APAスタイル(アメリカ心理学会スタイル)は、学術論文や研究で一般的に使用される引用と参考文献のスタイルです。このスタイルは、特に心理学、社会科学、教育、ビジネス分野で広く採用されています。APAスタイルの目標は、研究者が他の研究を正確に引用し、情報の出所を明確にすることです。この記事では、APAスタイルの基本的なルールと、論文作成における重要な要素について詳しく説明します。
1. APAスタイルの基本
APAスタイルは、主に以下の3つの要素に基づいています。

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引用:文中での他の研究者や資料の言及。
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参考文献リスト:論文の最後に記載する、すべての引用元の詳細な情報。
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書式設定:論文全体の外観、例えばフォント、行間、余白など。
これらの要素を正確に守ることで、読者は論文内で使用された情報源を簡単に特定でき、信頼性の高い研究結果を提供することができます。
2. 引用方法
2.1 文中での引用
APAスタイルでは、文中に他の研究者の意見やデータを引用する際、以下のルールに従います。
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著者名と発行年を記載します。通常、引用は、情報を提供した著者の姓と発行年を括弧内に記載します。例:
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単一の著者を引用する場合: (田中, 2020)
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二人の著者を引用する場合: (鈴木 & 佐藤, 2019)
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三人以上の著者を引用する場合: (高橋, 山田, & 田辺, 2018)
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直接引用:文献から直接的に言葉を引用する場合は、引用部分の後にページ番号を記載します。例:
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「この理論は非常に重要である」と述べられている (田中, 2020, p. 45)。
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2.2 引用の形式
APAスタイルでは、特に二つの引用方法が重要です。
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パラフレーズ:他の著者の言葉を自分の言葉で言い換える場合でも、必ず出典を記載します。例:
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田中(2020)は、日本の教育システムにおける課題を指摘している。
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直接引用:他の著者の言葉をそのまま引用する場合は、引用符を使い、ページ番号を明記します。例:
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田中(2020)は「教育改革は急務である」と述べている(p. 45)。
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3. 参考文献リスト
参考文献リストは、論文の最後に記載し、引用したすべての資料の詳細情報を提供します。APAスタイルでは、参考文献はアルファベット順に並べます。
3.1 本の参考文献リスト
本の場合、APAスタイルでは次のように記載します。
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著者名(姓、名の頭文字). (発行年). 本のタイトル(版数があれば記載)。出版社名。
例:
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田中, 一郎. (2020). 日本の教育改革. 学習社。
3.2 論文の参考文献リスト
学術論文やジャーナルの記事を引用する場合、次のように記載します。
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著者名(姓、名の頭文字). (発行年). 記事のタイトル. ジャーナル名, 巻号(号数), ページ番号。
例:
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鈴木, 太郎. (2019). 現代教育の課題について. 教育学研究, 25(2), 123-145。
3.3 ウェブサイトの参考文献リスト
ウェブサイトを引用する場合は、次の形式で記載します。
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著者名(姓、名の頭文字). (発行年). 記事のタイトル. サイト名. URL
例:
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山田, 花子. (2021). 日本の教育における最新動向. 日本教育情報. https://www.japanedu.com/latest-trends
4. 書式設定
APAスタイルでは、論文の書式設定にもいくつかの規則があります。
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フォント:一般的には、タイムズ・ニュー・ローマン 12ポイントが推奨されます。
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行間:行間は1.5倍または2倍が一般的です。
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余白:ページの四隅に1インチ(約2.54cm)の余白を設けます。
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ページ番号:すべてのページにページ番号を記載します。
5. まとめ
APAスタイルは、学術論文や研究における引用と書式設定の基準を提供し、研究の信頼性を確保するために重要な役割を果たします。文中での適切な引用、正確な参考文献リストの作成、そして論文全体の書式設定を守ることで、読者は研究者が使用した情報源を追跡しやすくなり、研究の透明性が向上します。学術的な執筆においてAPAスタイルを徹底することは、他の研究者とのコミュニケーションを円滑にし、学問的な貢献をするために不可欠です。