世界最大のクルーズ船は、まさに海の上を走る都市であり、その規模と豪華さは年々進化を遂げている。これらの巨大船舶は、ただの移動手段ではなく、観光の目的地そのものであり、旅行者に非日常的な体験を提供する。この記事では、2025年時点で運航している世界最大級のクルーズ船10隻について、全長、総トン数、収容人数、運航会社、搭載施設などを包括的かつ詳細に紹介する。
1. アイコン・オブ・ザ・シーズ(Icon of the Seas)
-
運航会社:ロイヤル・カリビアン・インターナショナル
-
総トン数:250,800トン以上
-
全長:365メートル
-
収容人数:最大7,600人(乗員含む)
-
就航年:2024年
特徴:史上最大のクルーズ船として誕生したアイコン・オブ・ザ・シーズは、7つの「ゾーン」に分かれたテーマ別エリアを持ち、ウォーターパーク、人工サーフィン施設、広大なスイミングプール、スカイウォークなどを備える。全体設計はファミリー層を意識し、家族で楽しめる施設が充実している。
2. ワンダー・オブ・ザ・シーズ(Wonder of the Seas)
-
運航会社:ロイヤル・カリビアン・インターナショナル
-
総トン数:236,857トン
-
全長:362メートル
-
収容人数:最大6,988人(乗員含まず)
-
就航年:2022年
特徴:オアシスクラスの船として、豊富なエンターテインメントオプション、20を超えるレストラン、巨大な植物園「セントラルパーク」などがあり、船内にいながらにして多様な体験が可能。
3. シンフォニー・オブ・ザ・シーズ(Symphony of the Seas)
-
運航会社:ロイヤル・カリビアン・インターナショナル
-
総トン数:228,081トン
-
全長:361メートル
-
収容人数:6,680人(乗客)、2,200人(乗員)
-
就航年:2018年
特徴:船内にはアイススケートリンク、アクアシアター、ロボットバーテンダーなど近未来的な施設が完備されている。特にファミリー向けのキャビン設計が魅力的。
4. ハーモニー・オブ・ザ・シーズ(Harmony of the Seas)
-
運航会社:ロイヤル・カリビアン・インターナショナル
-
総トン数:226,963トン
-
全長:362メートル
-
収容人数:6,687人
-
就航年:2016年
特徴:同社の革新的設計である「ネイバーフッドコンセプト」を採用し、ショッピングモールやカジノ、劇場など都市型空間を海上に再現している。
5. オアシス・オブ・ザ・シーズ(Oasis of the Seas)
-
運航会社:ロイヤル・カリビアン・インターナショナル
-
総トン数:226,838トン
-
全長:360メートル
-
収容人数:最大6,780人
-
就航年:2009年
特徴:大型クルーズ船の原点とも言える存在。スプリットデッキ設計で、屋外公園「セントラルパーク」と遊園地「ボードウォーク」などが初搭載された。
6. アリュール・オブ・ザ・シーズ(Allure of the Seas)
-
運航会社:ロイヤル・カリビアン・インターナショナル
-
総トン数:225,282トン
-
全長:360メートル
-
収容人数:6,780人
-
就航年:2010年
特徴:姉妹船であるオアシス級の進化版。船内でミュージカル「マンマ・ミーア」が上演されるなど、劇場コンテンツの充実度が高い。
7. MSC ワールド・エウローパ(MSC World Europa)
-
運航会社:MSCクルーズ
-
総トン数:215,863トン
-
全長:333メートル
-
収容人数:6,762人(乗員含む)
-
就航年:2022年
特徴:MSC初のLNG(液化天然ガス)駆動船。未来的デザインと持続可能性への取り組みが評価されており、360度ウォーキングプロムナードや水上スライダーなどユニークな施設を多数搭載。
8. コスタ・スメラルダ(Costa Smeralda)
-
運航会社:コスタ・クルーズ
-
総トン数:185,010トン
-
全長:337メートル
-
収容人数:6,554人(乗員含まず)
-
就航年:2019年
特徴:イタリアンデザインの粋を集めた船内は、上質なインテリアとダイニングエリアが魅力。こちらも環境に優しいLNG燃料を使用しており、ヨーロッパ市場向けの設計がなされている。
9. アイーダ・ノヴァ(AIDAnova)
-
運航会社:AIDAクルーズ(カーニバル傘下)
-
総トン数:183,858トン
-
全長:337メートル
-
収容人数:6,600人
-
就航年:2018年
特徴:世界で初めてLNGを主動力に採用した大型客船。ドイツのマーケットに特化し、家族向けの多様な施設、サウナやスパの完備が特徴的。
10. P&O アリューラ(P&O Arvia)
-
運航会社:P&Oクルーズ
-
総トン数:184,700トン
-
全長:344.5メートル
-
収容人数:5,200人(乗客)、1,800人(乗員)
-
就航年:2022年
特徴:イギリス市場を意識して設計されたこの船は、静かなリラクゼーション空間と、スポーツ、エンタメをバランス良く配置。アドベンチャープール、ガラス張りのスカイドームなども人気。
総合比較表
| 船名 | 総トン数 | 全長(m) | 最大収容人数 | 就航年 | 運航会社 |
|---|---|---|---|---|---|
| Icon of the Seas | 250,800+ | 365 | 約7,600人 | 2024 | ロイヤル・カリビアン |
| Wonder of the Seas | 236,857 | 362 | 6,988人 | 2022 | ロイヤル・カリビアン |
| Symphony of the Seas | 228,081 | 361 | 6,680人 | 2018 | ロイヤル・カリビアン |
| Harmony of the Seas | 226,963 | 362 | 6,687人 | 2016 | ロイヤル・カリビアン |
| Oasis of the Seas | 226,838 | 360 | 6,780人 | 2009 | ロイヤル・カリビアン |
| Allure of the Seas | 225,282 | 360 | 6,780人 | 2010 | ロイヤル・カリビアン |
| MSC World Europa | 215,863 | 333 | 6,762人 | 2022 | MSCクルーズ |
| Costa Smeralda | 185,010 | 337 | 6,554人 | 2019 | コスタ・クルーズ |
| AIDAnova | 183,858 | 337 | 6,600人 | 2018 | AIDAクルーズ |
| P&O Arvia | 184,700 | 344.5 | 7,000人(推定) | 2022 | P&Oクルーズ |
これらの巨大なクルーズ船は、単なる輸送手段ではなく「移動する総合リゾート」として、新たな旅行のスタイルを創出している。豪華な内装、多様なレストラン、プール、アクティビティ、そして最先端のエンターテインメントが融合し、乗客は海上で過ごすすべての瞬間に満足感を得ることができる。
また、環境問題への配慮も近年は重視され、LNG燃料や排出ガス削減技術の導入が進んでいる。今後も、持続可能な観光とテクノロジーの融合により、クルーズ業界の進化は続くことだろう。
出典:Royal Caribbean International公式サイト、MSC Cruises、Carnival Corporation、CruiseMapper、CruiseCritic、2025年最新データより。

