Ansible で PHP アプリデプロイ

PHP アプリケーションを複数台の Ubuntu サーバーに Ansible を使用してデプロイする方法について、完全かつ包括的に説明します。この記事では、PHP アプリケーションの展開を自動化するための Ansible のセットアップから、実際のデプロイ手順までをステップバイステップで解説します。

1. はじめに

Ansible は、インフラストラクチャの自動化を行うための強力なツールです。PHP アプリケーションを複数の Ubuntu サーバーにデプロイする際、Ansible を使用することで、手作業を減らし、一貫性のあるデプロイを実現できます。このガイドでは、複数の PHP アプリケーションを管理し、デプロイするための基本的な流れと設定を紹介します。

2. 必要な環境

まず最初に、以下の環境を整えます。

• Ansible がインストールされたマシン（制御ノード）
• Ubuntu サーバー（ターゲットノード）に PHP を実行できるように設定されている
• SSH アクセスが設定されている
• ターゲットサーバーに対して適切な権限（sudo）が与えられている

3. Ansible のインストール

最初に、制御ノード（Ansible をインストールするマシン）に Ansible をインストールします。以下のコマンドでインストールができます。

bash
CopyEdit
sudo apt update
sudo apt install ansible

インストール後、Ansible が正しくインストールされたかを確認します。

bash
CopyEdit
ansible --version

4. インベントリファイルの設定

次に、ターゲットノード（PHP アプリケーションをデプロイするサーバー）の情報を記載したインベントリファイルを作成します。インベントリファイルは、デプロイ対象のサーバーやグループを指定するために使用されます。

例えば、inventory.ini という名前で以下のようなインベントリファイルを作成します。

ini
CopyEdit
[php_servers]
192.168.1.10
192.168.1.11

この例では、2 台のサーバーに PHP アプリケーションをデプロイする設定です。

5. PHP のインストール

ターゲットサーバーに PHP をインストールするために、Ansible プレイブックを作成します。プレイブックは、タスクを順番に実行する YAML ファイルです。

例えば、install_php.yml という名前で以下のようなプレイブックを作成します。

yaml
CopyEdit
---
- name: Install PHP on Ubuntu servers
  hosts: php_servers
  become: yes
  tasks:
    - name: Update apt package list
      apt:
        update_cache: yes

    - name: Install PHP and dependencies
      apt:
        name:
          - php
          - php-cli
          - php-fpm
          - php-mysql
          - php-xml
        state: present

このプレイブックは、ターゲットサーバーに PHP とその依存関係をインストールします。以下のコマンドでプレイブックを実行します。

bash
CopyEdit
ansible-playbook -i inventory.ini install_php.yml

6. PHP アプリケーションの配置

次に、PHP アプリケーションをサーバーに配置します。これには、アプリケーションファイルをリモートサーバーにコピーするために copy モジュールや git モジュールを使用します。

例えば、Git リポジトリからアプリケーションをクローンする場合は、以下のようなプレイブックを作成します。

yaml
CopyEdit
---
- name: Deploy PHP application from Git
  hosts: php_servers
  become: yes
  tasks:
    - name: Clone the PHP application repository
      git:
        repo: 'https://github.com/example/php-app.git'
        dest: /var/www/html/php-app
        version: master

このプレイブックを実行すると、指定した Git リポジトリからアプリケーションがターゲットサーバーにクローンされます。

7. PHP-FPM と Nginx の設定

PHP アプリケーションを正しく動作させるためには、PHP-FPM と Nginx を設定する必要があります。まず、php-fpm サービスを起動し、その後に Nginx サーバーを設定します。

yaml
CopyEdit
---
- name: Configure PHP-FPM and Nginx for PHP application
  hosts: php_servers
  become: yes
  tasks:
    - name: Start and enable PHP-FPM
      service:
        name: php7.4-fpm
        state: started
        enabled: yes

    - name: Install Nginx
      apt:
        name: nginx
        state: present

    - name: Start and enable Nginx
      service:
        name: nginx
        state: started
        enabled: yes

    - name: Configure Nginx for PHP app
      template:
        src: nginx_php_app.conf.j2
        dest: /etc/nginx/sites-available/php-app
      notify:
        - Reload Nginx

  handlers:
    - name: Reload Nginx
      service:
        name: nginx
        state: reloaded

上記のプレイブックでは、Nginx をインストールし、PHP アプリケーション用の設定ファイルを適用します。この設定ファイル（nginx_php_app.conf.j2）は Jinja2 テンプレートとして管理し、実際の設定を行います。

8. Nginx の設定ファイル（テンプレート）

nginx_php_app.conf.j2 ファイルは、Nginx の仮想ホスト設定ファイルとして以下のようになります。

nginx
CopyEdit
server {
    listen 80;
    server_name example.com;
    root /var/www/html/php-app;

    index index.php;

    location / {
        try_files $uri $uri/ /index.php?$query_string;
    }

    location ~ \.php$ {
        include snippets/fastcgi-php.conf;
        fastcgi_pass unix:/var/run/php/php7.4-fpm.sock;
        fastcgi_param SCRIPT_FILENAME $document_root$fastcgi_script_name;
        include fastcgi_params;
    }
}

この設定ファイルは、PHP アプリケーションのルートディレクトリと PHP-FPM のソケットを設定します。

9. アプリケーションのデプロイとサービスの起動

最後に、プレイブックを実行して、PHP アプリケーションのデプロイを完了させます。

bash
CopyEdit
ansible-playbook -i inventory.ini deploy_php_app.yml

これで、PHP アプリケーションがターゲットサーバーにデプロイされ、Nginx サーバーが再起動して新しい設定が適用されます。

10. まとめ

このガイドでは、Ansible を使用して複数の Ubuntu サーバーに PHP アプリケーションを自動的にデプロイする方法を紹介しました。Ansible を活用することで、手動での作業を減らし、安定した運用が可能となります。デプロイメントの設定をプレイブックとして保存し、今後の運用に活用できるようにすることが重要です。