カンジダ症(カンジダ感染症)は、カンジダ属の真菌による感染症で、主にカンジダ・アルビカンスという種類が人間に感染します。カンジダは通常、口腔、消化管、外陰部などに常在しており、免疫力が低下したり、環境が変化したりすると、異常増殖を引き起こし、感染症となります。カンジダ症はその発症部位によって異なる症状を示し、場合によっては全身に広がることもあります。
1. 口腔カンジダ症(口腔内真菌感染症)
口腔カンジダ症は「口腔カンジダ症」や「口内炎」とも呼ばれ、口の中に白い斑点や膜が現れることが特徴です。これらはカンジダ真菌が引き起こすものです。症状としては、以下のようなものが現れます。
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白い斑点や膜: 口腔内、舌、歯茎に白いカスのようなものが見られる。
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口内の痛みや違和感: 特に食事中に痛みを感じることがある。
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乾燥感や口の中の粘つき: 口内が乾燥して粘つく感覚が続く。
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喉の痛みや嚥下困難: 喉にも広がると痛みや飲み込みにくさを感じることがある。
口腔カンジダ症のリスク要因
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抗生物質の使用(特に広域抗生物質)
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免疫抑制剤の使用
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糖尿病
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ストレスや疲労
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喫煙
2. 外陰部カンジダ症
外陰部カンジダ症は、特に女性に多く見られ、膣内や外陰部にカンジダ真菌が感染することから発症します。症状には次のようなものがあります。
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かゆみや焼けるような痛み: 外陰部に激しいかゆみや焼けるような痛みを感じることがある。
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膣からの異常分泌物: 白色のダンゴ状の分泌物が出ることが多い。
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痛みや不快感: 性交時や排尿時に痛みを感じることがある。
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腫れや赤み: 外陰部が赤く腫れることがある。
外陰部カンジダ症のリスク要因
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妊娠
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糖尿病
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抗生物質やステロイドの使用
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不十分な衛生管理
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ストレスや免疫機能の低下
3. 消化管カンジダ症
消化管カンジダ症は、特に免疫力が低下している場合に発生しやすいです。口腔から腸にかけてのカンジダの異常増殖が原因で、以下の症状を引き起こすことがあります。
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腹痛や膨満感: 腹部に不快感を感じることがある。
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下痢または便秘: 消化管のバランスが崩れることにより、便秘や下痢が続くことがある。
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消化不良や吐き気: 食事後に気分が悪くなることがある。
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食欲不振: 食べ物に対する興味がなくなることがある。
4. 皮膚カンジダ症
皮膚カンジダ症は、湿った環境や摩擦が多い部位に発生します。例えば、脇の下、足の指の間、陰部などが典型的な発症場所です。症状は次のようなものがあります。
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赤い発疹や湿疹: 湿気の多い部分に赤い発疹が現れる。
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かゆみや痛み: 発疹部分がかゆく、時には痛みを伴う。
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膿や水疱の形成: 発疹が進行すると、膿を伴った水疱ができることがある。
皮膚カンジダ症のリスク要因
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皮膚が湿った状態が長期間続くこと(例えば、スポーツや長時間の運動後)
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糖尿病
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肥満
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免疫抑制剤の使用
5. 血流感染(全身カンジダ症)
カンジダは全身に広がり、血流感染を引き起こすこともあります。これをカンジダ血症と呼びます。全身性の感染症に進行すると、以下の症状が見られることがあります。
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発熱や寒気: 急激な発熱や寒気が現れる。
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低血圧: 血圧が低くなることがあり、めまいやふらつきを感じることがある。
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全身の倦怠感: 強い疲労感を感じることが多い。
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呼吸困難や意識障害: 重症化すると、呼吸が困難になったり、意識がもうろうとしたりすることがある。
6. カンジダ症の予防と治療
カンジダ症は予防可能であり、また治療も効果的です。予防方法としては、以下の点が挙げられます。
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良好な衛生習慣: 入浴後やトイレ後に清潔を保つこと。
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湿気を避ける: 特に皮膚に湿気がたまりやすい部位は乾燥させることが重要です。
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抗生物質の乱用を避ける: 不必要な抗生物質の使用を避け、常に医師の指示に従うこと。
治療には、以下のような方法があります。
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抗真菌薬の使用: 市販薬や処方薬として、抗真菌薬を服用したり、塗布したりする方法があります。例えば、フルコナゾール、ミコナゾール、クロトリマゾールなどがよく使われます。
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生活習慣の改善: 食事や生活習慣を見直すことが治療に効果的です。特に、糖分の摂取を控えることが推奨されます。
結論
カンジダ症は、放置すると深刻な合併症を引き起こすことがありますが、早期に診断と治療を受けることで十分に改善することができます。免疫力を高め、日常的に健康的な生活を送ることが予防の鍵となります。
