現在、世界中には多数のイスラム教徒が住む国々がありますが、その中でアラビア語を公用語としない、またはアラブ世界に含まれない国々は少なくありません。イスラム教はアラビア半島だけでなく、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、さらにはアメリカ大陸にまで広がっています。そのため、アラブ語が話されていないイスラム教徒の国々も多く存在します。
これらの国々は多様な文化、歴史、政治体制を持っており、それぞれが独自のイスラム文化を育んでいます。本記事では、「非アラブのイスラム教国」について、具体的な事例を挙げて考察します。

1. トルコ
トルコは、アラビア語を公用語として使用していない代表的なイスラム教国の一つです。トルコでは、トルコ語が公用語として使用されており、その歴史的背景はオスマン帝国時代に遡ります。トルコはイスラム教を信仰する国であり、ほとんどの市民がムスリムですが、世俗主義とイスラム教の共存が特徴です。特に、近代化を進める中で、イスラム教と世俗主義との関係が重要なテーマとなっています。
2. イラン
イランは、ペルシャ語(ファールシー)が公用語であり、アラビア語は一般的に使用されていません。イランはシーア派イスラム教の中心地であり、その宗教的、政治的な影響力は非常に大きいです。1979年のイラン革命によって、イランはイスラム共和制を採用し、現在に至るまでその影響力を世界に誇示しています。イランの社会には、イスラム教の教義に基づいた法制度が深く根付いており、社会のさまざまな側面に影響を与えています。
3. パキスタン
パキスタンもまたアラビア語を公用語としていないイスラム教国の一つです。パキスタンでは、ウルドゥー語と英語が公用語として使用されています。パキスタンは、1947年にインドから分離して独立した国で、初めて成立したイスラム国家として注目されました。パキスタンではスンニ派イスラム教徒が多数を占めていますが、シーア派も一定の割合で存在します。
4. インドネシア
インドネシアは、世界最大のイスラム教徒人口を持つ国であり、アラビア語は日常的に使用されていません。インドネシアの公用語はインドネシア語であり、イスラム教徒が人口の約87%を占めています。インドネシアは東南アジアに位置し、さまざまな民族と文化が融合しています。そのため、インドネシアのイスラム教は他の地域のイスラム文化とは異なる特色を持っています。
5. バングラデシュ
バングラデシュもアラビア語を公用語として使用しない国で、ベンガル語が公用語です。バングラデシュの人口の大多数はイスラム教徒であり、スンニ派が圧倒的に多いです。バングラデシュは、インドから分離して独立した歴史を持ち、独立後はイスラム教を国教として採用しました。バングラデシュは経済的に急成長を遂げており、その発展にはイスラム教徒が大きな役割を果たしています。
6. マレーシア
マレーシアではマレー語が公用語として使用されており、アラビア語は一般的には日常的に使われていません。マレーシアは、イスラム教を国教とし、国民の大多数がムスリムであることから、イスラム教は社会の中で非常に重要な役割を果たしています。マレーシアのイスラム教は、シーア派よりもスンニ派が主流です。また、マレーシアは多民族国家であり、イスラム教徒以外にもヒンドゥー教徒や仏教徒が共存しています。
7. ナイジェリア
ナイジェリアは、アフリカ大陸で最も人口が多い国の一つであり、その半分以上がイスラム教徒です。ナイジェリアではアラビア語は日常的に使用されていませんが、イスラム教は北部を中心に強い影響力を持っています。ナイジェリアの宗教的多様性の中で、イスラム教は特に北部で広く信仰されています。また、ナイジェリアは、イスラム教徒が社会のあらゆる側面において重要な役割を果たしている国です。
8. サウジアラビア以外のアフリカ諸国
アフリカ大陸には、アラビア語を公用語としていない多くのイスラム教国があります。これらの国々では、地元の言語が使用されており、特に西アフリカや東アフリカでは、フランス語や英語などが広く使われています。例えば、モロッコ、チュニジア、アルジェリア、スーダン、エチオピアなどの国々には、アラビア語を話さないイスラム教徒が多く住んでいます。
結論
アラビア語を話さないイスラム教徒の国々は多岐に渡り、各国のイスラム教はその地域独自の歴史的、文化的背景を反映しています。これらの国々は、アラブ世界とは異なる社会構造や宗教的慣習を持ちながらも、共通してイスラム教を信仰しています。そのため、アラビア語が必ずしもイスラム教の特徴であるわけではなく、イスラム文化は多様であり、世界中でさまざまな形態で発展しています。