アスピリンは、最初に発見されたのは19世紀末のドイツです。この薬の歴史は、古代の薬草療法にまで遡ることができますが、現在の形でのアスピリンの発見と商業化は、主にドイツのバイエル社の研究者によって行われました。
アスピリンの起源は、サリシル酸という物質にあります。この物質は、古代から使用されており、特にアスピリンの前身である柳の樹皮に含まれていることが知られていました。サリシル酸は、痛みや炎症を和らげる効果があると考えられていましたが、そのままの形で使用するには、胃に強い刺激を与えるため、消化器系に負担をかけることが問題となっていました。
19世紀の終わり、ドイツの化学者フェリックス・ホフマン(Felix Hoffmann)は、この問題を解決するために、サリシル酸の化学構造を改良しました。彼は、サリシル酸に酢酸を加えてアセチルサリチル酸という化合物を合成しました。この新しい化合物は、サリシル酸と同様に痛みを和らげる効果がありましたが、胃への刺激が大幅に軽減されていたのです。ホフマンは、1897年にこの化合物をアスピリンとして商業化しました。
アスピリンはすぐに広く使用されるようになり、特に頭痛や関節痛などの軽度の痛みの緩和に効果を発揮しました。さらに、アスピリンは抗炎症作用を持ち、発熱の抑制にも使用されるようになりました。20世紀の初頭には、アスピリンはその効果が広く認識され、世界中で広く使用されるようになりました。
その後、アスピリンは血栓を予防する効果があることが発見され、心血管疾患の予防にも使用されるようになりました。現在では、アスピリンは痛みの軽減、炎症の抑制、発熱の解熱、さらには心血管疾患の予防など、さまざまな用途で広く使用されている薬となっています。
アスピリンは、その発見から100年以上が経過した現在でも、非常に重要な薬の一つとして、多くの病院や家庭で使われ続けています。
