Low Poly Art(ロー・ポリ・アート)は、3Dモデリングの手法としてよく知られていますが、2Dグラフィックにも応用可能です。特にAdobe Illustratorを使ってLow Poly Artスタイルの絵を描くことは、シンプルでありながら視覚的に魅力的なデザインを作成する方法として人気です。この技法では、少ない面(ポリゴン)で構成されたシンプルな形を用い、現実的な形状や風景を抽象的に表現します。今回は、Adobe Illustratorを使用して「山のLow Poly Art」を描く方法について、完全かつ包括的に解説します。
1. Illustratorの準備
まず、Adobe Illustratorを開き、新しいドキュメントを作成します。キャンバスサイズは、作業に合わせて自由に調整できますが、例えば「A4」サイズや「1920×1080」の横長キャンバスが一般的です。

2. ベースとなる山の形を描く
山を描くためには、まずそのベースとなる形を作成します。最初に、「ポリゴンツール」を使用して三角形を描きます。山の輪郭となる部分をこの三角形で表現します。
- ツールパネルから「ポリゴンツール」を選び、クリックしてポリゴンを作成します。
- 「オプション」を設定し、辺の数を「3」に設定することで三角形を作ります。
作成した三角形を複製し、位置をずらして重ねることで、山の頂上や斜面の形を作ります。この段階で、山の大まかなアウトラインを作成しましょう。
3. 三角形の追加と配置
Low Poly Artの特徴は、複数の三角形で物体を分割することです。山をより多面的に見せるために、さらに三角形を追加します。
- 新たに三角形を描き、すでに描いた三角形との間に配置します。これにより、山の斜面や谷間、細かい形状を表現します。
- 各三角形は異なる角度や方向に配置し、山の輪郭をより立体的に見せるようにします。
このプロセスでは、三角形のサイズや形を調整し、視覚的にバランスが取れるように配置します。全ての三角形が正確に接することがポイントです。
4. 色の選定とグラデーション
Low Poly Artでは、各三角形の色が重要です。山を表現するために、適切な色を選び、各三角形に配置していきます。
- 山の雪がある部分は白や薄い青を選び、山肌はグレーや茶色で塗りつぶします。
- さらに立体感を出すために、グラデーションを使うことも効果的です。三角形の中で明るい部分と暗い部分を作り出し、光の当たる部分と影の部分を表現します。
色の選び方は、山の質感や昼夜の違いを反映するために重要です。たとえば、日の当たる斜面は明るく、影の部分は暗くすることで、山の立体感を強調できます。
5. エッジとディテールの追加
Low Poly Artの魅力は、シンプルでありながらも形をしっかりと表現するところにあります。山のディテールを追加するためには、三角形同士の境界線を強調します。
- 「ペンツール」を使ってエッジを際立たせるラインを描きます。これにより、各三角形が明確に区切られ、よりLow Polyな印象を与えることができます。
- さらに、山の一部に細かいディテールを加え、陰影を強調するための線を入れます。この時、線の太さや色に変化をつけて、奥行き感を出すことが大切です。
6. 背景の作成
山だけではなく、背景もLow Poly Artのスタイルに合わせて作成することで、全体的なデザインの完成度が増します。背景には平面的でシンプルな形を使い、空や地面を表現します。
- 「長方形ツール」を使用して背景を作成し、その上に別の三角形を配置して空や雲を描きます。
- もし、背景に山を含めたい場合、遠景の山をさらにシンプルな形で描き加え、手前の山との差別化を図ります。
7. 仕上げと最終調整
最後に、全体のデザインをチェックし、調整が必要な箇所を修正します。色の調整、ディテールの追加、エッジの強調など、最後の仕上げを行って完成です。
- 必要に応じて、透明度を調整して、より複雑な陰影を表現したり、三角形の配置を微調整したりします。
- また、全体のバランスを見ながら、色のコントラストや明度を調整し、視覚的に心地よい仕上がりを目指します。
まとめ
このように、Adobe Illustratorを使って山のLow Poly Artを描くことができます。シンプルな三角形を組み合わせることで、視覚的に印象的な作品を作り上げることができるため、デザインにおいて非常に効果的な技法です。色の使い方やディテールの表現に工夫を凝らすことで、より魅力的なLow Poly Art作品を作成することができます。