リサーチ

論文草稿作成の基本ルール

学位論文や研究論文を書く際、最初に作成する「マスター版」の章を作成することは非常に重要な作業です。この段階では、細かい部分や形式にこだわる前に、研究の骨組みをしっかりと構築することが求められます。ここでは、論文の「ドラフト(草稿)」を書く際に守るべき重要なルールについて詳しく説明します。

1. 章ごとの明確な構造を持つこと

論文の各章は、一定の流れに従って整理されている必要があります。章ごとの役割を理解し、それぞれの章が全体の論理にどのように貢献するかを意識して書くことが大切です。例えば、序章では研究の背景や目的を述べ、文献レビューでは先行研究を踏まえた自分の立場を明確にし、実験や調査の方法論ではデータの収集と分析方法を詳細に記述します。

2. 仮説と目的を明確にする

論文のドラフトを書く際には、最初に研究の仮説と目的をはっきりと示しておく必要があります。これにより、研究の方向性が明確になり、読者(特に指導教授)に自分の研究がどのような問題を解決しようとしているのかが伝わります。仮説は必ずしも最終的に確定するものではありませんが、草稿の段階では自分の仮説を論理的に説明できるようにしておきます。

3. 論理的なフローを確保する

草稿を作成する際に最も重要なのは、論理的なフロー(流れ)を確保することです。各章や節は互いに関連し、全体として一貫したストーリーが成り立つように心がけます。例えば、文献レビューで述べた理論や先行研究の結果が、次の方法論章にどのように反映されるか、またその結果がどのように次の分析章につながるかを意識しながら執筆します。

4. 証拠とデータを使用する

草稿の段階でも、主張を支持する証拠やデータを挿入することは非常に重要です。これにより、論文の信頼性が増します。データの収集方法や分析方法はもちろん、結果をどのように解釈するかについても明確に記載することが求められます。特に、実験や調査を行った場合、その結果をどのように導き出したのかを明示的に示します。

5. 参考文献の管理と適切な引用

草稿段階であっても、文献の管理と適切な引用は必須です。自分の論文における既存の知見や理論を正確に引用することで、研究の信憑性が高まります。また、論文の進行に伴い、他の研究者の仕事を適切に評価し、引用することで、自分の研究がどのような位置にあるのかを示すことができます。引用スタイル(APA、MLA、Chicagoなど)は、最終的な提出の際に統一することが求められますが、草稿段階でもスタイルを守ることが重要です。

6. 論文の見直しとフィードバックの取得

草稿を一度書き上げた後は、必ず見直しを行いましょう。自分では気づきにくい誤りや不自然な部分に気づくことができます。また、草稿段階では、指導教授にフィードバックを求めることが非常に有益です。フィードバックを受けて、論文を改善していくことで、最終的に質の高い論文を完成させることができます。

7. 進行状況の報告とスケジュール管理

論文のドラフトを作成する過程では、進行状況を定期的に報告することが重要です。指導教授と定期的にミーティングを設け、進捗を共有しましょう。これにより、早い段階で問題点を発見し、修正することが可能になります。また、スケジュールを管理し、締め切りに向けて計画的に進めることが大切です。

8. 結論の草案

草稿段階でも結論の草案を考えておくことが有効です。結論は論文全体の要約であり、研究の目的が達成されたかどうかを確認する部分でもあります。結論部分を早い段階で考えることで、研究の方向性を再確認し、必要に応じて修正を加えることができます。

9. 言葉遣いや文体の注意

論文は学術的な文章であるため、適切な言葉遣いや文体が求められます。過度に感情的だったり、曖昧な表現を避け、明確で簡潔な文章を心がけましょう。草稿段階では、内容の構成に重点を置きすぎて文章の流れや表現に疎かにならないよう、注意を払いながら執筆します。

10. 自己評価と改訂

最後に、草稿を完成させた後、自分自身で再評価を行い、必要に応じて改訂します。この時期には、他の研究者や同僚に草稿を読んでもらい、外部の視点からもフィードバックを得ることが非常に有効です。特に論理的なつながりやデータの解釈について、第三者の意見が大切になります。


これらのルールに従い、論文の草稿を進めることで、指導教授に提出する際の完成度を高めることができます。最初の草稿は完璧である必要はありませんが、着実に研究の進行状況を反映させ、段階的に完成度を上げていくことが成功への近道です。

Back to top button