Jitsiをローカル環境で独自のサーバーにデプロイする方法は、特にプライバシーやカスタマイズを重視する場合に非常に有効です。以下は、JitsiをDockerを使用してローカルサーバーに完全にデプロイするためのステップバイステップガイドです。
1. 必要な環境の準備
1.1. 必要なソフトウェア
Jitsiをローカルサーバーにインストールするためには、まず以下のソフトウェアが必要です:

- Docker:コンテナ化されたアプリケーションを動作させるためのツール。
- Docker Compose:複数のコンテナを管理するためのツール。
これらのツールがまだインストールされていない場合、公式のインストールガイドに従ってインストールを行ってください。
- Dockerインストールガイド: https://docs.docker.com/get-docker/
- Docker Composeインストールガイド: https://docs.docker.com/compose/install/
1.2. サーバー環境
- Ubuntu 20.04やUbuntu 22.04などの最新のLTSバージョンを使用するのが推奨されます。
2. JitsiのDocker環境の準備
Jitsiは公式にDocker Compose用の構成ファイルを提供しており、これを使用することで簡単にセットアップできます。
2.1. Jitsiのリポジトリをクローン
まず、JitsiのDocker環境用リポジトリをGitHubからクローンします。
bashgit clone https://github.com/jitsi/docker-jitsi-meet.git
cd docker-jitsi-meet
2.2. 設定ファイルの準備
リポジトリをクローンしたディレクトリには、すでに設定ファイルが含まれていますが、環境に合わせて設定を変更する必要があります。重要な設定ファイルは以下です:
docker-compose.yml
:Docker Composeの設定ファイル。Jitsiの各サービス(Jitsi Meet、Jicofo、JVBなど)を定義します。.env
:環境変数の設定ファイル。Jitsiサーバーのドメイン名やポート設定を定義します。
これらのファイルをエディタで開き、必要な設定を行います。
2.2.1. docker-compose.yml
の変更
docker-compose.yml
内で、必要に応じて以下の部分を変更します:
- HTTP/HTTPSポートの設定
Jitsi MeetのWebインターフェースをアクセスするためのポート番号を指定します。デフォルトでは、HTTPは8000番ポート、HTTPSは8443番ポートです。これを変更する場合は、ports
セクションを変更します。
yaml ports:
- '8000:80'
- '8443:443'
2.2.2. .env
ファイルの設定
.env
ファイルを開き、以下の設定を確認・変更します:
- ドメイン名設定
PUBLIC_URL
には、Jitsi Meetを公開するためのドメイン名を設定します。ローカル環境で使用する場合は、IPアドレスやlocalhost
を指定できます。
bashPUBLIC_URL=https://localhost:8443
- シークレットの設定
セキュリティのために、JICOFO_SECRET
やJVB_SECRET
などのシークレットキーを設定します。
bashJICOFO_SECRET=your-jicofo-secret JVB_SECRET=your-jvb-secret
2.3. 必要なボリュームの設定
データの永続性を保つために、docker-compose.yml
でボリューム設定を行います。Jitsiはログファイルや設定ファイルをボリュームに保存します。
yamlvolumes:
jitsi-meet-cfg:
jitsi-meet-data:
jitsi-meet-web:
jitsi-meet-transcripts:
3. Dockerコンテナの起動
設定が完了したら、JitsiをDocker Composeで起動します。以下のコマンドを実行して、コンテナを立ち上げます。
bashdocker-compose up -d
-d
オプションはバックグラウンドでコンテナを実行するためのものです。コマンドが正常に終了したら、Jitsi Meetが起動しているはずです。
4. Jitsi Meetへのアクセス
ブラウザを開いて、設定したドメインまたはIPアドレスにアクセスします。たとえば、https://localhost:8443
にアクセスします。
- 初回アクセス時にセキュリティ証明書の警告が表示される場合がありますが、自己署名証明書が使用されているため、警告を無視して進んでください。
5. ログの確認
問題が発生した場合、Dockerコンテナのログを確認することでトラブルシューティングができます。以下のコマンドで各サービスのログを確認できます。
bashdocker-compose logs
特定のサービスのログを確認したい場合は、サービス名を指定します:
bashdocker-compose logs jitsi-meet
6. 自動起動の設定(オプション)
サーバーが再起動した際にJitsiを自動的に起動するには、以下のコマンドを実行してDockerコンテナの自動起動を設定します:
bashdocker update --restart always jitsi-meet
7. まとめ
JitsiをDockerを使ってローカルサーバーにデプロイする方法は、非常にシンプルであり、カスタマイズやセキュリティの観点からも便利です。この方法を利用すれば、プライベートなビデオ会議システムを手軽に構築することができます。上記の手順に従い、Jitsi Meetをローカルサーバーで動作させることができるでしょう。