胃腸障害

虫垂炎の症状と治療

虫垂炎(盲腸炎)は、虫垂と呼ばれる小さな袋状の器官が炎症を起こす病気です。虫垂は大腸の一部で、右下腹部に位置しています。この病気は、特に急性の症例では非常に痛みを伴い、迅速な治療を必要とします。虫垂炎の症状は個人差がありますが、一般的には数段階に分かれた兆候が現れます。

初期の症状

虫垂炎の最も一般的な初期症状は、腹部に現れる痛みです。この痛みは通常、初めはお腹全体に広がりますが、次第に右下腹部に集中していきます。痛みの始まりは鈍いものから始まり、時間が経つにつれて鋭く、強くなることが多いです。この痛みは、特に体を動かしたり、深呼吸をしたりすることで悪化します。

さらに、食欲不振や吐き気を感じることもあります。吐き気はしばしば痛みとともに現れ、食事をとることが難しくなります。また、軽度の発熱が見られることもありますが、体温が40度に達することはまれです。

症状の進行

痛みが右下腹部に集中し始めると、虫垂炎が進行している可能性が高くなります。この段階で、痛みがさらに鋭くなり、触れると強い圧痛を感じるようになります。特に、腹部を押さえた後に急に手を放すと、痛みが強くなる反跳痛(反発痛)が見られることが特徴的です。

また、腹部の膨満感やガスがたまりやすくなることもあります。排便やおならが出にくくなることがあり、腸の動きが鈍くなることが確認されることもあります。これらの症状が一緒に現れると、虫垂炎の疑いが強まります。

深刻な症状

虫垂炎が進行すると、炎症が悪化して虫垂が破裂するリスクがあります。虫垂が破裂すると、腹膜炎という深刻な状態が引き起こされ、全身的な症状が現れます。これには急激な高熱(38度以上)、重い腹痛、そして腹部の圧痛が含まれます。破裂した場合、腹部全体に激しい痛みが広がり、炎症が全身に広がるため、命に関わることもあります。

破裂した場合、痛みが一時的に和らぐことがありますが、これは危険な兆候です。その後、激しい痛みと発熱、嘔吐が再度強くなるため、迅速な医療対応が必要です。

その他の症状

虫垂炎の症状は人によって異なり、特に高齢者や妊婦、免疫力が低下している人々では、症状が典型的ではない場合があります。例えば、妊婦の場合、痛みが右下腹部に現れにくく、むしろ上腹部に違和感を覚えることがあります。また、高齢者では、痛みがあまり強く感じられず、発熱や消化不良のような軽微な症状だけが現れることもあります。

診断と治療

虫垂炎の診断は、医師による問診と身体検査が基本です。症状を確認した後、血液検査や尿検査、さらには画像検査(超音波検査やCTスキャン)を行うことがあります。これにより、虫垂の状態や他の病気との鑑別が行われます。

治療方法としては、薬物療法で炎症を抑えることができますが、一般的には手術(虫垂切除)が行われます。虫垂切除は腹腔鏡手術として行われることが多く、傷口が小さく、回復が早いです。手術が成功すれば、通常は数日以内に退院できます。

結論

虫垂炎は、早期に発見し治療を行うことが非常に重要な病気です。症状が疑わしい場合は、自己判断せずに速やかに医師に相談することが必要です。治療が遅れると、命に関わることもあるため、早期の対応が最も大切です。

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