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ACLによるネットワークセキュリティ

ネットワークセキュリティにおける「アクセス制御リスト(ACL)」は、非常に重要な役割を果たします。ACLは、ネットワークデバイスにアクセスを許可または拒否するためのルールのセットであり、組織のネットワークを保護するために活用されます。本記事では、ACLの基本的な概念、種類、設定方法、そして実際の適用例について詳しく解説します。

1. アクセス制御リスト(ACL)の基本概念

アクセス制御リスト(ACL)とは、ネットワーク上のトラフィックの通過を管理するためのルールセットです。これにより、特定のIPアドレスやサブネットからのアクセスを許可したり、特定のサービスやポートへのアクセスを拒否したりすることができます。ACLは、主にルーターやスイッチに設定され、ネットワークのセキュリティを強化するために使用されます。

ACLは、ネットワークのトラフィックをフィルタリングし、特定のルールに基づいてデータパケットを許可または拒否します。これにより、外部からの攻撃を防いだり、社内の不要なトラフィックをブロックしたりすることができます。

2. ACLの種類

ACLには大きく分けて「標準ACL」と「拡張ACL」の2種類があります。それぞれの特徴を見てみましょう。

2.1 標準ACL

標準ACLは、トラフィックをフィルタリングする際に、送信元IPアドレスのみを基にアクセスを制御します。具体的には、標準ACLは「IPアドレス」または「サブネット」を指定し、許可または拒否するパケットを決定します。標準ACLは、主にネットワーク内部のアクセス制御に使用されます。

例えば、特定のネットワークからのアクセスを許可し、他のネットワークからのアクセスを拒否する場合に標準ACLを使用します。

標準ACLの例:

pgsql
access-list 1 permit 192.168.1.0 0.0.0.255 access-list 1 deny any

2.2 拡張ACL

拡張ACLは、標準ACLに加えて、送信元IPアドレスだけでなく、送信先IPアドレス、プロトコル(TCP、UDP、ICMPなど)、ポート番号なども基にアクセス制御を行います。このため、より細かい制御が可能であり、特定のサービスやアプリケーションに対してアクセスを制限する場合に使用されます。

拡張ACLは、ファイアウォール機能を持つデバイスに多く利用され、細かなトラフィック制御が求められるシナリオで活躍します。

拡張ACLの例:

pgsql
access-list 100 permit tcp 192.168.1.0 0.0.0.255 any eq 80 access-list 100 deny ip any any

3. ACLの設定方法

ACLの設定は、ルーターやスイッチのインターフェースに対して行います。設定手順は以下の通りです。

3.1 ACLの作成

まず、ACLルールを作成します。ルールは、トラフィックの許可または拒否を明示的に指定します。ACLは、番号または名前で識別できます。

例:

  • 標準ACLの場合、1~99の番号を使用します。
  • 拡張ACLの場合、100~199の番号を使用します。

3.2 ACLの適用

ACLルールを作成した後、それをインターフェースに適用します。インターフェースにACLを適用することで、特定のインターフェースに入ってくるパケットをフィルタリングできます。

インターフェースにACLを適用するコマンドは次の通りです:

arduino
Router(config)# interface gigabitEthernet 0/1 Router(config-if)# ip access-group 100 in

この例では、インターフェースgigabitEthernet 0/1にACL番号100を適用し、インターフェースに入ってくるトラフィックをフィルタリングしています。

4. ACLの実際の適用例

ACLは、ネットワーク内でのトラフィック制御において非常に効果的です。以下にいくつかの適用例を示します。

4.1 特定のIPアドレスからのアクセスを許可する

特定のIPアドレスからのトラフィックのみを許可する場合、標準ACLを使用して送信元IPアドレスを制御できます。たとえば、192.168.1.100というIPアドレスからのアクセスを許可し、それ以外のすべてのアクセスを拒否する場合、次のように設定します:

pgsql
access-list 1 permit host 192.168.1.100 access-list 1 deny any

4.2 特定のプロトコルやポート番号のフィルタリング

拡張ACLを使用すると、特定のプロトコルやポート番号を指定して、トラフィックをフィルタリングできます。例えば、192.168.1.0/24ネットワークからHTTP(ポート80)トラフィックのみを許可し、それ以外のアクセスを拒否する場合は、次のように設定します:

pgsql
access-list 100 permit tcp 192.168.1.0 0.0.0.255 any eq 80 access-list 100 deny ip any any

4.3 ネットワークセグメント間の通信を制限する

ACLを使用して、特定のネットワークセグメント間の通信を制限することができます。例えば、192.168.1.0/24ネットワークと192.168.2.0/24ネットワーク間の通信を制限する場合、次のように設定します:

pgsql
access-list 101 deny ip 192.168.1.0 0.0.0.255 192.168.2.0 0.0.0.255 access-list 101 permit ip any any

5. ACLの管理とトラブルシューティング

ACLを設定した後、その動作を確認することは非常に重要です。ACLの動作に問題がある場合、適切なトラブルシューティングを行うことが求められます。

5.1 ACLの確認

ACLが正しく適用されているかを確認するには、次のコマンドを使用します:

pgsql
show access-lists

このコマンドで、設定したACLルールの詳細情報を確認することができます。

5.2 トラフィックの確認

ACLがトラフィックに与える影響を調べるためには、show ip trafficコマンドを使用して、インターフェースで処理されるパケット数を確認できます。

5.3 ログの確認

ACLの動作に関するログを取得するためには、ルーターやスイッチのログ設定を有効にする必要があります。これにより、ACLによって拒否されたトラフィックを確認することができます。

6. ACLのベストプラクティス

ACLを効果的に運用するためには、以下のベストプラクティスを守ることが重要です。

  • 最小権限の原則:ACLを設定する際には、最小権限の原則に従い、必要なトラフィックのみを許可し、その他のすべてのトラフィックを拒否します。
  • 明示的な許可と拒否:ACLの最後には、すべてのトラフィックを拒否する「deny all」のルールを明示的に設定することを推奨します。これにより、予期しない

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