ネットワーク

Catalyst 9200 vs 2960X

Cisco Catalyst 9200とCatalyst 2960Xは、どちらもCiscoのスイッチシリーズであり、企業のネットワークインフラに広く使用されていますが、それぞれのモデルには異なる特長と利点があります。本記事では、これら二つのスイッチについて、性能、機能、アーキテクチャ、管理方法、拡張性、セキュリティなどの観点から比較し、どのような場面でそれぞれのモデルが適しているかを詳しく解説します。

1. 性能とスループット

Catalyst 9200とCatalyst 2960Xは、どちらも高いパフォーマンスを提供しますが、Catalyst 9200はより最新の技術を採用しており、処理能力が向上しています。

  • Catalyst 9200

    • Catalyst 9200は、より高度なパフォーマンスと処理能力を提供するため、特に大規模な企業ネットワークやデータセンターでの使用を意図して設計されています。
    • スイッチング容量は最大48Gbpsで、ポート速度は最大10GbE(10ギガビットイーサネット)まで対応可能です。これにより、大規模なデータ転送や高帯域幅のアプリケーションにも対応できます。
  • Catalyst 2960X

    • Catalyst 2960Xは、エンタープライズ向けのエントリーレベルのスイッチとして、基本的なスイッチング機能を提供します。最大40Gbpsのスイッチング容量を持ち、主に企業のオフィスや小規模なネットワークに最適です。
    • ポート速度は最大1GbE(1ギガビットイーサネット)ですので、高速な通信が求められる環境には適していません。

2. アーキテクチャとハードウェアの違い

  • Catalyst 9200

    • Catalyst 9200は、Ciscoの最新のプラットフォームであり、Cisco IOS XEオペレーティングシステムを使用しています。このプラットフォームは、より高い柔軟性と拡張性を提供し、最新のセキュリティ機能や管理ツールをサポートしています。
    • ハードウェア面では、モジュール式の設計を採用しており、交換可能なファンや電源供給ユニットを備えています。これにより、システムの冗長性が向上し、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。
  • Catalyst 2960X

    • Catalyst 2960Xは、Cisco IOSを使用しており、堅牢で安定したスイッチング機能を提供しますが、Catalyst 9200に比べて拡張性には限界があります。特に、モジュール交換や冗長性の面では、Catalyst 9200に比べて制限があります。

3. 管理機能とソフトウェアの違い

  • Catalyst 9200

    • Catalyst 9200は、Cisco DNA(Digital Network Architecture)をサポートしており、ネットワークの管理、可視化、および自動化機能を大幅に強化しています。これにより、ネットワークの運用を効率化し、故障時の迅速な回復や予防的な保守が可能になります。
    • Cisco DNA Centerを使った高度なネットワーク管理機能を活用することができ、ネットワーク全体を一元的に管理できます。
  • Catalyst 2960X

    • Catalyst 2960Xも基本的なネットワーク管理機能を提供しますが、DNA Centerや自動化機能には対応していません。ネットワーク管理は比較的シンプルであり、特に中小規模のネットワークに適しています。

4. セキュリティ機能

  • Catalyst 9200

    • Catalyst 9200は、強化されたセキュリティ機能を備えており、例えば、ポートセキュリティ、802.1X認証、アクセス制御リスト(ACL)、およびポートベースのアクセス管理などをサポートしています。これにより、ネットワークへの不正アクセスや攻撃から保護されます。
    • また、Cisco TrustSec技術を利用して、セキュリティポリシーの適用を簡素化し、ネットワーク全体で一貫性のあるセキュリティを維持できます。
  • Catalyst 2960X

    • Catalyst 2960Xも基本的なセキュリティ機能を提供しますが、Catalyst 9200に比べてセキュリティ機能は限定的です。ポートセキュリティやVLANベースのセグメンテーションなどをサポートしていますが、より高度なセキュリティ機能には対応していません。

5. 拡張性とアップグレード

  • Catalyst 9200

    • Catalyst 9200は、モジュール式の拡張スロットを提供しており、将来的にポート数を増やしたり、新しい機能を追加したりすることができます。この柔軟性は、企業が成長するにつれて必要に応じてスイッチをアップグレードする際に非常に役立ちます。
  • Catalyst 2960X

    • Catalyst 2960Xは、拡張性の面では制限があり、基本的にその仕様で固定されています。将来的にネットワークを大規模化する予定がある場合、別のスイッチを導入する必要が生じるかもしれません。

6. 価格とコスト効果

  • Catalyst 9200

    • Catalyst 9200は、より高性能で機能が豊富なため、価格は高めです。特に大規模なネットワークや高度な管理機能が求められる企業にとっては、投資に見合う価値があります。
  • Catalyst 2960X

    • Catalyst 2960Xは、価格が比較的手頃であり、エンタープライズのエントリーレベルのニーズに十分対応できます。中小規模のネットワークや、特に予算に制約がある場合には、非常にコストパフォーマンスが高い選択肢です。

7. 使用シーンの違い

  • Catalyst 9200

    • Catalyst 9200は、エンタープライズ向けに設計されており、大規模なネットワーク環境や、高度なセキュリティ、拡張性、管理機能が求められる企業に最適です。特に、将来的なネットワークのスケーラビリティや自動化機能が必要な場合に適しています。
  • Catalyst 2960X

    • Catalyst 2960Xは、小規模から中規模のネットワークに適しており、シンプルで信頼性の高いスイッチング機能を提供します。企業のオフィスやキャンパスネットワーク、または予算重視の環境に最適です。

結論

Catalyst 9200とCatalyst 2960Xは、それぞれ異なるニーズに対応するスイッチであり、選択は使用するネットワークの規模、管理機能の必要性、予算に応じて決まります。大規模なネットワークや高度な管理、セキュリティ機能が必要な場合はCatalyst 9200が適しており、小規模でコストを抑えたネットワークを運営する場合はCatalyst 2960Xが理想的です。

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