ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)は、脳の下垂体前葉で分泌されるホルモンであり、主に副腎の皮質を刺激してコルチゾールなどのステロイドホルモンの分泌を促進します。ACTHは、体内のホルモンバランスを維持するために重要な役割を果たしており、特にストレス応答や免疫機能の調節に関わっています。
ACTHの生理的役割
ACTHは、下垂体から分泌されるホルモンの一つで、視床下部からの信号によってその分泌が調節されます。視床下部が分泌するCRH(コルチコトロピン放出ホルモン)が下垂体に作用し、ACTHの分泌を促進します。このACTHは、血流を通じて副腎に到達し、そこでコルチゾールの合成と分泌を刺激します。コルチゾールは、体のエネルギー供給をサポートし、炎症反応を抑制し、またストレスへの適応を助けるホルモンです。

ACTHの検査
ACTHの血中濃度を測定することで、いくつかの疾患や健康状態を診断する手助けになります。ACTHの測定は、特に以下のような疾患に関連しています。
1. アジソン病(副腎不全)
アジソン病は、慢性的な副腎機能不全によって引き起こされます。副腎が十分にコルチゾールを分泌できないため、体がストレスにうまく対処できなくなります。ACTHの測定は、この病気の診断に重要であり、ACTHが異常に高い場合、アジソン病の可能性があります。
2. クッシング症候群
クッシング症候群は、過剰なコルチゾールの分泌によって引き起こされる症状の集まりです。ACTHの過剰分泌が原因である場合(ACTH依存性クッシング症候群)、ACTHレベルが高くなります。この検査により、クッシング症候群の診断が確定する場合があります。
3. ACTH分泌腫瘍
下垂体や他の部位にある腫瘍がACTHを過剰に分泌することがあります。この場合、ACTHのレベルが異常に高くなることがあります。
ACTHの検査方法
ACTHの測定には、通常、血液検査が使用されます。一般的には、朝一番に血液を採取することが推奨されます。これは、ACTHの分泌が日内変動を持っており、朝方に最も高くなるためです。ACTHの濃度が高い場合、追加の検査(例えば、コルチゾールの測定やダクチロチック試験など)を行い、異常の原因を特定します。
ACTHの異常値
ACTHの値が異常である場合、いくつかの原因が考えられます。
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ACTH高値:
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クッシング症候群(特にACTH依存性タイプ)
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アジソン病(副腎不全)
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ACTH分泌腫瘍(下垂体腫瘍など)
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ACTH低値:
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副腎皮質機能低下症(下垂体または視床下部の疾患による)
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高コルチゾール血症(ステロイド治療による影響など)
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ACTHの異常は、しばしば他のホルモンや臨床症状と併せて評価されるため、診断には総合的なアプローチが必要です。
ACTH検査の臨床的意義
ACTHの測定は、内分泌系の疾患を診断するための重要なツールです。例えば、クッシング症候群やアジソン病といった副腎に関連する疾患、あるいは下垂体腫瘍などの発見に役立ちます。また、ACTH分泌の異常は、ストレス応答や免疫系にも影響を及ぼすため、体全体の健康に重要な影響を与える可能性があります。
結論
ACTHは、体のホルモンバランスを調節する上で重要な役割を果たすホルモンであり、健康状態の評価において不可欠な指標です。その測定により、さまざまな内分泌系疾患を早期に発見し、適切な治療を行うことが可能となります。ACTHの検査結果は、他のホルモンや症状と組み合わせて解釈されるべきであり、臨床医の専門的な判断が求められます。