妊娠の異常の一つに「部分的絨毛膜胞胞妊娠(部分的モラ)」(妊娠の絨毛膜胞胞)があり、これは妊娠初期に発症することが多い疾患です。この状態では、正常な妊娠とは異なり、胚の発育が異常をきたし、絨毛膜が異常な形で成長します。部分的絨毛膜胞胞妊娠は、特に妊娠初期の段階で発覚することが多いですが、症状が他の妊娠異常と重なることがあるため、発見が遅れることもあります。
1. 部分的絨毛膜胞胞妊娠とは?
部分的絨毛膜胞胞妊娠は、絨毛膜(胎盤を形成する組織)の異常によって引き起こされる妊娠の障害であり、完全絨毛膜胞胞妊娠の一部として理解されることが多いです。この疾患は、正常な胎児の発育を伴わず、胞状絨毛が異常に増殖することが特徴です。部分的絨毛膜胞胞妊娠では、胎盤の一部またはその周囲に嚢胞が発生します。正常な胚の一部が発育している可能性もありますが、ほとんどの場合、その発育は途中で停止し、異常な細胞が増殖します。

2. 部分的絨毛膜胞胞妊娠の症状
部分的絨毛膜胞胞妊娠に関連する症状は多岐にわたりますが、最も一般的な症状には以下のようなものがあります:
(1) 異常な出血
妊娠初期に不正出血が見られることが多いです。出血の量は軽いものから重度のものまで様々ですが、特に痛みを伴わない出血が特徴です。異常な出血は、部分的絨毛膜胞胞妊娠の初期症状の一つで、しばしば診断のきっかけとなります。
(2) 子宮の異常な大きさ
妊娠初期に子宮が異常に大きくなることがあります。正常な妊娠よりも早い段階で子宮のサイズが大きくなる場合があり、これが絨毛膜胞胞の増殖によるものです。医師が診察時にこの異常を確認することができます。
(3) 悪阻(つわり)の異常
妊娠初期に一般的なつわりが発生しますが、部分的絨毛膜胞胞妊娠の場合、つわりが非常に強くなることがあります。通常よりも悪心や嘔吐が激しく、通常の妊娠初期の症状とは異なる場合があります。
(4) 腹痛
腹痛も部分的絨毛膜胞胞妊娠に伴う症状として報告されています。特に、出血とともに軽度または中等度の腹痛を感じることがあるため、注意が必要です。
(5) 腫れや圧迫感
一部の女性では、異常な絨毛膜の増殖が原因で腹部に圧迫感を感じることがあります。これは、子宮が異常に大きくなり、周囲の組織に圧力をかけるためです。
3. 診断方法
部分的絨毛膜胞胞妊娠を診断するためには、いくつかの検査が必要です。最も一般的な方法は、超音波検査(エコー)です。超音波を使用すると、子宮内の絨毛膜胞胞の異常な成長が確認でき、部分的絨毛膜胞胞妊娠を診断することができます。また、妊娠初期に異常が発覚した場合、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)ホルモンの血中濃度もチェックされることが多いです。このホルモンの値が異常に高い場合、部分的絨毛膜胞胞妊娠を疑うことができます。
4. 治療法
部分的絨毛膜胞胞妊娠は、早期に発見し、適切な治療を行うことが非常に重要です。通常、この状態は流産が避けられないため、流産処置が行われます。また、手術的に組織を除去することが必要となる場合もあります。さらに、定期的にhCGホルモン値をモニタリングし、異常な成長が続いていないか確認します。
5. 妊娠後の管理
部分的絨毛膜胞胞妊娠が確認された後は、妊娠を再開する前に十分な時間を置くことが推奨されます。この疾患を経験した女性は、次回の妊娠で再発する可能性があるため、医師と相談しながら計画を立てることが重要です。再発を防ぐためには、妊娠後の慎重なフォローアップが必要です。
6. 部分的絨毛膜胞胞妊娠の予後
部分的絨毛膜胞胞妊娠の予後は、早期に診断し、適切な治療を行うことで改善します。しかし、妊娠が進行することで胎児の発育が確認されることがないため、流産のリスクが高く、女性の健康に対するリスクも伴います。治療後には、定期的なフォローアップを受けることが大切です。
結論
部分的絨毛膜胞胞妊娠は、異常な妊娠の一形態であり、早期の発見と適切な対応が重要です。症状が現れた場合には、すぐに医師に相談し、適切な検査と治療を受けることが必要です。妊娠を計画する際は、過去の妊娠歴を考慮し、慎重に対応することが重要です。