「遊びは禁じられているのか？」という問いについて、その答えを明確にするためには、まず「遊び」とは何か、そしてそれが宗教や倫理的な観点からどのように見なされているのかを理解する必要があります。このテーマに関する議論は多岐にわたるため、今回は遊びが「ハラーム（禁じられている）」とされるケースや、その背景について深く掘り下げていきます。
1. 遊びとは何か？
「遊び」とは、人々が楽しみやリラックスを求めて行う行動や活動を指します。一般的に、ゲームやスポーツ、趣味などがこれに該当します。遊びは、心身の健康を促進するための重要な要素として、さまざまな文化や宗教で肯定的に評価されている一方で、無駄な時間を費やすことに対して警戒心を抱く立場もあります。
2. 宗教的な視点：遊びとハラームの関係
イスラム教において、遊びが「ハラーム（禁じられている）」かどうかは、遊びがどのような内容で、どのような影響を及ぼすかに依存します。イスラム法（シャリーア）では、時間を無駄にすることや、神への奉仕を忘れることが批判されます。そのため、過度な遊びや娯楽が信仰や義務を疎かにすることが懸念される場合、それが「ハラーム」とされることがあります。
2.1 過度な遊びと時間の浪費
「過度な遊び」や「無駄な娯楽」に関する警告は、特にクルアーンやハディースに見られます。例えば、クルアーンには「あなたたちは、地上で遊びにふけることによって、神を忘れてはならない」といった教えがあります。過度な遊びやゲームが、信仰心や家族、社会的責任をおろそかにすることが危惧されるのです。
2.2 ギャンブルや不道徳な内容の遊び
一部の遊び、特にギャンブルや不道徳な内容を含むゲームは、イスラム教で明確に禁じられています。クルアーンでは、ギャンブルを「悪魔の業」として警告しています。したがって、ギャンブルを含む遊びは、無論「ハラーム」とされるのです。
2.3 神を忘れる遊びはハラーム
遊びそのものがハラームとされるのは、遊びが神への信仰心を損なう場合です。例えば、仕事や家族を顧みず、遊びに没頭しすぎることが問題視されます。信仰と義務を果たすことが重要であり、それを疎かにするような遊びは許されないとされています。
3. 遊びが許される場合
一方で、遊びが必ずしもハラームであるわけではありません。遊びが信仰や社会的責任を果たすことを妨げない場合、その遊びは許容されます。例えば、家族との団欒を深めるためのゲームや、健康を維持するためのスポーツは、宗教的に問題視されることは少ないです。むしろ、リラックスや心身の健康を促進する遊びは、推奨されることがあります。
3.1 健康を促進する遊び
スポーツや適度な遊びは、身体的および精神的健康を促進するものであれば、イスラム教においても奨励されています。例えば、アラビア語で「ラバ」（遊び）という言葉自体が、リフレッシュや楽しい時間を意味することから、心身のリフレッシュとして遊びを受け入れる考え方もあります。
3.2 教育的な要素を含む遊び
教育的価値を持つ遊び、例えば知識を深めるためのボードゲームや学習ツールも宗教的に問題ないと見なされます。これは、遊びが単なる暇つぶしではなく、精神的に成長するための手段として捉えられる場合です。
4. 誰が「遊びはハラーム」と言ったのか？
「遊びはハラーム」とする見解は、特に過度な遊びが信仰心や義務をおろそかにすることに対する警告から来ていることが多いです。イスラム学者の中には、遊びが信仰を疎かにする場合や、無駄に時間を費やす場合には、遊びを控えるべきだと教える者もいます。また、ハディース（預言者ムハンマドの言葉）にも「無駄な時間を費やすことは神の怒りを買う」といった教えがあります。
5. 結論
遊びがハラームかどうかは、その性質と目的によります。過度な遊びや不道徳な内容を含む遊びは、信仰をおろそかにし、神への責任を果たすことを妨げる場合に問題視されます。一方で、健康や精神的なリフレッシュを促進する遊びや教育的な遊びは、宗教的にも肯定される場合が多いです。
遊び自体がハラームとされるわけではなく、どのように遊ぶか、またそれが個人や社会に与える影響に重点が置かれます。