ASO(アンチストレプトリジンO)の血液検査は、ストレプトコッカス(連鎖球菌)による感染が原因で発症する様々な病気に関する重要な診断ツールです。この検査は、ストレプトコッカス菌に感染した後、体内で生成される抗体(ASO)を測定することを目的としています。ASOは、β-溶血性連鎖球菌(A群)の感染に反応して免疫系が作り出す抗体であり、そのレベルの測定は感染歴や関連する疾患の診断に役立ちます。
ASOの役割と重要性
ストレプトコッカスによる感染は、喉の痛みや膿性の扁桃炎(咽頭炎)として始まることが多く、適切に治療されなかった場合、深刻な合併症を引き起こす可能性があります。ASO検査は、これらの合併症を早期に発見するために非常に有効です。具体的には、急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの病気の診断に使われます。

1. 急性糸球体腎炎(AGN)
急性糸球体腎炎は、ストレプトコッカス感染後に発症することがあり、腎臓の機能が急激に低下する疾患です。ASO検査の結果が高い場合、最近のストレプトコッカス感染の証拠となり、この病気のリスクが高いと判断されます。
2. リウマチ熱(Rheumatic Fever)
リウマチ熱もまた、ストレプトコッカス感染が引き金となる可能性があります。この疾患は心臓、関節、皮膚、神経系に影響を与える慢性疾患であり、特に小児や若年者に多く見られます。ASOの値が高いと、リウマチ熱の発症リスクを評価するための手がかりとなります。
ASO検査の方法と解釈
ASO検査は血液を用いて行われ、通常は数ミリリットルの血液サンプルを採取し、その中のASO抗体の濃度を測定します。検査の結果は、一般的に単位として「単位/ml」(U/ml)で表され、基準値は検査を行う施設や使用される機器により異なることがあります。
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正常範囲: 健康な成人や子供では、ASOの値は低いか、検出されないことが多いです。一般的には100 U/ml以下が正常範囲とされますが、施設によっては基準が異なる場合もあります。
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高い値: ASOの値が高い場合、最近のストレプトコッカス感染があった可能性が示唆されます。特に、急性喉頭炎やリウマチ熱、急性糸球体腎炎を疑う場合に重要な手がかりとなります。
ASO検査の注意点と限界
ASO検査は非常に有用ですが、いくつかの制限があります。まず、ASO抗体が体内で生成されるのは感染後約1~3週間後であり、したがって感染初期には結果が現れません。従って、症状が現れてからすぐに検査を受けても、ASO値が低い場合があります。
また、ASOのレベルが高いからといって、必ずしもストレプトコッカス感染が原因であるとは限りません。他の感染症や、過去に感染したことがある場合でも、ASOの値は高いままであることがあります。そのため、ASO検査は他の診断と併用して、総合的に判断することが重要です。
まとめ
ASO検査は、ストレプトコッカスによる感染が原因で発症する急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの疾患の診断に欠かせない検査です。特に、最近の感染が原因である可能性を示唆する場合、早期の治療が重要となります。しかし、ASO検査単独では完全な診断を下すことはできないため、他の検査や症状を総合的に考慮して、適切な医療措置を講じることが求められます。