Active Directoryは、ネットワーク内のリソースを管理し、ユーザー、グループ、コンピュータ、およびその他のオブジェクトの情報を格納するディレクトリサービスです。Active Directoryのデータは、さまざまな「パーティション」に分かれ、これらのパーティションはそれぞれ特定の目的を持っています。この記事では、Active Directoryのパーティションの種類と、それぞれの特性について詳しく解説します。
1. ドメインパーティション (Domain Partition)
ドメインパーティションは、Active Directory内で最も基本的なパーティションの1つです。このパーティションは、ドメイン内のすべてのオブジェクトを格納します。具体的には、ユーザーアカウント、コンピュータアカウント、グループ、OU(組織単位)などの情報が含まれます。ドメインパーティションは、ドメイン内のレプリケーションにおいて重要な役割を果たし、ドメイン内のすべてのコントローラー間でオブジェクト情報を同期させます。

特徴:
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ユーザー、グループ、コンピュータなど、ドメイン内のリソースに関する情報が格納される。
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ドメイン内で発生するすべての変更は、ドメインコントローラー間でレプリケートされる。
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各ドメインには固有のドメインパーティションが存在し、ドメイン間で直接的なデータ共有は行われない。
2. 構成パーティション (Configuration Partition)
構成パーティションは、Active Directory環境全体に関する設定情報を格納するパーティションです。このパーティションには、Active Directoryのレプリケーションに関する情報や、サイト、サブネット、ドメインコントローラーに関する情報が含まれます。構成パーティションは、ドメイン全体にわたる設定情報を一元管理するため、重要な役割を果たします。
特徴:
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Active Directory内の全体的な設定情報(サイト、サブネット、レプリケーションポリシーなど)が含まれる。
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ドメイン間で共通する設定を保持しており、異なるドメインでも一貫した設定を維持できる。
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レプリケーションは、すべてのドメインコントローラー間で行われ、Active Directory全体に対する設定変更がすぐに反映される。
3. スキーマパーティション (Schema Partition)
スキーマパーティションは、Active Directoryで使用されるオブジェクトの種類と属性を定義するパーティションです。このパーティションには、Active Directoryで許可されているオブジェクトのクラス(例えば、ユーザー、コンピュータ、グループなど)およびその属性(例えば、ユーザーの名前、メールアドレス、電話番号など)に関する情報が格納されます。スキーマは、Active Directoryの構造に直接影響を与えるため、スキーマの変更は慎重に行う必要があります。
特徴:
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Active Directory内で使用されるすべてのオブジェクトのクラスと属性が定義される。
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スキーマの変更は全ドメインに影響を与えるため、管理者による慎重な管理が必要。
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スキーマの変更は、すべてのドメインコントローラーにレプリケートされる。
4. グローバルカタログパーティション (Global Catalog Partition)
グローバルカタログは、Active Directory環境内で最も重要なデータを格納するパーティションであり、全てのドメインにわたってリソースを検索する際に利用されます。グローバルカタログは、各ドメインのオブジェクトに関する基本的な情報(例えば、ユーザー名やメールアドレスなど)を含み、ネットワーク内のリソースを効率的に検索するために使用されます。
特徴:
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Active Directory内の全ドメインのオブジェクトに関する検索用の基本的な情報を格納。
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グローバルカタログを使用すると、他のドメインのオブジェクト情報を迅速に検索できる。
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グローバルカタログは、通常、ドメインコントローラーの一部として維持されるが、特定のコントローラーに専用で設定することもできる。
5. アプリケーションパーティション (Application Partition)
アプリケーションパーティションは、特定のアプリケーションやサービスに関連するデータを格納するために使用されるパーティションです。通常、アプリケーションパーティションは、特定のディレクトリサービスやアプリケーションが必要とするデータを格納するためにカスタマイズされます。例えば、DNSやその他のディレクトリベースのサービスで使用されます。
特徴:
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特定のアプリケーションやサービスに関連するデータが格納される。
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データは、指定された範囲のドメインコントローラーにレプリケートされ、アプリケーションの要件に応じてデータを分離することができる。
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一部のサービスは、アプリケーションパーティションを使用して、特定の領域でデータを効率的に管理できる。
結論
Active Directoryのパーティションは、ディレクトリサービスの構造と機能を支える重要な要素であり、それぞれのパーティションは異なる目的と役割を果たしています。ドメインパーティション、構成パーティション、スキーマパーティション、グローバルカタログパーティション、アプリケーションパーティションは、各々がネットワーク環境を効率的かつ安全に管理するための基盤を提供します。これらのパーティションを理解し、適切に管理することは、Active Directoryの運用において不可欠な要素です。