甲状腺機能低下症は、赤ちゃんにおいて重要な健康問題となる可能性があり、適切な診断と治療が早期に行われることが非常に重要です。特に甲状腺ホルモンは成長や発達に欠かせない役割を果たしており、その不足が赤ちゃんに与える影響は深刻です。この記事では、甲状腺機能低下症の症状、原因、診断方法、治療法について詳細に説明します。
甲状腺機能低下症の原因
甲状腺機能低下症は、甲状腺が十分な量のホルモンを産生できない状態です。これにはいくつかの原因がありますが、最も一般的なものは、先天性(生まれつき)または後天性(後から発症)によるものです。先天性甲状腺機能低下症は、赤ちゃんが生まれた時にすでに甲状腺の機能が不十分である状態です。
甲状腺ホルモンは、身体の代謝、エネルギーの生成、成長に不可欠な役割を果たしているため、ホルモンの分泌が不足するとさまざまな発達の遅れや健康障害が生じます。
甲状腺機能低下症の症状
赤ちゃんにおける甲状腺機能低下症の症状は、しばしば他の病気と似た症状を示すため、最初は見逃されることがあります。以下に、甲状腺機能低下症の一般的な症状をいくつか挙げます。
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発達の遅れ
甲状腺ホルモンが不足すると、赤ちゃんの発達に遅れが生じます。特に、運動能力(首を支える、座る、歩くなど)や言語能力の遅れが見られることがあります。 -
低体温
甲状腺ホルモンの不足は、赤ちゃんの体温調節能力に影響を及ぼします。赤ちゃんが冷たく感じる、または温かさを求めることが多くなります。 -
便秘
甲状腺ホルモンは腸の動きにも関与しており、ホルモンが不足することで便秘が起こることがあります。 -
食欲不振または体重増加の遅れ
食欲がない、または通常の体重増加が見られない場合、甲状腺機能低下症が関与している可能性があります。 -
顔や皮膚の特徴的な変化
顔つきが腫れぼったく、目が小さく見えることがあるほか、皮膚が乾燥し、髪が薄くなることがあります。 -
黄疸
甲状腺ホルモンの不足は、赤ちゃんの皮膚や眼の白目が黄色くなる黄疸を引き起こすことがあります。黄疸は通常、生後数日以内に改善しますが、甲状腺機能低下症が原因で持続することがあります。 -
無気力や元気がない
赤ちゃんが元気がなく、活動的でない、または泣くことが少ない場合、甲状腺機能低下症が疑われることがあります。
甲状腺機能低下症の診断
甲状腺機能低下症は、新生児スクリーニング検査で早期に発見することができます。ほとんどの国では、新生児が生まれた際に甲状腺機能をチェックするための血液検査が行われています。この検査では、甲状腺ホルモンのレベルを測定し、異常があれば早期に治療を開始することができます。
もし新生児スクリーニング検査で異常が見つかれば、医師は追加の血液検査や画像検査を行って、甲状腺機能低下症が確定的かどうかを調べます。
甲状腺機能低下症の治療法
早期に発見され、治療が始まれば、赤ちゃんは通常、正常な発達を遂げることができます。甲状腺機能低下症の治療は、通常、人工的に合成された甲状腺ホルモンを摂取することです。これにより、体内のホルモンレベルが正常に保たれ、発達が促進されます。
治療には通常、レボチロキシンという薬が使われます。この薬は、甲状腺ホルモンの欠乏を補うもので、飲み薬として与えられます。薬の投与は生涯にわたる可能性があり、赤ちゃんの成長に合わせて適切な量を調整していきます。
治療の重要性
甲状腺機能低下症は適切に治療しないと、発達の遅れや知的障害を引き起こす可能性があります。治療が遅れると、赤ちゃんは身体的、知的な発達に深刻な影響を受けることになります。逆に、早期に治療を開始すれば、ほとんどの赤ちゃんは健康に成長し、発達にも問題がないことが多いです。
まとめ
甲状腺機能低下症は、赤ちゃんにとって重要な健康問題ですが、早期に発見し、適切に治療することで、通常の成長と発達をサポートすることができます。新生児スクリーニング検査を受けることが、甲状腺機能低下症を早期に発見する鍵となります。赤ちゃんに異常が見られる場合は、すぐに医師に相談し、治療を始めることが重要です。
