Baculaは、ネットワークを介してファイルシステムのバックアップを管理するための強力なツールです。Ubuntu 14.04にBaculaをインストールし、設定する手順を以下に示します。このガイドでは、サーバー(Bacula Director)とクライアント(Bacula File Daemon)の両方のインストールと設定方法を詳細に説明します。
1. パッケージの準備
最初に、Ubuntuのパッケージリストを更新し、必要なパッケージをインストールします。以下のコマンドを実行します:
bashsudo apt-get update sudo apt-get install bacula-server bacula-client
これにより、Baculaのサーバーおよびクライアントパッケージがインストールされます。
2. Bacula Directorの設定
Bacula Directorは、バックアップジョブを制御する中心的なコンポーネントです。設定ファイルは/etc/bacula/bacula-dir.conf
にあります。
- 設定ファイルの編集
bashsudo nano /etc/bacula/bacula-dir.conf
このファイルには、Directorの動作を制御するための設定が含まれています。以下のセクションに注目します:
- Directorの設定: Bacula Directorの名前やポート設定などを記述します。
- JobDefs: バックアップジョブのデフォルト設定(例:バックアップの保持期間、バックアップするデータ量など)。
- Catalog: バックアップメタデータを管理するためのデータベース設定(通常はMySQLやPostgreSQLを使用)。
- Databaseの設定
Baculaでは、バックアップのメタデータをデータベースに保存します。MySQLを使用する場合、次の手順でデータベースを設定します:
bashsudo apt-get install mysql-server sudo mysql_secure_installation sudo mysql -u root -p
次に、Bacula用のデータベースとテーブルを作成します:
sqlCREATE DATABASE bacula;
GRANT ALL PRIVILEGES ON bacula.* TO 'bacula'@'localhost' IDENTIFIED BY 'your_password';
FLUSH PRIVILEGES;
Baculaのテーブルを作成するには、Baculaのインストール後に提供される/etc/bacula/create_mysql_tables
スクリプトを実行します:
bashsudo mysql -u bacula -p bacula < /etc/bacula/create_mysql_tables
これにより、データベースが構成されます。
3. Bacula File Daemonの設定
Bacula File Daemon(FD)は、バックアップ対象のクライアントシステムにインストールされ、バックアップの実際のデータを処理します。
- Bacula File Daemonのインストール
bashsudo apt-get install bacula-client
- 設定ファイルの編集
/etc/bacula/bacula-fd.conf
を編集して、Directorがクライアントと通信できるようにします。
bashsudo nano /etc/bacula/bacula-fd.conf
ここで、Director
の名前とポートを設定します。例えば、Directorのホスト名をbacula-dir
に設定します。
bashDirector {
Name = bacula-dir-fd
Address = bacula-dir
Password = "YourPassword"
}
4. Bacula Storage Daemonの設定
Storage Daemon(SD)は、バックアップデータをストレージデバイスに保存する役割を持ちます。/etc/bacula/bacula-sd.conf
を設定します。
- Storage Daemonの設定ファイル
bashsudo nano /etc/bacula/bacula-sd.conf
設定ファイルで、バックアップデータを保存するディレクトリやデバイスの設定を行います。例えば、バックアップデータを/mnt/bacula-backup
に保存するように設定します。
bashDevice { Name = FileStorage Media Type = File Archive Device = /mnt/bacula-backup Pool = Default }
5. Bacula Directorの起動
設定が完了したら、Bacula Directorを起動します。以下のコマンドで、Directorを起動し、バックアップを管理する準備をします。
bashsudo service bacula-director start
6. Bacula Clientの起動
クライアント側でも、Bacula File Daemonを起動して、バックアップ対象データの準備をします。
bashsudo service bacula-fd start
7. バックアップジョブの作成
Bacula Directorを使用して、バックアップジョブを設定します。/etc/bacula/bacula-dir.conf
内のJobDefs
セクションで、バックアップジョブの設定を行います。例えば、毎週日曜日にバックアップを実行する設定を追加します。
bashJobDefs { Name = DefaultJobDefs Type = Backup FileSet = Full Set Pool = Default Priority = 10 }
次に、ジョブを作成し、スケジュールを設定します。
bashJob {
Name = "FullBackup"
Type = Backup
FileSet="Full Set"
Pool=Default
Schedule=WeeklyCycle
Messages=Standard
Priority=10
}
8. バックアップの実行
設定が完了したら、バックアップを実行します。Bacula Directorを使って、以下のコマンドでジョブを手動で開始できます。
bashsudo bconsole * run JobName=FullBackup
このコマンドを実行すると、設定したバックアップジョブが実行されます。
9. バックアップの確認
バックアップが正常に完了したかどうかを確認するために、Baculaのbconsole
コマンドを使用して、バックアップの状態を確認します。
bash* status
このコマンドで、バックアップの進行状況やエラーを確認できます。
結論
これで、Ubuntu 14.04にBaculaのバックアップシステムをインストールし、設定を完了しました。Baculaは強力なバックアップツールであり、複数のコンピュータを管理するために非常に役立ちます。設定の細かい部分を調整して、ニーズに合わせたバックアップ環境を構築することができます。