脂肪注入(脂肪注入法)は、顔のボリュームを回復させるためやシワを改善するために行われる美容整形手術の一つです。自分の体から採取した脂肪を顔の特定の部位に注入するこの方法は、他のフィラー(ヒアルロン酸など)と比べてより自然な仕上がりが期待されるため、多くの人に人気があります。しかし、この手法にもリスクや副作用が伴うことを理解することが重要です。本記事では、顔への脂肪注入に関する完全かつ包括的な情報を提供し、そのリスクや問題点を詳しく解説します。
1. 脂肪注入法とは?
脂肪注入法は、患者自身の体内から脂肪を採取し、それを顔に注入する方法です。一般的には、腹部や太もも、腰回りなどから脂肪を採取し、その脂肪を顔に注入して、しわやたるみを改善したり、顔の輪郭を整えたりします。ヒアルロン酸などの人工的なフィラーと異なり、自分の脂肪を使用するため、拒絶反応やアレルギーのリスクが少ないとされています。しかし、脂肪注入法にも注意すべき点が多くあります。
2. 脂肪注入のリスクとデメリット
2.1. 脂肪が吸収される
脂肪注入後、注入された脂肪が完全に定着するわけではありません。脂肪細胞の一部は時間の経過とともに吸収されてしまい、期待通りの効果が得られないことがあります。通常、注入した脂肪の30%〜50%が体に吸収されると考えられており、これにより効果が薄れてしまうことがあります。結果として、最初は満足していた仕上がりも数ヶ月後には期待していたボリューム感が失われる可能性があります。
2.2. 感染症のリスク
手術中に無菌状態を確保するために最善を尽くしても、注入部位に感染症を引き起こす可能性があります。脂肪の採取や注入時に細菌が入り込むことで、炎症や膿が発生し、重症化することもあります。感染症が発生した場合、抗生物質を使用して治療することが必要ですが、場合によっては手術を再度行って脂肪を取り除かなければならないこともあります。
2.3. 脂肪が硬くなる
脂肪が注入されると、時間の経過とともにその形状や質が変化することがあります。一部の人々では、脂肪注入後に注入部分が硬くなり、しこりのようなものが感じられることがあります。これを「脂肪硬化」と呼びます。この現象は、脂肪細胞が生着する過程で発生することがあり、特に脂肪が不均一に吸収される場合に見られます。硬くなった部分が目立つと、外見に不自然さを感じることがあり、再度修正手術が必要になることもあります。
2.4. 不均一な仕上がり
脂肪注入は、顔の輪郭を整えるために使用されることが多いため、均一に脂肪が分布することが重要です。しかし、注入が不均等であると、顔に凹凸や不自然なボリューム感が生じることがあります。特に、顔の繊細な部分に注入を行う際には、慎重な技術が求められます。不均一な注入が原因で、結果的に満足のいかない仕上がりとなり、再度の修正が必要になる場合があります。
2.5. アレルギー反応
脂肪注入法では自分の脂肪を使用するため、理論的にはアレルギー反応のリスクは低いとされています。しかし、脂肪採取時に使用する麻酔薬や注入時に使用される薬剤にアレルギー反応を示す場合もあります。特に麻酔薬に対してアレルギー反応を起こすことがあるため、手術前にアレルギー歴を詳しく伝えておくことが重要です。
2.6. 血腫や腫れ
脂肪注入後は、注入部位に血腫や腫れが発生することがあります。通常、これらは数日以内に自然に回復しますが、場合によっては治癒に時間がかかることもあります。また、内出血が目立つことがあり、特に顔の皮膚が薄いため、見た目に影響を及ぼすことがあります。腫れがひどい場合は、冷却や薬物療法が必要となることがあります。
2.7. 注入後の長期的な変化
脂肪注入は、一般的に長期間にわたる効果を期待できますが、その変化には個人差があります。加齢や体重の変動により、注入した脂肪が再び吸収されることがあります。さらに、顔の老化に伴って、元々注入された脂肪が時間とともに効果を失うこともあります。これにより、長期間にわたって安定した効果を維持することが難しい場合があります。
3. まとめ
脂肪注入法は顔の若返りやボリュームアップに有効な手段として人気がありますが、そのリスクとデメリットをしっかりと理解しておくことが大切です。特に、脂肪の吸収や不均一な仕上がり、感染症やアレルギー反応といったリスクがあるため、手術を受ける前に十分なカウンセリングを行い、信頼できる医師の元で施術を受けることが重要です。安全性を確保し、美容的な効果を最大限に引き出すためには、適切な準備とアフターケアが必要不可欠です。
