心血管疾患

心臓筋力低下の症状

心臓の筋力が低下すると、いわゆる「心筋症」や「心不全」といった状態が進行することがあります。この状態は、心臓が血液を十分に送り出す能力を失うことで、全身の器官や組織が酸素と栄養分の供給不足に陥り、様々な症状が現れるのです。心臓の筋力低下による症状は多岐に渡りますが、ここではその主な症状について詳述します。

1. 息切れ(呼吸困難)

心筋が十分に血液を送り出せないと、肺に血液が滞り、酸素の供給が不足します。このため、息切れが発生しやすくなります。特に、身体を動かしたり、階段を上ったりすると、普段であれば感じない息苦しさを感じることがあります。また、寝ている状態で息切れを感じることもあり、これを「夜間呼吸困難」や「パラドキシカルな呼吸困難」と呼ぶことがあります。

2. 足のむくみ

心臓が血液を十分に循環させられなくなると、血液が下肢や足首に滞り、むくみが生じます。特に夕方から夜にかけてむくみがひどくなることが多く、靴がきつく感じたり、足首が膨らんで見えることがあります。このむくみは、心不全の典型的な症状の一つです。

3. 倦怠感と疲労感

心臓が適切に機能していないと、全身の血液供給が不足し、身体が酸素不足に陥ります。その結果、普段の活動でも疲れやすく、倦怠感を感じることが増えます。軽い運動や日常的な仕事でも疲れがたまり、休んでも回復しにくくなることがあります。

4. 動悸(ドキドキする感じ)

心臓が十分に血液を送り出せないと、体はその補償として心拍数を増やすことがあります。そのため、動悸が感じられることがあります。特に静かな時や寝ている時に、心臓が速く打つ感覚を感じることが多く、心臓が不規則に動いているように感じることもあります。

5. 体重増加

心不全の進行により、体内に水分が溜まり、浮腫が進行するため体重が急に増えることがあります。特に足や腹部に水分が溜まり、見た目にも体重増加を感じることがあります。急激な体重増加は、心不全の兆候として重要なサインです。

6. 咳や喘鳴(ぜんめい)

心不全が進行すると、肺に血液が滞り、肺水腫を引き起こすことがあります。この状態になると、咳が出やすく、特に夜間や横になった時に悪化します。咳は乾いた咳であることが多いですが、場合によっては泡を含んだ血の混じった痰が出ることもあります。また、喘息のようなゼーゼーする呼吸音(喘鳴)が伴うこともあります。

7. 食欲不振や吐き気

心臓の機能が低下することによって、消化器系への血液供給が不足し、食欲が低下することがあります。消化不良や吐き気を感じることが増え、結果的に食事が摂れなくなることがあります。これにより、栄養不足が進行し、体調がさらに悪化することがあります。

8. 意識障害やめまい

血液の循環が悪くなると、脳への血流が不足し、めまいやふらつきが生じることがあります。これにより、立ち上がった際に失神したり、意識がぼやけたりすることがあるため、注意が必要です。特に急に立ち上がった時に、視界が暗くなることやフラフラとした感覚を覚えることがあります。

9. 皮膚の冷たさと蒼白

心臓が血液をうまく送り出せなくなると、末端部(手や足)の血流が低下し、皮膚が冷たく、青白く見えることがあります。血液の供給が不十分になるため、手足が冷たく感じたり、色が変わることがあります。特に手足の指先が冷たくなることが多いです。

10. 不安や精神的な症状

心臓の病気が進行すると、身体的な症状に加えて、精神的な不安や抑鬱症状が現れることもあります。呼吸困難や体調の不安定さが精神的なストレスを引き起こし、心配や落ち込みを感じることが増えることがあります。

結論

心臓の筋力低下が引き起こす症状は多岐にわたり、その進行度や個人の健康状態によって異なります。しかし、上記の症状を一つでも感じた場合は、早期に医師の診断を受けることが重要です。心不全や心筋症の進行を防ぐためには、早期の治療と適切な管理が必要不可欠です。生活習慣の改善や薬物治療、場合によっては手術が行われることもありますが、早期発見が何よりも大切です。

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