Arch Linuxのインストールガイド
Arch Linuxは、そのシンプルさと柔軟性で知られるLinuxディストリビューションです。ユーザーがシステムを自分のニーズに合わせて最適化できる点が特徴です。ただし、そのインストールは他のディストリビューションに比べて少し難易度が高いため、手順を慎重に追っていく必要があります。本記事では、Arch Linuxをインストールするための完全かつ包括的なガイドを提供します。
1. 前提条件と準備
Arch Linuxをインストールする前に、いくつかの準備が必要です。
必要なもの
- インターネット接続(有線または無線)
- Arch Linuxのインストールメディア(USBドライブまたはCD)
- BIOS/UEFI設定の確認(セキュアブートの無効化など)
インストールメディアの作成
-
Arch Linuxの公式ウェブサイトから最新のISOイメージをダウンロードします。
- ダウンロードURL: https://www.archlinux.org/download/
-
ダウンロードしたISOファイルをUSBドライブまたはDVDに書き込みます。USBの場合、
dd
コマンドを使用する方法が一般的です。bashsudo dd if=archlinux.iso of=/dev/sdX bs=4M status=progress && sync
※
/dev/sdX
は実際のUSBデバイスの場所に置き換えてください。 -
作成したインストールメディアをPCに挿入し、BIOS/UEFIで起動順位を変更してUSBから起動します。
2. Arch Linuxのインストール
インストールが始まると、コマンドラインインターフェース(CLI)が表示されます。ここからは手動で各設定を行う必要があります。
2.1. ローカルタイムの設定
最初に、システムのローカルタイムを設定します。Arch LinuxはデフォルトでUTCを使用しますが、日本に合わせるためにはタイムゾーンを設定する必要があります。
-
タイムゾーンを設定する:
bashln -sf /usr/share/zoneinfo/Asia/Tokyo /etc/localtime
-
システムクロックを同期する:
bashhwclock --systohc
2.2. ロケール設定
次に、システムの言語設定を行います。
-
/etc/locale.gen
ファイルを編集し、ja_JP.UTF-8
を有効にします。bashnano /etc/locale.gen
ja_JP.UTF-8 UTF-8
のコメントアウトを外します。 -
ロケールを生成します:
bashlocale-gen
-
ロケール設定を
/etc/locale.conf
に追加します:bashecho "LANG=ja_JP.UTF-8" > /etc/locale.conf
2.3. パーティションの作成
次に、ディスクにパーティションを作成します。fdisk
またはparted
を使用してディスクを管理します。
-
ディスクの確認:
bashlsblk
-
fdisk
でパーティションを作成:bashfdisk /dev/sda
n
で新しいパーティションを作成w
で変更を保存
2.4. ファイルシステムの作成
作成したパーティションにファイルシステムを作成します。例えば、ext4
を使用する場合:
bashmkfs.ext4 /dev/sda1
2.5. マウント
作成したパーティションを/mnt
にマウントします:
bashmount /dev/sda1 /mnt
3. 基本的なシステムのインストール
-
パッケージリストを更新:
bashpacman -Sy
-
基本的なパッケージをインストール:
bashpacstrap /mnt base base-devel linux linux-firmware
-
システムのインストールが完了したら、
genfstab
を使って/etc/fstab
ファイルを作成します:bashgenfstab -U /mnt >> /mnt/etc/fstab
4. チューンナップと設定
インストールが完了したら、chroot
で新しいシステムに入ります:
basharch-chroot /mnt
4.1. ホスト名の設定
システムのホスト名を設定します:
bashecho "myhostname" > /etc/hostname
/etc/hosts
ファイルも編集します:
bashnano /etc/hosts
以下の内容を追加します:
makefile127.0.0.1 localhost
::1 localhost
127.0.1.1 myhostname.localdomain myhostname
4.2. rootパスワードの設定
rootユーザーのパスワードを設定します:
bashpasswd
4.3. ブートローダのインストール
GRUBをインストールして、システムが起動できるようにします。
-
GRUBのインストール:
bashpacman -S grub
-
EFIシステムにインストール(UEFIシステムの場合):
bashpacman -S efibootmgr grub-install --target=x86_64-efi --efi-directory=/boot --bootloader-id=grub
-
GRUB設定ファイルを作成:
bashgrub-mkconfig -o /boot/grub/grub.cfg
5. ネットワーク設定
インターネットに接続するためのネットワーク設定を行います。
-
有線ネットワークの場合:
bashsystemctl enable dhcpcd
-
無線ネットワークの場合:
bashpacman -S iw wpa_supplicant dialog wifi-menu
6. システムの再起動
すべての設定が完了したら、インストールしたシステムを再起動します。インストールメディアを取り出し、以下のコマンドで再起動します:
bashexit
umount -R /mnt
reboot
7. 初回ログイン
再起動後、Arch Linuxのインストールが完了し、ログイン画面が表示されます。作成したrootアカウントでログインし、さらに必要なパッケージや設定を行っていきます。
まとめ
以上がArch Linuxのインストール手順です。手動でインストールを行うため、非常に柔軟性がありますが、それに伴いシステムの構成や管理に関しても高度な知識が必要です。このガイドを参考にしながら、Arch Linuxを自分のニーズに合わせて最適化していくことができます。