二次方程式を解く方法の一つとして、「平方完成法」があります。平方完成法は、二次方程式を解くための古典的かつ重要な技法で、特に因数分解が難しい場合に有効です。この記事では、平方完成法の概念とその手順について詳しく解説します。
1. 平方完成法とは?
平方完成法は、二次方程式を「完全な平方」の形に変形し、それによって解を求める方法です。二次方程式は一般的に以下のような形をしています:

ax2+bx+c=0
ここで、a、b、c は定数であり、a=0 です。平方完成法は、この形を「平方の形」に変換することで解を求めます。
2. 平方完成法の手順
次に、平方完成法を用いて二次方程式を解く手順を示します。まず、二次方程式を次の形に変形します:
ax2+bx+c=0
ステップ 1: 係数を調整する
まず、x2 の前の係数 a を 1 にするために、方程式全体を a で割ります。もし a が 1 であれば、このステップは不要です。
x2+abx+ac=0
ステップ 2: 定数項を移項する
次に、方程式の右辺に定数項を移します。この時、式の左辺には x2 と x の項が残ります。
x2+abx=−ac
ステップ 3: 完全な平方を作る
次に、左辺を完全な平方にするために必要な値を加えます。このためには、x2+abx の中で、x の係数 ab の半分の値を二乗したものを足します。この値は次のように計算できます:
(2ab)2
これを方程式の両辺に加えます。すると、左辺が完全な平方の形になります。
x2+abx+(2ab)2=−ac+(2ab)2
ステップ 4: 左辺を平方の形にする
左辺は、次のように因数分解することができます:
(x+2ab)2
右辺は、計算して簡単に表すことができます。これで、方程式は次の形になりました:
(x+2ab)2=4a2b2−4ac
ステップ 5: 両辺の平方根を取る
次に、両辺の平方根を取ります。平方根を取る際には、正負の両方の解を考慮しなければなりません。
x+2ab=±2ab2−4ac
ステップ 6: 解を求める
最後に、x を求めるために、2ab を右辺に移項します。
x=−2ab±2ab2−4ac
これが二次方程式の解です。最終的に、解は次のように表されます:
x=2a−b±b2−4ac
3. 平方完成法の例
実際の例を使って、平方完成法を適用してみましょう。次の二次方程式を解いてみます:
2x2+8x−10=0
ステップ 1: x2 の係数を 1 にする
まず、方程式全体を 2 で割って、x2 の係数を 1 にします:
x2+4x−5=0
ステップ 2: 定数項を移項する
定数項 −5 を右辺に移項します:
x2+4x=5
ステップ 3: 完全な平方を作る
次に、x2+4x に対して完全な平方を作ります。係数 4 の半分は 2 で、2 の二乗は 4 です。これを方程式の両辺に加えます:
x2+4x+4=5+4
ステップ 4: 左辺を平方の形にする
左辺は次のように因数分解できます:
(x+2)2=9
ステップ 5: 両辺の平方根を取る
両辺の平方根を取ります:
x+2=±3
ステップ 6: 解を求める
最後に、x を求めるために −2 を移項します:
x=−2±3
これにより、二つの解が得られます:
x=1またはx=−5
4. まとめ
平方完成法は、二次方程式を解くための強力な手法です。特に因数分解が難しい場合に役立ちます。平方完成法を使うことで、解の公式(解の公式を使う方法)を導き出すことができます。手順をしっかりと理解し、実際に問題を解くことで、平方完成法の使い方を身につけましょう。