加齢に伴い、私たちの身体は代謝、ホルモンバランス、筋肉量、骨密度、消化機能など多くの面で変化していきます。特に35歳を過ぎると、これらの変化が徐々に顕著となり、日々の食生活が健康に与える影響もより深刻になります。つまり、この時期から「何を食べるか」だけでなく、「何を食べないか」も極めて重要になります。本記事では、科学的根拠と栄養学的な見地に基づき、35歳以降の女性ができるだけ避けるべき7種類の食べ物について、詳細かつ包括的に解説します。
1. 加工肉(ベーコン、ソーセージ、ハムなど)
加工肉には、硝酸塩や亜硝酸塩といった保存料が多く含まれています。これらは発がん性があると世界保健機関(WHO)によっても報告されており、特に結腸がんや胃がんのリスクを高める可能性があるとされています。さらに、加工肉は塩分と飽和脂肪酸が非常に高く、高血圧や動脈硬化、心臓病のリスクを増加させます。
35歳を過ぎると血管の弾力が徐々に失われていくため、このような食品の摂取は控えるべきです。代替としては、鶏むね肉や豆腐、大豆ミートなど低脂肪・高たんぱくな食品を選びましょう。
2. 精製された炭水化物(白パン、白米、ケーキなど)
白米や白パン、ケーキ、ドーナツなどに代表される精製炭水化物は、血糖値を急激に上昇させ、インスリンの分泌を過剰に促します。この状態が続くと、インスリン抵抗性が生じ、将来的に2型糖尿病や肥満のリスクが高まります。
35歳以降は基礎代謝が緩やかに低下するため、同じ量の糖質でも体脂肪に変換されやすくなります。食物繊維が豊富な全粒穀物(玄米、全粒パン、オートミールなど)を意識して取り入れることが重要です。
3. トランス脂肪酸を含む食品(マーガリン、スナック菓子、ファストフードなど)
トランス脂肪酸は人工的に作られた脂肪で、悪玉コレステロール(LDL)を増やし、善玉コレステロール(HDL)を減少させることが知られています。このため、心血管疾患のリスクを劇的に高めるとされています。
日本国内でも表示義務があるため、購入時には「トランス脂肪酸」「部分水素添加油脂」などの表示に注意しましょう。調理にはオリーブオイルやアボカドオイル、亜麻仁油などの良質な油脂を使用することを推奨します。
4. 過剰な砂糖を含む飲料(清涼飲料水、フルーツジュース、エナジードリンク)
砂糖を多く含む飲料は、「隠れ糖質」の代表格です。液体の形で糖分を摂取すると、固形物よりも吸収が早く、血糖値の急上昇を引き起こします。これにより、体内で炎症が引き起こされ、肌の老化(糖化)を加速させる原因になります。
砂糖の過剰摂取は、コラーゲンの劣化やしわ・たるみの原因となるため、美容面からも避けるべきです。水、炭酸水、無糖のハーブティーなどに切り替えることが賢明です。
5. アルコール(特に習慣的な過剰摂取)
アルコールは肝臓に負担をかけるだけでなく、女性ホルモンのバランスにも悪影響を及ぼす可能性があります。35歳以降はエストロゲンの分泌量が徐々に減少し始める時期であり、過剰な飲酒は更年期症状の悪化や乳がんのリスク増加にも関連しています。
また、アルコールは睡眠の質を低下させるため、肌の回復力や免疫機能の低下にもつながります。完全に断つ必要はありませんが、1日にグラス1杯程度のワインにとどめるなど、量のコントロールが肝心です。
6. 塩分の多い食品(漬物、インスタントラーメン、チーズ、スナック類)
高塩分の食品は血圧を上昇させ、腎臓や心臓に負担をかけます。特に日本人はもともと塩分摂取量が多い傾向にあるため、高血圧のリスクが高まりやすいとされています。
35歳を過ぎると血管の柔軟性が低下し、高血圧による脳卒中や心筋梗塞のリスクも増加します。調理の際には「うま味」や「酸味」を利用して減塩を意識し、出汁やレモン、酢、香辛料などを上手く使いましょう。
7. 人工甘味料を多く含む食品(ダイエット飲料、シュガーフリーガム、低カロリーゼリーなど)
人工甘味料(アスパルテーム、スクラロース、サッカリンなど)は一見、カロリーゼロで健康的に見えるかもしれませんが、腸内細菌への悪影響や、甘味への依存度を高めるリスクが指摘されています。
さらに、一部の研究では、人工甘味料がインスリン感受性に影響を与え、結果的に血糖コントロールを乱す可能性があるとされています。自然な甘味であるステビアやエリスリトールを適度に利用しつつ、甘味そのものに対する欲求を見直すことが大切です。
栄養学的まとめ:推奨される代替食品の表
| 避けるべき食品 | 健康的な代替食品 |
|---|---|
| 加工肉 | 鶏むね肉、豆腐、大豆ミート |
| 精製炭水化物 | 全粒粉パン、玄米、オートミール |
| トランス脂肪酸 | オリーブオイル、アボカド、ナッツ |
| 砂糖飲料 | 水、炭酸水、無糖ハーブティー |
| アルコール | ノンアルコール飲料、ハーブティー |
| 高塩分食品 | 出汁ベースの料理、レモンや香辛料 |
| 人工甘味料 | ステビア、果物、エリスリトール |
35歳以降の女性の体は変化とともに新たなバランスを模索しています。だからこそ、自分自身の食生活を丁寧に見直すことが、健やかな未来への第一歩です。短期的なダイエットや流行に流されず、栄養価と長期的な健康を重視した選択を意識することが、40代、50代、60代と歳を重ねたときの「美しさ」や「強さ」につながっていきます。
参考文献:
-
World Health Organization (2015). “Q&A on the carcinogenicity of the consumption of red meat and processed meat.”
-
Harvard T.H. Chan School of Public Health. “The Nutrition Source: Carbohydrates.”
-
日本高血圧学会「減塩のすすめ」.
-
Mayo Clinic. “Artificial sweeteners and other sugar substitutes.”
-
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」.
心と体の両方に優しい食生活を、今日から始めてみてください。
