表面張力
血液の表面張力は、血液の粘性や流動性にも関連しています。表面張力は、血液が血管内でスムーズに流れるために重要です。表面張力が高いと血液は細い血管を通るのが難しくなりますが、逆に低いと血液は流れやすくなります。血液中のタンパク質や脂質が表面張力に影響を与えるため、これらの成分が変化することで血液の流れ方にも変化が生じることがあります。
血液の酸素運搬能力
血液の物理的特性において、最も重要な要素の一つは酸素運搬能力です。血液中の赤血球にはヘモグロビンが含まれており、このヘモグロビンが酸素を結びつけ、全身に酸素を供給する役割を担っています。ヘモグロビンの構造や血液の温度、pHが酸素の結合能力に影響を与えるため、これらの要因が変動することで酸素供給能力が調整されます。
血液の浸透圧
血液の浸透圧は、血液中の溶質濃度によって決まります。浸透圧が正常な範囲に保たれていることは、細胞や組織に必要な水分を供給し、老廃物を除去するために非常に重要です。血液の浸透圧が異常になると、細胞が膨張したり収縮したりし、最終的には細胞が損傷を受けることがあります。浸透圧は、ナトリウムやカリウムなどの電解質の濃度によって調整されており、体内の水分バランスを保つために重要な役割を果たしています。
結論
血液の物理的特性は、生命を維持するために不可欠な要素です。血液の粘度や密度、pH、温度、酸素運搬能力などの特性は、体内での正常な生理的機能に密接に関連しています。これらの特性が適切に維持されることで、私たちの体は健康を保ち、さまざまな機能を正常に果たすことができます。血液の異常な物理的特性は、病気の兆候や身体的な問題を示すことがあり、適切な治療が必要です。このため、血液の物理的特性に関する知識は、医療分野においても非常に重要なものとなります。