WordPress(ワードプレス)は、その使いやすさと柔軟性から、個人ブログから企業サイトまで幅広く利用されています。この記事では、複数のWordPressサイトをインストールし、それぞれのデータベースを適切に設定する方法について、完全かつ包括的に説明します。これにより、効率的で管理しやすいウェブサイト運営が可能になります。
1. 必要な準備
まず、WordPressサイトを複数インストールするための基本的な準備を整えます。これには、サーバーのセットアップ、データベースの作成、そして各WordPressサイトを適切にインストールするための環境が必要です。

サーバー環境の準備
複数のWordPressサイトをインストールする場合、一般的には以下のようなサーバー環境を整える必要があります:
- Webサーバー:Apache または Nginx
- PHP:バージョン7.4以上を推奨
- MySQLまたはMariaDB:WordPress用に適切なバージョンをインストール
- SSL証明書(任意):セキュアな通信を確保するためにHTTPSを有効にする
サーバーの準備が整ったら、次にデータベースの設定を行います。
2. データベースの作成
WordPressの各サイトには独立したデータベースを使用することが推奨されます。これにより、データの管理が容易になり、サイト間でデータが混ざることを防げます。
MySQL / MariaDBでデータベースを作成
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サーバーにログインします。
bashssh username@your-server-ip
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MySQLまたはMariaDBにログインします。
bashmysql -u root -p
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新しいデータベースを作成します。例えば、
wordpress_site1
という名前のデータベースを作成する場合は以下のコマンドを実行します。sqlCREATE DATABASE wordpress_site1;
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各WordPressサイトに対してユーザーを作成し、適切な権限を与えます。
sqlGRANT ALL PRIVILEGES ON wordpress_site1.* TO 'wp_user1'@'localhost' IDENTIFIED BY 'password';
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権限を適用します。
sqlFLUSH PRIVILEGES;
-
上記の手順を繰り返して、他のWordPressサイト用のデータベースを作成します(例えば、
wordpress_site2
、wordpress_site3
など)。
3. WordPressのインストール
次に、各WordPressサイトをインストールします。基本的なインストール方法は以下の通りですが、今回は複数サイトのインストールについて解説します。
WordPressのダウンロード
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WordPressの最新版を公式サイトからダウンロードします。
bashwget https://wordpress.org/latest.tar.gz
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ダウンロードしたファイルを解凍します。
bashtar -xvzf latest.tar.gz
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解凍された
wordpress
ディレクトリを適切な場所に移動します。例えば、/var/www/html/
にインストールする場合は以下のようにします。bashmv wordpress /var/www/html/site1
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同様の手順で他のサイトをインストールします(
site2
、site3
など)。
WordPressの設定
各サイトのwp-config.php
を設定することで、作成したデータベースと接続することができます。
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各サイトの
wp-config-sample.php
をコピーしてwp-config.php
を作成します。bashcp /var/www/html/site1/wp-config-sample.php /var/www/html/site1/wp-config.php
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wp-config.php
を編集して、データベースの設定を行います。bashnano /var/www/html/site1/wp-config.php
以下の設定を適切に編集します。
phpdefine('DB_NAME', 'wordpress_site1'); define('DB_USER', 'wp_user1'); define('DB_PASSWORD', 'password'); define('DB_HOST', 'localhost');
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他のサイトについても同様の設定を行います。
4. ドメインの設定
複数のWordPressサイトを異なるドメインで運用する場合、各サイトに適切なドメイン名を設定する必要があります。
仮想ホストの設定(Apacheの場合)
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Apacheの設定ファイルを編集します。
bashsudo nano /etc/apache2/sites-available/site1.conf
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以下のような仮想ホストの設定を記述します。
apacheServerAdmin [email protected] DocumentRoot /var/www/html/site1 ServerName site1.com AllowOverride All Require all granted -
同様にして、他のサイト用の設定ファイル(
site2.conf
、site3.conf
など)を作成します。 -
仮想ホストの設定を有効にします。
bashsudo a2ensite site1.conf sudo systemctl reload apache2
ドメインのDNS設定
各ドメインが正しくサーバーに向くように、DNS設定を行います。ドメインのDNSレコードにAレコードまたはCNAMEレコードを追加して、各サイトがサーバーにアクセスできるようにします。
5. SSL証明書の設定
セキュリティを確保するために、各サイトにSSL証明書を導入します。無料のSSL証明書を提供するLet’s Encryptを使用するのが一般的です。
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Certbotをインストールします。
bashsudo apt install certbot python3-certbot-apache
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SSL証明書を取得してインストールします。
bashsudo certbot --apache -d site1.com -d www.site1.com
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同様にして、他のサイトについてもSSL証明書を取得します。
6. WordPressの初期設定
各サイトにアクセスし、WordPressのインストール画面を開きます。ブラウザで以下のURLにアクセスします。
http://site1.com
http://site2.com
http://site3.com
各サイトで必要な情報(サイト名、管理者アカウント、パスワード、メールアドレスなど)を入力してインストールを完了させます。
7. サイトの管理と更新
WordPressサイトを複数運営する場合、各サイトの管理が必要です。以下の作業を定期的に行うことをおすすめします。
- WordPress本体やプラグイン、テーマの更新
- バックアップの作成
- セキュリティ対策(ファイアウォール、セキュリティプラグインの導入など)
- パフォーマンスの監視と最適化(キャッシュ設定や画像圧縮など)
まとめ
この記事では、複数のWordPressサイトをインストールし、それぞれのデータベースを適切に設定する方法を紹介しました。WordPressを複数運営することにより、複数のプロジェクトを効率的に管理でき、また、各サイトが独立しているため、トラブルシューティングも容易になります。サーバー設定やデータベース管理をしっかりと行い、セキュリティやバックアップ対策を徹底することが、安心して運営を続けるための鍵となります。