ネットワーク機器、特にCisco製のルーターやスイッチに対するセキュリティの設定は、ネットワークの安全性を確保するために非常に重要です。これらの機器にアクセスできる人物を制限し、機器の設定変更を未承認のユーザーから守るために、パスワードを設定することは必須です。この記事では、Ciscoルーターやスイッチにパスワードを設定し、アクセスを制限する方法を詳しく解説します。
1. パスワード設定の重要性
ネットワーク機器へのアクセスを制限することは、機器の不正使用や不正アクセスから守るために必要です。Ciscoルーターやスイッチは、企業のネットワークインフラを構成する重要な機器であり、これにアクセスすることでネットワーク設定の変更が可能になります。適切なパスワード設定を行うことで、ネットワークの安全性を大幅に向上させることができます。

2. Ciscoルーターやスイッチへのアクセス
まず、Cisco機器にアクセスするためには、コンソールケーブルを使用してPCと接続し、ターミナルエミュレーター(例えば、Tera TermやPuTTYなど)を使って機器に接続します。コンソール接続を確立すると、ルーターやスイッチの設定モードに入ることができます。
3. 初期設定モードでのログイン
機器にアクセスした後、まずは設定モード(特権EXECモード)に入ります。最初に「enable」コマンドを使って特権EXECモードに移行し、設定を開始します。以下の手順で進めます。
3.1 特権EXECモードに入る
plaintextRouter> enable
これで「enable」コマンドが実行され、特権EXECモードに入ることができます。このモードでは、機器の設定変更が行えます。
3.2 パスワードの設定
次に、パスワードを設定してアクセスを制限します。以下の手順で設定します。
- コンソール接続用のパスワード設定
コンソールケーブルを使用してルーターに接続した場合のパスワードを設定します。これにより、物理的にルーターに接続した際にパスワードを要求するようになります。
plaintextRouter# configure terminal Router(config)# line con 0 Router(config-line)# password <設定するパスワード> Router(config-line)# login Router(config-line)# exit
上記のコマンドで、コンソールポート(line con 0)のパスワードを設定し、ログイン時にパスワードを求めるように設定します。
- VTY(仮想端末)アクセス用のパスワード設定
ネットワーク越しにSSHやTelnetでルーターにアクセスする場合、VTYライン用のパスワードも設定する必要があります。
plaintextRouter(config)# line vty 0 4 Router(config-line)# password <設定するパスワード> Router(config-line)# login Router(config-line)# exit
VTYラインは最大5つの仮想端末接続をサポートします。これにより、リモートからのアクセスに対してパスワードが要求されます。
- 管理者モード(enable)用のパスワード設定
特権EXECモードへのアクセスを制限するためのパスワードも設定します。このパスワードは、システム設定の変更やコマンドの実行に使用されます。
plaintextRouter(config)# enable secret <設定するパスワード>
「enable secret」を使用すると、パスワードがハッシュ化されて保存されるため、セキュリティが強化されます。これにより、特権モードへのアクセスが安全に管理されます。
4. パスワード設定の保存
設定したパスワードを永続的に保存するためには、設定内容を保存する必要があります。次のコマンドで、設定内容をNVRAMに保存します。
plaintextRouter# write memory
または、以下のコマンドでも保存可能です。
plaintextRouter# copy running-config startup-config
これで、再起動後にも設定したパスワードが保持されます。
5. パスワードポリシーの強化
パスワード設定の際は、セキュリティの観点から強固なパスワードを設定することが重要です。以下のガイドラインに従って、強力なパスワードを選びましょう。
- 長さ: パスワードは少なくとも8文字以上に設定します。
- 複雑さ: 数字、大文字、小文字、記号を組み合わせて設定します。
- 定期的な変更: 定期的にパスワードを変更し、古いパスワードが漏洩していないかを確認します。
6. 追加のセキュリティ対策
パスワードだけでなく、さらにセキュリティを強化するために以下の方法も考慮しましょう。
- SSHによるアクセスの制限: Telnetは平文でデータを送信するため、SSHを使用して通信を暗号化することが推奨されます。SSH設定を有効にすることで、リモートアクセスのセキュリティを強化できます。
- ACL(アクセスコントロールリスト)によるアクセス制限: ACLを使用して、特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可することができます。これにより、許可されていないIPアドレスからのアクセスをブロックできます。
7. まとめ
Ciscoルーターやスイッチのパスワード設定は、ネットワークのセキュリティを確保するために非常に重要です。コンソール、VTY、特権EXECモード用のパスワードを適切に設定し、セキュリティ強化のための追加対策を講じることで、不正アクセスからネットワークを守ることができます。パスワードは定期的に変更し、強力で予測不可能なものを使用することを心掛けましょう。また、SSHの使用やACLの設定など、さらなるセキュリティ対策を実施することをお勧めします。